インターステラーのレビュー・感想・評価
全961件中、201~220件目を表示
時空系SFの皮をかぶった親子愛物語
滅亡に瀕した人類を救う為、時間の流れる速さが
異なるほどの宇宙の彼方へ向かうスケール感は
観る者を非日常へ投げ込む。
トータルではぐいぐい引き込まれ最後まで視聴できて
しまう作品だった。が、よくよく考えると、娘の部屋
で起きた謎の現象から端を発し、実は五次元空間から
そこへアクセスしたのが主人公だったというつくり、
そういうシチュエーションを見せたいがために設定を
後で考えたような気がしないでもない。
要所要所で流れる未知と深淵を想起させるBGMが
印象深かった。さすがハンス・ジマー。
主人公クーパーが事象の地平を超えた先、三次元に
住む人類に知覚できないであろう領域を映像で表現する
というのは非常に困難なものだったと思う。
奇跡的?に帰還を果たし、外見的には数年しか年を
とってないクーパーと、老いた娘マーフとが再開する
シーンはその切なさに涙せずにはいられない。
贅沢をいうなればラスト、最後の候補星でひとりきりと
なったブランドの元にクーパーが辿り着くようなシーン
まで見せて欲しかった。
SFは既知の科学物理学量子力学etc...を詳しくない人
でも何となく腑に落ちるよう説明しつつ、それらと露骨
に矛盾はしないフィクションを加味しなければならない。
増してこの作品は、家族生活のシーン、宇宙船、宇宙、
異宇宙の惑星、登場人物それぞれの葛藤など、いわば
ミクロとマクロを全部入りで語っているようなつくりで、
これを映画という尺におさめるのはとても困難なこと。
さじ加減を誤ると全部が中途半端と評価されてしまい
かねない。その意味からすればどうにか破綻せず走り
きった良作だと思える。
一度見ただけでは気づかないインターステラーの表設定+裏設定
インターステラー見ましたか?めっちゃ面白いですよね。
どんな話だったか覚えていますか?
なんか地球温暖化で地球に住めなくなって、宇宙に行く…ブラックホールとか重力みたいな話?
インターステラーは壮大なスペースオペラ、親子の絆ものの映画なのですが、クリストファーノーラン監督が映画の背景となる舞台設定にも趣向を凝らしているので解説していきたいと思います。
①表設定:時代設定
『2001年宇宙の旅』の時代設定は言うまでもなく2001年です。では、インターステラーはいつの話と設定されているのでしょうか?
正確な年は決まっていませんが、主人公の父が「私が子供のころは人口は60億人だった、毎日が新しい発明にあふれていた」と言っています。
彼の年齢はおよそ60〜70歳の様に見えます。彼のセリフの「子供の頃」とはおそらく10歳前後を指しているのでしょう。
地球の人口が60億人だったときは1998年です。
1998年:10歳
60歳:2048年
舞台は2048〜2058年ごろの設定とわかります。
余談ですが、この映画の発表年は2014年です。このおじいさんは20代視聴者の将来の姿です。
②表設定:舞台設定
この映画は今から約30年後の未来を時代設定としていますが、
1、世界は第三次世界大戦を経験しており
2、環境問題では砂嵐が吹き荒れ、地球に人間が住めないほどになりつつある
この映画の中で第三次世界大戦が言及されるシーンは多くありますが、インド空軍のドローンを捕獲するシーンでは10年前に空軍が解体されたことがハッキリと書かれています。
インターステラーの世界は定期的な砂嵐が発生しており、主要な農作物を枯らすウィルスが蔓延しています。
この設定は「地球温暖化がこのまま進むとこうなる」という見方もあると思いますが、気候変動だけで30年後に環境はここまで荒廃するでしょうか?
以下が私の解釈です
第三次世界大戦によって、敵国の主要都市または国土全体が爆撃を受け廃墟になり砂嵐が発生。崩れた大量のコンクリートのビルがその嵐に削り取られ、砂嵐を巨大化させた。
この他大陸で発生した砂嵐がアメリカ大陸に届く、というSFなのではないかと私は考えています。
また、農作物を枯らすウィルスは敵国の化学兵器なのかな?とも考えましたが、わざわざ人間の悪意を入れずとも、このように考えることができるのではないでしょうか。
敗戦国での農業は農薬・化学肥料・水資源の不足、また大規模な砂嵐で傷つき枯死する農作物が多く、その中からはカビなどのウィルスも多く発生する。
ウィルスは砂嵐に運ばれてアメリカに到達した。
現代の農業は規模が大きく、規模が大きければ強いウィルスが発生する確率も高くなります。
この様に考えた方が終戦後の資源が少ない世界で人為的にウィルスを発生させるより無理がないと考えました。
③裏設定:社会システム
2001年に人類は宇宙旅行を出来ませんでした。現在火星にすら人間は到達していません。
なぜかと言うと、コスパが悪かったからです。大金が必要なのは当然ですが、それを超えるような必要性がありません。
いずれ宇宙旅行は出来るけど、自分が生きてるうちには行けないかな…?と思う人が多いのではないでしょうか。
それではクリストファーノーラン監督がスペースオペラの映画を撮りたい!と思っても時代を21XX年に設定しなくてはいけません。
監督は舞台を現在から30年後とするために第三次世界大戦後の近未来という設定にしました。
しかしその設定の上で社会を描くと色々な辻褄合わせが必要になります。
ここでクリストファーノーラン監督は全ての辻褄をあわせる裏設定を採用します。
「第三次世界大戦後、アメリカは共産主義化する」
資本主義的な自由経済では環境破壊に歯止めがきかない
これが一番大きな理由だと思いますが、この裏設定で映画のあらゆるシーンに説明がつきます。
インターステラーでのアメリカ版共産主義のポイントです
①企業は全て国営になり、ほとんどの企業は解散させられている
②生活に必要なものは配給制
③国民の仕事は農業
④中央集権的な教育体制
以下に例を挙げてみました
服屋さん
おそらくインターステラーの世界で、服は古着・倉庫に在庫していた新古品を配給で配っています。服を作る企業が地球滅亡寸前の今必要かと言うと、着ることのできる服は山のようにある。
それが2050年ごろの世界を描いているはずなのに服装が未来的でない理由です。
家
家具がほぼ現代と変わらず、むしろ電化製品はほとんどありません。外に電線がありますが、あまり立派ではない。大規模の発電所はテロの対象になるので放棄されています。電機メーカーは国営化し一般人向けの製品は作っていません。扇風機などの個人で直せる様な古い家電は残っています。
車
未来の話なので電気自動車が走っているかと思いきや、普通のガソリン自動車です。新しく自動車を作るより既存の自動車を修理した方が環境に優しいです。また、燃料はガソリンかは不明ですが、バイオエタノールで走っている可能性もあると思います。
教育
小学校のシーンがありますが、アポロは月へ行っていないなど驚きの教育方針で、教科書は“改訂版”が使われています。プロパガンダ教育は完全にソ連のそれです。
ソ連での教育にも大学はありモスクワ大学などの超名門校もあります。ただソ連では集団主義教育というのがあり・・ざっくり言うと中等教育まで終えると学校での実力テストで、農民、研究者、スポーツ選手、軍人など進路が決められます。
反科学的な教育方針を責める主人公に対し、旧教育を受けていた学校の先生(黒人男性)は申し訳なさそうに目を伏せますが、新しい教育を受けた若い先生(白人女性)は何を言っているのかと目を丸くする対照の演技をしているのも面白いです。
ソ連版NASA
自由主義を廃して共産主義化したアメリカではNASAが地球脱出を研究しています。
よく共産圏の科学者は悪の組織とかマッドサイエンティストとして描かれますが、インターステラーは舞台が共産主義なのでマッドサイエンティストが出てきます。
アンハサウェイ(ブラウン博士)です。
ブラウン博士のどこがマッドサイエンティストかというと
受精卵を人工培養して人類の存続をはかるというモラル的に絶対ダメなことなのですが満面の笑みで説明してくれます。
国民は科学を理解していないので、科学者は孤独ですが、独立した環境で、ある程度の倫理問題は無視して目的へ直線距離的に進むのでこうなるのでしょうか。
学校のシーン同様、次世代であるアンハサウェイは「倫理的にダメ!」と言われると困惑した演技をし、老ブラウン博士は気まずそうな演技をします。
おわりに
ヴェルヌという人が書いた『十五少年漂流記』という小説があります。
無人島に流れ着いた少年15人がたくましく2年間を協力しながら生き抜くという冒険小説です。
数十年後、ゴールディングという嫌なやつがいて同じように無人島に流れ着いた少年達がたくましく生き…抜けないという意地悪な小説を書いています。
まず15人も子供達がいたらイジメられるやつが出てくるだろうし、子供がリーダーの言うことを聞いて仕事を続けられる訳がないし、夜には怖がりだす子供もいるだろう…などというツッコミどころに全部つっこんだ同人誌(2次創作)だと思ってください。
本作は『2001年宇宙の旅』が実現しなかった現在において、ツッコミどころに全部つっこんだ二次創作です。
三時間弱あるこの映画で、前半の40分(ロケット発射まで)を使って細かい設定が書き込まれているので、是非その点も見ていただければと思います。
ーーーー
コメンタリーや設定資料を見ずにここまで書いてしまったので、間違いなど指摘いただけると嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
人間味あふれる
面白い
自宅PS4にて、amazon prime videoで鑑賞しました。
今作の監督は(見終わってから知ったのですが)クリストファーノーランです。ノーラン作品といえば、自分はダークナイト3部作ぐらいしか見たことなかったのですが、それとは全く違う雰囲気の作品でした。
ゴリゴリ文系の私には、重力で時間の流れが変わる仕組みや、四次元や五次元の話などさっぱりでしたが、それでも映像として楽しめる作品だと思いました。宇宙の壮大さや美しさ、怖さが色々詰まっています。
終盤、マーフィの部屋で暗号を送っていた幽霊が、実は自分だったと気づいた時は驚きました。ここに繋がってくるのか、と。そして最後は自分より(見た目上は)歳をとった娘と再会し感動のラストを迎えます。
最後の方はかなり面白く飽きずに見られたのですが、ちょっと長いと感じてしまいました。やはり3時間弱は私の集中力では限界ですね…ただ終盤の面白さは必見だと思います。
いい意味で大変な映画だった
映像はカッコイイけど
惑星間を繋ぐもの
メディアも某有名人もこぞって「やっぱりノーランは違う」「ノーラン天才!」「最高ノーラン」と言うので、なんだか流れでこの方のすべての監督作品を観てます。構成とかはスゲー!!って思うのですが、エモーショナルな部分は揺さぶられることはそれほどなくて、どこまでも“理系”というのがこの方の作品の印象。テネットとかもはや「やりたいことやりました」みたいな印象でした。
そのなかで唯一感情を揺さぶられたのが本作。父と娘の関係性に、感動しました。息子の扱いは少し不憫でしたが・・・・
インセプションも個人的には多少エモーショナルな印象を受けましたが、設定が振り切れてたのと、ディカプリオの眉間に皺の演技が邪魔して感情移入しきれませんでした。
自分の中ではノーラン監督作品ベストです。多分、脚本に弟さんのエッセンスが入ると個人的にはハマる気がします。
映画の最高到達点
宇宙旅行を扱った映画で、現時点で表現できるおそらく最高のクオリティと言っていいだろう。
そして、女性にはもしかして理解してもらえないかもしれない。同じく、子供にも。
「ブレードランナー」「2001年宇宙の旅」「12モンキーズ」「ライトスタッフ」過去を彩った金字塔の映画たち、間違いなくこれらと同列に扱われる名作だ。
映画はここまで来た。
ブルーレイ版が発売された暁には、自宅で何度でも何度でも繰り返し見たいものだ。
レビューなので、あえて、この映画の難点を挙げておく、参考にされるといい。
・長い! およそ3時間。コンディションが良くないと集中力は限界に達する。
・ストーリーがこみいっていて難解。ある程度、理論物理学やSF映画などの予備知識があったほうが楽しめる。その分、敷居の高い映画になっている。
・映画のラスト、主人公のたどる運命は、荒唐無稽、ちょっとありそうに無い展開をたどるが、前半に散りばめられたていねいな伏線を鮮やかに回収している。その点、見事なカタルシスを得られるものの、納得できない人は、全く受け入れないであろう。
・間違いなくデートムービーにはならない。見終わったあと、どちらかが映画の不満を言おうものなら、ケンカになってしまうだろう。
・「ダークナイト」「ダークナイト・ライジング」を期待する向きにはおすすめ出来ないかも。「インセプション」的な難解なプロットが好きな人にはおすすめ出来るかも。
・IMAX版で鑑賞。音響のやかましさは、限界を越えている。そして、印象的なテーマの音楽が無かった。過去を彩った名作の映画たちには必ずそれがあった。個人的にはそこが唯一の残念ポイント。
2014.11.23
最新の科学考証に基づく映像美と愛力(?)のストーリー
アマプラで2回目試聴。
まずは最新の科学考証に基づく映像美が特徴的。荒廃していく地球の風景、ワームホールの通過、未知の惑星の風景(地球ではありえない規模の大津波、永遠氷に覆われた惑星)、ブラックホールの縁の風景、ブラックホールへの突入と人類が未だ見たことのない風景を映像化してみせてくれる。宇宙船のドッキングシーンやラストの宇宙ステーションなどメカメカしいとこもリアルさを追求してて見てるだけで面白い。
ストーリーのほうは親子愛というテーマが多くの人の心を打つようでこの作品の評価を高めている。愛は時空間を超越し五次元宇宙から愛する娘へメッセージを送れる。そのメッセージが人類を救い感動の再会も可能にする…。五次元宇宙なんて最新科学でも考証のしようがないからいくらでも想像を羽ばたかせられるし、実際親子愛の物語は感動的だけど流石にちょっとご都合主義に感じてしまう…。
自分はノーラン作品に映像美とともにインセプションのような複雑なアイデアを基にしたストーリー展開を求める派。この作品は一般受けはいいんだろうけど個人的にはノーラン作品の中でランキングつけるなら、やっぱ4番目か5番目くらいだなあ…。
20241013再視聴
親子愛の物語はご都合主義と感じたけど、伏線張ってあったんだなと思い再評価。アメリアが愛の力は時間や空間を超越して働く引力といってるのは、恋人に会いたい世迷いごとに見えて実は重要な指摘だったと。三次元が重力、四次元が時間、五次元が愛による引力と考えると、五次元人は愛力(?)を物理的な力として観測できる人達なんだな。昔の人が重力を観測できなかったようにいつか人類が観測できるようになり、遡って歴史的チョークポイントに干渉している…そう考えると結構SFしてるのかも?一般受け狙いの設定化と思いきやちゃんとノーラン作品してたんだな。
ひとりぼっちのアンハサウェイ…
マッドデイモンめ、やってくれたな!って思いながら見た笑
本が大量に落ちてくるシーンは伏線回収というのがありありとしてて、ちょっと間延びした印象。
海外映画らしく最後は大団円という感じだったが最後アンハサウェイがひとりぼっちに…
誰かに勧めたい作品
マットデイモン
全961件中、201~220件目を表示