「あまりにも美しい贋作」鑑定士と顔のない依頼人 ユウさんの映画レビュー(感想・評価)
あまりにも美しい贋作
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「いかなる贋作の中にも必ず本物が潜む」
映画を見終わった後は、この言葉が例の機械人形みたいに頭の中でリピートされていました。
贋作はどこまでいっても贋作であり、決して本物になることはできない。しかし、ひとりの人間がそれを描いている以上、その作品にはどこかに本物がある。
あのクレアは偽物であり、バージルへの愛も偽物だった。それについては残酷ですが、それ以上もそれ以下もありません。贋作が本物になることがあり得ない事と同じです。しかし、彼女は演技ながらも彼を愛し、彼に救われました。孤独な老人を愛すひとりの女性、という偽物のなかの、どこかにクレア自身さえ気付かない本物が潜んでいたのではないかと考えずにはいられません。
最後のどんでん返しがこの作品の主体ではなく、作中で何度も問いかけられる「贋作の中の本物とは?」についてを考えさせられる話だと思いました。だからこそ偽物であるはずの愛があんなにも美しく、完璧に描かれていたのだと思います。
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