鑑定士と顔のない依頼人のレビュー・感想・評価
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伏線が切ない
全体的に切ない。ものすごく。
まず題名。「顔のない依頼人」…このトリックに見終わってしばらくしてから気づいた。クレアじゃないんだ。いや、クレアでもあるんだけど、多分二重の意味。
「顔のない依頼人」の顔を見たとき、あれ?こんな感じで題名回収しちゃうの?って思って少し盛り下がったんだけど、ごめんなさい。多分あのへんが1個の区切りなのかな、と。「堅物鑑定士」が人に対する感情を知り、その感情に振り回される「老人」になっていく区切り。
思い返すと色んなところに伏線があるんだけど、1番真相に近いものとして、序盤の落ちていた歯車の矛盾。この矛盾に気づいたのは「堅物鑑定士」だった。それがクレアによって崩されていき、クレアを愛するようになり、普通の「老人」になったとき自分が生涯をかけ集めた宝、プライド、すべて根こそぎ奪われた。
もし「堅物鑑定士」のまま、ロバートたちに奪われいたら、あんな風にはならなかったんだろうなあ。切ねえ。
クレアがいなくなったとき、向かいのバーで若者たちがバージルに教えてくれた「様子がおかしかった」っていうのも、「いつもとは違う」つまり屋敷を頻繁に出入りしている伏線だったのかな。多分これもバージルが「堅物鑑定士」のままだったら気づいた「矛盾」なんだろうなあ。なんて。
あと「贋作の中にも本物はある」…最後、ロバートが言ったセリフだけど、この「本物」っていうのはバージルのクレアへの愛、っていう皮肉だったのか、クレアからバージルへの愛、っていうほんの少しの置き土産だったのか。
どっちにしろものすごく切ない。
でもこういう切なさが好き。
変にハッピーエンドにならなくて良かったー
難しかった
終盤10分で話が一変する。
主人公の人生が一瞬で崩壊する。
こんな話誰にでも作れるもんじゃないなと、ただただ圧倒された。
レビューを漁ったり、この作品のまとめページをみてようやくストーリーを理解したけど子供向けではなく、もっともっと大人になってからみると、より楽しめる作品なんだと思った。
主人公にとって愛した女の人は贋作だったけどその気持ちは本物だったから、その気持ちの余韻に浸りながら生涯を終えるのが幸せ
という、本当に深いもの。
今はまだこの作品の本当の良さに気付けないから、その日が来たら絶対もう一度観ようと思った。
リピは無いけど楽しめますよ!
特に期待せず見ました。
最初とは違う結末に…
まさか鑑定士が騙されるとは!!!
確かに鼻持ちならない癇癪を起こすことのある鑑定士だし、あの機械屋さんのイケメンとクレアと嘘をついていた美人さん!
美男美女で素敵でした。
若い人に騙された、腹がたつ!
けれど若い女とのセックスシーンの回想は、騙されて当然だと認めようとしている。
そんな風に思えました。
こわい…
この映画のラスト、ほんと怖い。
主人公が悟った瞬間、
(絵画のコレクション部屋へ入った瞬間ですね)
主人公が息を飲む、というか声にならない声を出すシーン、
観ている側もそうでした。
悲しすぎる。
悲しいハッピーエンド
人生を鑑定士という職業に注力してきた童貞おっさん。
そのおっさんが人間性を取り戻すヒューマンドラマです。
道中はラブストーリーand少しミステリーな部分もありますが。
幽霊?オートマト?と思わせて視聴者を揺さぶっていくのはなかなかうまいと思いました。
ただミステリーという気持ちで観たので、後半は肩透かしというか、物足りなさがありました。
ドンデン返しとも言えなくもないですが、もう後半は裏切られるにおいがプンプンしてきて「あぁ…」という感じです。
最後の最後、カフェで待ち続けるのは、決して哀れなバッドエンドなのではなく、彼が愛するということの素晴らしさに気付き、それを信じ続けることが出来る人間になれた、という悲しいハッピーエンドです。
とはいえ、自分のような人間は大満足!といえる終わり方ではなかった…。
トルナトーレ監督作品でなければ。。
トルナトーレ監督ということで過度の期待をしていまったか。 それに「ニュー・シネマ・パラダイス」を生涯最高の映画と思っている私としては、ハートウォーミングなストーリーを期待していたので、がっかり。。
ただ監督でない方の映画で、単にミステリー作品として観たとして。。
最後のオチが分からない序盤では、何とも違和感のあるストーリー展開で感情移入ができないまま進んでいく。
何年も外に出たことがない人の対応、つまり突然主人公の前に現れたり、それからトントン拍子に話しが進み、恋愛感情まで展開することがどうみてもおかしい。 それで最後主人公の秘密の部屋に招待されて、喜んで抱きつく。。う~ん。
外に出られない人、常日頃グローブをして物・人に触れる嫌悪感を持っている、女性の肖像画をコレクションして一人で秘密の部屋でそれらに囲まれながらくつろぐ人、どっちも普通の人の感性では理解できない、何かがあるでしょう?って思ってしまう。
その深堀のほうが、よっぽどストーリーの深みが期待できた気がする。
だからそんな人生を歩んできた人物なら、仕草、表情、立ち振る舞いがもっと違うドロドロした根深いものがあるんじゃないかと思って止まなかったので、終始モヤモヤした気持ちで観ていました。
ただ最後クレアが全てを打ち明かしたシーンでは、そんなモヤモヤが一気に吹き飛び爽快でした。 ネタの仕込み方といい、タイミングといい、余計な説明がないスピード感といい、申し分なし。 その後、騙した彼らがどうなったのか?ビリーはどう絡んでたのか?なんてことはあれど、まあそれらはよいとして、ラストシーンの意味深な一言も含め、観たあと考えさせられる映画ってことで、自分としては全て許容内。 いいんじゃないかと。
それに映画全体の雰囲気は良かったです。 映像美、カメラワーク、絶妙な間、少量のユーモアも。 そして当然ながら音楽も、監督ならではの映画作りの拘りがあり、満足のいくものでした。
がびーん
ジェフリー・ラッシュ。「英国王のスピーチ」で王の吃音症の治療に当たった人。頑固で、理屈っぽくて、偏屈なおじいさん。同じような役だけど・・・今回は色恋沙汰に巻き込まれた。しかも結構えげつないやつ。最後はチーン、って感じでした。何も残らなかった。残念無念。
クレア、ロバート、ビリーなどなどみんなグルで、最終的にバージルのあのパニックルーム的な部屋に入って、肖像画たちを盗むことが目的だったのね。クレアはさすがにちょっと怪しいと思ったけど、ビリーも仲間だったのは予想外だった。仲間っていうかボスだよね。オークションで「贋作」として客を騙してバージルが落札した「本物」を含め、価値のあるものが全部あの部屋にあるというのはビリーから漏れたに違いないし。往年の友達がねぇ。いやぁ、えげつない。。。
年老いてから訪れた初めての恋に浮足立つバージルを、ロバートはずっとどんな表情で見ていたんだろう、と思って全部観終わってからところどころもう一度観たけど、なんか余計に可哀想になってしまった。一番身近にいたのに、信頼していたのに、酷いぜロバート。うぅ。
「自分みたいな老いぼれがこんな美しい女性と・・・いやいや、ありえないだろ、正気を保てよ自分。絶対裏になんかあるぞ」とか思わなかったのかな、バージルは。思わなかったんだろうなぁ。私性格的にめっちゃ日本人だから、都合の良すぎる話の裏には絶対なんかあると勘ぐってしまいそう。
「ジョゼと虎と魚たち」を思い出した。妻夫木の登場で池脇千鶴の人生にはそれまでになかった何かがもたらされた。結果的に妻夫木は失ったけど、彼との恋愛という経験そのものを池脇は嬉しく思っているような気がした。諦めていた恋。自分には無縁だと思っていた幸福感。私だったら絶対やだけど。結局去るなら最初から現れんなボケって感じだけど。
バージルはどうかなぁ。池脇みたいに「いなくなっちゃったけど幸福な経験ができたし、まぁ悪くはなかった」と割り切れたようには見えなかった。ずっと待ち続けるのかな、Night & Dayで。。。「贋作」だったクレアの愛に少しでも「本物」が混ざっていたといいなぁ。いや、その方がよっぽど酷か。。。
余談。最近美術館めぐりにハマっているので、映画の中でいろいろな絵画や建築物を見られてまさに海外の美術館にいるような気分だった。オチが気にくわないし、内容的には★2つくらいだけど、映像が綺麗だったから★3つ!
とにかく腹が立つ!
「鑑定士と顔のない依頼人」字幕版で鑑賞。
元々、この映画は公開日に劇場で観に行く予定だったんですけど、用事があって観に行けず、DVDで観ようと思い、ようやく今日レンタル店へ行き、借りて鑑賞しました。
観終わって愕然としましたね!結局、ヴァージル周りから騙されてんじゃん!何なんですか周りのやつら!
特にクレア!ヴァージルに怒鳴って→謝罪→再び喧嘩→謝罪って...情緒不安定かお前は!閉じこもってないで、外出ろや!
ヴァージルとヤったり、散々、ヴァージルに色々してくれてるのに何なんだ最後!(-""-;)
ロバートまで、全く。。。胸糞わるい!
ヴァージルが可哀想ですよ!
すいません、、暴言書いてしまって(^^;
とにかくそれぐらい腹立つんです。
評価が高いようですが、僕は星0.5にしました。
オチが最低なので、全くオススメしません!
以上!
老人と娘の奇妙な物語
姿を見せない依頼人とオートマトンの伏線から二転三転で、先を読ませないストーリーが私にはなかなか響きました。
最後まで観ると見方が変わるんですが、この天才鑑定士の老人と謎めいた依頼人の女性はお互い引きあい影響を受け自分の殻を破るという、とても良いお話だったと思います。
裸のシーンもあるんですが、それなりの年齢ではあるもののお互い異性を知らないので、いやらしさがなく高尚な文学作品というか芸術的な描写にみえました。
絵画を扱ってたのでよりそう見えたのかもしれません。
個人的には最後のどんでん返しがなくても老人と女性の心通わせる物語だけで充分面白かったと思います。
最後の「ツレを待ってる」という言葉の真意がちょっとわかりにくかったんですが、見栄なのか本当にクレアを待ってるのか…どちらにしても悲しいですね。
もう少し物語の裏側を描いて欲しかったですが、一つのシナリオとしての完成度はなかなか高かったと思います。
胸が苦しくなった
前情報なしに観たのでラストを観るまではどこがミステリーなんだろう?と言う印象。
頭の堅い老紳士が心を開いていくヒューマンドラマじゃないか、とまで思えます。
途中途中で出てくるバーの子ども?と言うか女性というか、に何か意味があるのだろうとは思っていたがまさかだった。
他の方が言っているようにこの邦題をつけている割には、そこまで意味がないような…という印象もある。
映像や美術品等きれいだし、私としてはお話的にはつまらないわけではなかったけれど、年老いて初めての愛を知った老人には辛い仕打ち過ぎて胸が苦しくなった。
ラストで出てくるカフェ?なのかな?あれは素敵。
尾を引くエンディング
ジェフリー・ラッシュさすがの名演です。
ジュゼッペ・トルナトーレさすがの名監督です。
エンニオ・モリコーネ・・・あれっ、どんな音楽だったっけ???
・・・まっ、映画と一体化していたということで(笑)
---この先はまだ見ていない人は見ないほうがいいです---
最初は老いの悲しさを感じさせるエンディングに
嫌悪感が先だったものの・・・
逆だよね、ハッピーエンドだよね、
監督もそう言ってるらしい。
そう思って見返すと
なんて素晴らしい映画なんだろう(笑)
確かに、鑑定士がそこそこの中年であれば
ハッピーエンドも素直に想像できるな、ふむふむ。
でも冷静に考えると
あの老いぼれジジイ(失礼)のどこに惚れたんだろう???
という疑問も浮かぶ(苦笑)
そう思うと、やっぱり老いは悲しい???
なんとも言えない切なさ
私はpv等を見ずに視聴しました。
鑑定士としての仕事、顔のない依頼人との接触が面白く作品に取り込まれて来た中、最後の急展開
なんとも言えない切なさと完結の綺麗さ、そして最後に謎を残す大作でした!
見いる
騙す方が悪いのか、騙される方が悪いのか、あるいは騙されてもなお幸せなのか。巨額の富を持つ人の間では、しばし聞かれる身近な人による詐欺。世の中にはお金のために続ける人間関係が多いのだろうけど、持てるものの尊大な態度が度を越すと、憎しみに変わるのだなー。
この場合、いつまでも希望を捨てられないほど、女性にうぶな男性を騙すのは、最も心をえぐるえげつないやり方だけど、騙すには最適のとっかかりだったな。お見事です。
映画として、希望を残したのか、ただあわれな男性を見せつけたのか、余韻を残して、見終わっても頭から離れない映画になりました。
普通なら、良くある、なんてことないどんでん返しな結末ですが、見終わ...
普通なら、良くある、なんてことないどんでん返しな結末ですが、見終わって少しの間放心。
えっ、こんな結末⁈
人生絶頂の所で、しかも老齢なのに、この仕打ちは正直、可哀相すぎます。
絵画の収集はそんなに、褒められた手法では、当然ありませんが、もっと懲らしめてやるべき奴は沢山居ますよ。
という感じで、酷く感情移入してしまいました。
生き馬の目を抜くヨーロッパ社会、油断している者、隙を見せた者、女性に疎い者は注意しないとトンデモナイ目に遭いますよと監督は言いたかったのかなぁ。
ラストシーンは主人公に立ち直って欲しいと切に願いました。(ここまで酷いと無理かなぁ)
いい映画でしたが、救いが無く自分自身騙される怖さも分かるので☆☆☆☆4星は上げられませんね。
3・5星にしときます。
恨みは買うもんじゃないね
才能を軽視された復讐に、とても目利きな鑑定士のプライドを、全てが仕組まれた夢の世界に浸らせてからずたずたにする映画。鑑定士は確かにちょっと取っ付きにくくて頑固で絵画の入手手段も全うではないけど、生き甲斐の絵画ややっと見つけた愛や信頼を置いた仲間まで、何もかもを取り上げても構わないほど仕掛け人を傷付けたのだろうか?
私にはやりすぎで可哀想。という気持ちが残る。鑑定士は人間不信で拠り所が何もない抜け殻にされてしまった。面白かったけど後味が悪すぎる。
彼が本当に奪われたもの。
まず圧倒されたのは作品全体に散りばめられた、美術品、調度品の素晴らしさだった。特に鑑定士である彼の秘密の部屋の壁一面に飾られた女性の肖像画は壮観だった。あの部屋は彼の心の中であり、長年かけて創り上げた何にも代え難い安らぎの場だったのだろう。
映画をみてすぐは悲しい話だけど、何がそんなに悲しいのか自分でもわからずにいた。でも少し時間を置くうちにみえてきた、自分がどこに感じるところがあったのか。
元々気難しく、他人を寄せ付けないし信用もしない。何よりも自分の欲しいものを手に入れるためには手段を選ばない、傲慢で鼻持ちならない偏屈なおじさんだ。酷い仕打ちを受けても仕方がないと言えばそうだろう。
そして画家として陽の目をみることのなかったビリーにとって長年彼から受けた屈辱は耐え難いものだったのだろう。
それもよくわかる。
ただ、あそこまでひどい仕打ちをしてまで、晴らしたい恨みだったのだろうか。
彼にとって美術品は人生の全てだ。彼はそうやって人を信じることなくたった1人で生きてきた。その心の拠り所である美術品を奪うだけでは足りず、彼が美術品に執着することで補ってきたであろう心の内、閉じ込めてきた心の1番大事な扉をみんなで寄ってたかってこじ開けてしまったのだ。今までかつてない幸福な夢をみて彼は人生で初めて幸せとは何であるかを知ったに違いない。そこで見せつけられた絶望とはどんなものだろう。彼はそこに何をみたのだろうか。
彼が本当に奪われたのは貴重な美術品ではなく、人として生きるための前向きな力、果ては死ぬ気力までも根こそぎ奪いとられてしまったのではないか。
恨みや憎しみに駆られて復讐するにもエネルギーがいる。彼はそれができないほどに打ちのめされてしまったのだ。それはあまりに惨いことのように思う。
彼がビリーにした仕打ちの代償があまりに大きすぎた気がした。最後の連れを待つシーンは本当に胸が痛んだ。
最後のどんでん返しですっきりするだけの映画ではなく、「人間」を考えさせられた映画でした。
鎧を一枚一枚剥ぎ取って
いかれたのは彼女じゃなくてジジイだった!!
お、お見事です…繊細な童貞ジジイの演技(最初の状態でも偏屈なイケジジイとしての魅力が溢れている)から、彼女に夢中になりだしたちょっとかっこ悪い脱童貞ジジイへの変貌、周囲の人物の配置…素晴らしいカメラアングル…。結末はなんとなくわかりましたが引き込まれました。
最初は偏屈ジジイの鑑定物語、そして謎のパーツと依頼人のミステリー、童貞ジジイの恋愛物語…そしてミステリーに戻ってくるという、自然に心の置きどころの移り変わりを操作される感じ…嫌いじゃない…。
二度目も見て確認したい!!
結末には色々あります。彼女は来たのか?来なかったのか?人を見る目のある鑑定士に最小限の嘘だけですますために、本当にナイトアンドデイの場所は好きだったと本音を混ぜていただけなのか、それすら嘘なのか?もし来たとしてジジイは彼女を許してしまうのか?
大体において、ビリー一味は一切法を犯していない。逆に、ヴァージルは歯車を掻き集めて(論文を読まれたのだろうなあ)内緒で組み立てている。もしも部屋に入れてもらった時、自動人形のことを諦めるなり、明かすなりしたら、彼女は計画を最後までやらなかったのでは?という因果応報(というにはきついが)さを感じ、私より家具のことが大事なんでしょうという言葉の重さもずっしりくる。
そしてこの作戦の陣頭指揮を取ったであろうビリーは確実にジジイの好みと落とす手練手管を持っていてお前ホモか?!と罵倒して、リハビリを終えたヴィージルがあのクソガキをボコボコにするまでのアクションエピソードを想像して余韻を楽しんでいます酷い…酷い話だ…。
かといって結婚したままハッピーエンドもちょっと違うので、お話の結末というのは難しいですね。
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