「鎧を一枚一枚剥ぎ取って」鑑定士と顔のない依頼人 れおさんの映画レビュー(感想・評価)
鎧を一枚一枚剥ぎ取って
いかれたのは彼女じゃなくてジジイだった!!
お、お見事です…繊細な童貞ジジイの演技(最初の状態でも偏屈なイケジジイとしての魅力が溢れている)から、彼女に夢中になりだしたちょっとかっこ悪い脱童貞ジジイへの変貌、周囲の人物の配置…素晴らしいカメラアングル…。結末はなんとなくわかりましたが引き込まれました。
最初は偏屈ジジイの鑑定物語、そして謎のパーツと依頼人のミステリー、童貞ジジイの恋愛物語…そしてミステリーに戻ってくるという、自然に心の置きどころの移り変わりを操作される感じ…嫌いじゃない…。
二度目も見て確認したい!!
結末には色々あります。彼女は来たのか?来なかったのか?人を見る目のある鑑定士に最小限の嘘だけですますために、本当にナイトアンドデイの場所は好きだったと本音を混ぜていただけなのか、それすら嘘なのか?もし来たとしてジジイは彼女を許してしまうのか?
大体において、ビリー一味は一切法を犯していない。逆に、ヴァージルは歯車を掻き集めて(論文を読まれたのだろうなあ)内緒で組み立てている。もしも部屋に入れてもらった時、自動人形のことを諦めるなり、明かすなりしたら、彼女は計画を最後までやらなかったのでは?という因果応報(というにはきついが)さを感じ、私より家具のことが大事なんでしょうという言葉の重さもずっしりくる。
そしてこの作戦の陣頭指揮を取ったであろうビリーは確実にジジイの好みと落とす手練手管を持っていてお前ホモか?!と罵倒して、リハビリを終えたヴィージルがあのクソガキをボコボコにするまでのアクションエピソードを想像して余韻を楽しんでいます酷い…酷い話だ…。
かといって結婚したままハッピーエンドもちょっと違うので、お話の結末というのは難しいですね。