「がびーん」鑑定士と顔のない依頼人 Chisaさんの映画レビュー(感想・評価)
がびーん
ジェフリー・ラッシュ。「英国王のスピーチ」で王の吃音症の治療に当たった人。頑固で、理屈っぽくて、偏屈なおじいさん。同じような役だけど・・・今回は色恋沙汰に巻き込まれた。しかも結構えげつないやつ。最後はチーン、って感じでした。何も残らなかった。残念無念。
クレア、ロバート、ビリーなどなどみんなグルで、最終的にバージルのあのパニックルーム的な部屋に入って、肖像画たちを盗むことが目的だったのね。クレアはさすがにちょっと怪しいと思ったけど、ビリーも仲間だったのは予想外だった。仲間っていうかボスだよね。オークションで「贋作」として客を騙してバージルが落札した「本物」を含め、価値のあるものが全部あの部屋にあるというのはビリーから漏れたに違いないし。往年の友達がねぇ。いやぁ、えげつない。。。
年老いてから訪れた初めての恋に浮足立つバージルを、ロバートはずっとどんな表情で見ていたんだろう、と思って全部観終わってからところどころもう一度観たけど、なんか余計に可哀想になってしまった。一番身近にいたのに、信頼していたのに、酷いぜロバート。うぅ。
「自分みたいな老いぼれがこんな美しい女性と・・・いやいや、ありえないだろ、正気を保てよ自分。絶対裏になんかあるぞ」とか思わなかったのかな、バージルは。思わなかったんだろうなぁ。私性格的にめっちゃ日本人だから、都合の良すぎる話の裏には絶対なんかあると勘ぐってしまいそう。
「ジョゼと虎と魚たち」を思い出した。妻夫木の登場で池脇千鶴の人生にはそれまでになかった何かがもたらされた。結果的に妻夫木は失ったけど、彼との恋愛という経験そのものを池脇は嬉しく思っているような気がした。諦めていた恋。自分には無縁だと思っていた幸福感。私だったら絶対やだけど。結局去るなら最初から現れんなボケって感じだけど。
バージルはどうかなぁ。池脇みたいに「いなくなっちゃったけど幸福な経験ができたし、まぁ悪くはなかった」と割り切れたようには見えなかった。ずっと待ち続けるのかな、Night & Dayで。。。「贋作」だったクレアの愛に少しでも「本物」が混ざっていたといいなぁ。いや、その方がよっぽど酷か。。。
余談。最近美術館めぐりにハマっているので、映画の中でいろいろな絵画や建築物を見られてまさに海外の美術館にいるような気分だった。オチが気にくわないし、内容的には★2つくらいだけど、映像が綺麗だったから★3つ!