飛べ!ダコタのレビュー・感想・評価
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洗脳された平和主義
この映画は、世界は平和と秩序が続き、大きな紛争も終局していくと
信じていた頃の、ぬるま湯に浸かった時代を反映したもの
まさか、こんなにも各国がキクシャクするとは夢にも思わなかった頃。
自分たちの意識だけで戦争が回避できたと、つまり正しい政治家を選び、
世論も反戦を貫けば 戦争は起こらないという思想がベースに流れており、
相手がいることを忘れている偏った考え方
太平洋戦争は、石油をめぐる兵糧攻めで 日本が追い詰められていたこと
が大きな原因であることが今では広く知られている。
イギリスのチャーチルがアメリカの参戦を促す為に画策していたこともあり、
結果的に思惑に乗る形になった、ともいえる。
この映画もそうだが、自国だけが悪かったと反省する内容のものが多いが、
そんな薄っぺらい考え方では 戦争を回避する術は学べないだろう。
正しい歴史認識と評価が必要だと思う。
性善説のストーリーが空しい
娯楽作と見過ごしていい部分と許せない部分
どーせ安出来の娯楽作品だろうとさして期待せず。案の定の2流テレビドラマ的臭さふんぷん演出による正視に耐えない代物ではあったが、こういうこともあったのかという少しの興味深さを抱きながら見ていた。
※視聴後に調べようとしたら少なくともウィキにはなかった。
しかし、傷痍軍人:窪田正孝(戦闘中ではなく訓練中の怪我らしいが)が飛行機に火をつけようとした場面には、あれも一種の特攻かと呆れると共に少しばかり腹が立つ。
それはその部分にとても実話とは思えない臭いフィクション的な違和感を拭えなかったからなのだろう。
※その時喧嘩した白人と窪田の和解した場面がなかったのも片手落ちと感じる。村長らに尻拭いさせてそれでほったらかしなんて監督はどういうセンスをしているのか不信感が生じる。
後、村長が「私たちは騙されて戦争に巻き込まれた」と恨めしげに語る村の女に「戦争は国民皆が始めた」といさめる場面は上よりも大きな違和感。
脚本にも名を連ねている監督がどういうスタンスでそんなセリフを言わせたのか真意を測りかねるが、戦争に反対した者、賛意を示さない者は徹底弾圧の上排除されたか、個人ではどうしようもない「同調圧力」に屈さざるを得なかった事実に蓋をするような姑息な責任転嫁としか個人的には感じられなかった。
戦争をまい進させたのは強硬な軍部と、プロパガンダを扇動するマスコミ、それに同調する威勢のいい往々にして暴力的な追従的国民だ。
そんなわけでテレビドラマ主体で長編映画初体験の不慣れな監督が手掛けたこの作品は演出も臭いが、ディティールにくすぶる種をまき散らかし放題の下作というのが結論。
マイナス三ツ星
2102-1
心がジーンとします
日本が戦争に負けたそのたった5ヶ月後に、新潟県の佐渡市にある高知村という場所で、実際に起こった実話を基に作られた本作。
傷つき、苦しみ、悲しくてやるせない気持ちをたくさんの人が味わった戦争。その戦争で、日本の敵国となった英国の人間がある日突然現れた。
村の人達の信念と、その人柄によって、本当の意味の平和と、戦争とは何か、戦争は何をもたらすのかを教えてもらいました。
今までたくさんの戦争をテーマにしている映画を観てきましたが、よくあるお涙頂戴のような映画でも、戦闘シーンがたくさんある派手な映画でもない。
でも、戦争の恐ろしさを十分に教えてくれます。
戦争によって自分の一番大切な人を失うことになった母親達の気持ちが明確に表現されるシーンは、胸が締め付けられるました。
二度と戦争が起こらぬようにはどうすれば良いのか。
自分で決める。これに尽きると思いました。
平和な世の中に生きていられる幸せをもっともっと感謝しなくてはと。そして、それがいつまでも続くよう引き継いで行くことが私たちの責任であると思いました。
【日本人の矜持を感じた作品。今作は良作であると、私は思います。】
- 終戦直後の新潟県・佐渡島に不時着したイギリス空軍機の乗組員と地元住民の交流を、実話をもとに映画化した人間ドラマ とあるが、一昔前の日本人は困っている人は(異邦人でも困惑しながらも)助けるという美徳があったんだなあ。
今でも多くの日本人はその気質を引き継いでいると信じたい。実際にウクライナの民を受け入れている市町村があるよね。-
<2013年10月14日 安城コロナシネマワールドにて鑑賞>
■今、思い出したが、当時パンフレットが売り切れていて、パンフ専門店から取り寄せたなあ・・。
(今では、しません・・。)
もう戦争は終わったんだよ
終戦直後の新潟県佐渡島に英軍機が不時着。
実話を基に描く感動作。
ハッキリ言ってベタで甘々な話。
敵国だったイギリス人を温かくもてなす。
育まれる友情。
ある事件が起きても、罪を憎んで人を憎まず。
軍機を飛ばせる為、村人一丸となって浜辺に即席の滑走路を作る。
実話とは言えかなり美談に脚色されているだろうけど、美談でいいのだ。
去年公開された「海難1890」よろしく歴史に埋もれた国と国の友情秘話はそれこそ事実は小説より奇なり。
そんな作り物のような本当の美談は、知って嫌にならない。
劇中、村人一丸となって協力する中、否定的な若者も登場する。
その若者の中ではまだ戦争が続いていた。
数ヶ月前まで敵国として戦っていた訳だし、無理も無い。
突然ガラリと変わった考え、価値観に戸惑うのも当たり前。
でも、そんな若者に一言かけてあげたくなった。
もう戦争は終わったんだよ。
だから、もう憎んだり辛い思いをしなくてもいいんだよ、と。
何故か長く感じた
真実を基に作っているから、ストーリーが良いのは当たり前。
最後のダコタが離陸する瞬間。目に入り込んできたのは模型飛行機。何故ここでCGを駆使しない。それまでの飛ばないダコタは実機を海外から持ち込んでの制作だから、文句を言わせない映像だったのに、最後の最後で鑑賞者を奈落の底に落とす映像は納得出来無い。
人間の表現、描写に時間を掛け過ぎで、はしょっても良い場面は多々あった。
映像も含めて表現するのが映画。ストーリーだけで表現するのだったら、史実や小説で十分な事になる。うまくはしょって、人件費の一部をCGに回して欲しかった。
もっと多くの人が見るべきだと思った。
終戦直後の新潟県・佐渡市に起きた実話をもとにした作品。イギリスの要人機ダコタが不時着した。村人たちは最近まで敵国だったイギリスの人々に対して複雑な思いを抱えながらも、困った者を助けようという佐渡の精神に従い、彼らを暖かく迎えようとする。
脚本が素晴らしいと思いました。佐渡の温かい人柄というのを見事描きだし、見ている人を感動させます。個人的には戦争で息子を亡くした母親とその息子が戦死した地で敵として戦っていたイギリス人青年との国を越えた親子愛です。イギリス人青年もまた英国に息子の帰国を待つ母がいます。そんな国は違えど同じ息子を想う母親の姿。そんな日本の母の姿にイギリス人青年は母国の母を重ねます。最後の飛び立つシーンでは涙が出そうになりました。
普遍的なテーマというのは過去にたくさんあるだけに、逆に扱いが難しいと思います。なんせ一歩間違えるとしらけてしまいます。
あとキャスティングには疑問を持ちました。比嘉さん演じる千代子が常に同じであんまり興味が持てなかったです。窪田くんも。監督はもっと俳優の潜在能力を引き出してあげないと。キレイな芝居って感じで面白くなかった。
しかし昨今のアホみたいな邦画なんかより、全然おもしろいだけになんか悔しい。もっと予算があれば面白く出来る所があると思うからだ。あともっと上映館も増やして、多くの人に見てもらいたい。
若い柔軟な心にきっと力を与えると思います
実話に基づいたお話です。冬の厳しく美しい佐渡の風景の中、温かい優しい気持ちをもらえました、観て良かったです。
終戦間もない佐渡島の浜に不時着した英国空軍機ダコタ。実機ならではの存在感・重量感の映像でした。
困った者を助けるのが佐渡の精神と協力を決めたものの、各々の想いは複雑で…。
窪田正孝演じる元士官学校生・健一の身の置き所のない苛立ちが、伯母が教えてくれた父の戦後に重なり、特別の想いがありました。
慎ましく生きる人々の目線からの平和への思いがしっかり伝わる作品だ思いました。
大人が繰り返し観るのには少し物足りない気もしますが、家族で観るのに最適、ことに子ども達には年齢なりの受け取り方ができると思います。
優しい気持ちが大きな事をやり遂げるお話は何度観てもいいもの、若い柔軟な心にきっと力を与えると思います。冬休みなんかに毎年TVで放送したっていいくらいだ、と思います。
宇崎竜童による音楽、さりげない和太鼓が暗めの冬の海の映像を印象深く彩って良かったです。
何故こんなに良い映画が拡大公開されないのだろうか?その答えが知りたい
「本当に、こんな良い話など有るものか!」といちゃもんを付けたくなる。
綺麗事の多いエピソード話ばかりであった。
だがしかし、これは紛れも無い、史実に基付いて描かれた作品だ。今から約70年近く前の日本人の心には確かに生き付いていた、総てを優しく受け入れる気持ち、物事の良い面を探して、その部分にフォーカスして、協力して伸ばしていこうとする価値観が素晴らしい。
戦後の時代も長くなり高度経済成長、バブル期を経て、経済を中心とした価値観こそが、物事の判断基準の基軸となって来た、現代の生活の中では、中々信じ難い世界観だった。
今の価値観に照らし合わせると、こんな嘘のようなこの物語が、この上なく素晴らしかった!そして、この作品に出会えた事が、何より嬉しかった。
どうしても夏の恒例の終戦記念日に合わせた戦争映画の大半は、戦争と言う過ちを繰り返さない為にと制作される事から、戦前の日本は野蛮な国家で、軍国主義一色で、戦前に生きていた人達の価値観を否定する反戦映画は幾らでも多数存在すると思う。
だが、本作はしっかりと、佐渡の島民の方々の心の中に長く生きていた、総てを許して、
総てを受け入れられる懐の広く優しい心、他者を思いやる美しい心が描かれていた。
私はやはり日本人は、基本的に真面目に日々懸命に生きる民族性を持っていると信じている。これらの性質は、長い日本の農耕民族として生きた歴史に育まれた価値観であり、常に過酷な環境の自然と対峙して生きて来た人々は、廻りの人々と協力して生きる事こそが、己の生命を活かす道であると言う良い性質を日々の生活の中から自然に取り入れた、優しい心根を核に持って生きていた民族だと思う。
鬼畜米英と言う教育を当時は受けていた日本人だが、敗戦で真逆の価値観へと転換しなくてはならない時代であっても、今を生きる自分達には、今何が必要であり、どう生きる事が大切な事なのか、自分達の今置かれた環境に合わせて判断し、生きて行く逞しく、そして柔軟性のある気質が描かれていた事が心難かった。
過去に起きた史実は変える事は出来ない。しかし、その事から学び、今後をよりよく生きようと努める選択肢は沢山存在する。
島国根性とは良い意味で使われる事はあまり無いが、しかし島国に暮す日本人の特質を活かした良い側面を持った島国根性と言う性質もあるものだ。この様な日本人の素晴らしい特質を描いた作品が出来た事は嬉しい。だが制作費の問題なのだろう、映画公開へ向けて、充分な宣伝効果も無いままで、その為に集客動員が多数得られず、公開日数も僅かで上映が終了してしまうのは、残念でならない。
平日の昼間であるにも拘わらず、シネコンのシートは半数以上の観客で埋め尽くされていた。
こう言う日本人の良心を描いた作品こそを単館系であっても良いのでロングラン上映してくれる映画館が有ったなら良いなと願って止まない。
小さな村の大きな心
冷たい風が吹きすさぶ冬の佐渡でのロケが、自然の荒々しさのなか、貧しいながらも助け合って生きる村人たちの生活を捉える。
実話ではあるが、ほかに助けを頼めない日本海の孤島という条件は映画的に面白い条件だ。
海岸線に不時着してそのままの機体。そこに地元が「ノタ」と言って警戒する大波を絡ませ、村人と英国人がひとつになる演出は無理がなく、感動の導火線に火をつける。
単に“昨日の敵は今日の友”だけの話で終わらせてはいない。
幼なじみを戦争で失った悲しみからくる英国人への憎悪、そして戦争で子を失った母が、そのどうしようもない悲しみを怒りに変えてしまうやるせなさを芯に据え、戦後の傷跡の大きさもしっかり伝える。
とくに戦前教育の教えが身に染み付いてしまった健一役の窪田正孝が上手い。内なる思想と外からの教えのギャップに精神を病む役を演らせたら、若手では右に出る者がいない。
千代子が強風に逆らいながら訴える。
「脚がなくなったっていい。生きて帰ってくれさえすれば・・・。そう願うしかない時代には、もう戻したくない」
愛する者を戦争に取られた女たちの悲しみが伝わってくる。
人間ドラマとしてよく出来た作品なのに、上映館が少ないうえ、モーニングショーのみの映画館もあり、非常に残念。
欲をいえば、予算の関係もあるのだろうが、DC-3が不時着する瞬間と、離陸へ向けたコクピット内の様子が加わったなら、エンターテイメントとしても面白さが倍増した。
描くべきドラマ
不時着場面が音だけとか、ありきたりな心の交流の場面にセンスが感じられないとか気になるところはあるのだが、描くべきものをきっちり描いていてよかった。特にその後松本人志監督の『R100』を見たせいで、ちゃんと描くべきものを描くことの素晴らしさを痛感した。
ダコタに故障があって不時着したので修理はさぞ大変なのではないかと思っていたのだが、そこはあっさりと描かれ、飛び立つ場面も割と軽々飛び立っていた。滑走路の出来がよかったからなのだろうか。
美術が素晴らしく、佐渡の様子に2010年代を全く感じさせなかった。
最後にそれぞれの想いがつながる「飛べ!!飛べ!!ダコタ!!」
終戦直後に実際の出来事。
理不尽な死、残された者のやり場のない悲しみや怒り、教育者の自責の念、憎しみあった相手を受け入れる佐渡の人の葛藤が鮮烈に描かれている。
胸が締め付けられながら、戦争だけでなく、どう生きていくべきかも伝える映画だと感じました。
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