「宇宙を、時を、次元を超越する愛は、全ての希望」インターステラー 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
宇宙を、時を、次元を超越する愛は、全ての希望
藤子・F・不二雄のSF短編漫画で「一千年後の再会」「旅人還る」など未知の宇宙へ旅立つ話があり、これを壮大なスケールで実写映画化したら面白くなりそうだなぁと思っていたのだが、ある意味それが叶ったと言える。
世界的飢饉と災害で滅亡近付く近未来。移住可能な星を探す為、男は未知の宇宙へ旅立つ…。
アルフォンソ・キュアロンが「ゼロ・グラビティ」を放ったかと思えば、クリストファー・ノーランも負けじと放つ。
最近滅多にお目にかかれないハードSFの力作!
鑑賞中は別宇宙に、映画館を出たら地球に戻って来たような錯覚すら感じた。
冒頭は宇宙とは無縁そうなトウモロコシ畑の家族のドラマ。
宇宙にいつ旅立つ?…と、ちょっとモヤモヤしたが、実は後の展開へ繋がる重要な部分。
特に、“幽霊”“STAY”“腕時計”は要注目!
そしていよいよ、未知の宇宙、未知の星へ…
SF映画で度々未知の宇宙は見るが、ほとんどが娯楽、スペースオペラの世界。
「2001年宇宙の旅」「コンタクト」などを彷彿させるリアル宇宙世界。こういう知的SFが見たかった!
相対性理論、ブラックホールとワームホール、冷凍冬眠…僕の中の宇宙への知的好奇心がワクワクくすぐられた。
遥か彼方の宇宙での危機と残された地球での危機が交錯して進み、スリルを煽る。
終盤は、誰も見た事の無い別次元へ…
確かに小難しいし、分かり難い点もある。
ツッコミ所やご都合主義、僕の知っている宇宙理論と違う点もある。
何より、相対性理論など多少なりとも分かっていないと着いていけないかもしれない。
だけど現在考えられる、素晴らしい宇宙理論映画。
そのスケール、そのハードな内容に圧巻・圧倒され、実力派俳優らが魅せる熱演と丹念な人間ドラマに心揺さぶられる。
相対性理論やブラックホールなどSF映画のような設定が実際に存在が確認されたり理論上証明されている。
それに迫るは、人類の科学と進歩。
しかし、それを駆り立てるものがある。
ベタな言い方で恐縮だが、即ち、愛だ。
男は約束した。必ず戻ると。帰らねばならぬ娘の元へ。
どんなに遥か彼方へ離れようと、時が隔てようと、次元を超越しようと、繋がっている。
救いたい、守りたい、再び会いたい…。
唯一の…いや、全ての希望となる。