スノーピアサー : 特集
ポン・ジュノは前に進み続ける──そして見つけた、《誰も見たことのない境地》
本作の“唯一無二”ぶりを、今3人のスペシャリストが断言!
氷河期に突入した地球上を疾走する列車を舞台に、最後の人類たちの革命闘争を描く近未来SFサスペンス「スノーピアサー」が2月7日に公開される。「グエムル 漢江の怪物」「母なる証明」と、作品を発表するごとに斬新な映像と巧みなストーリーテリングで世界的評価を受けるポン・ジュノ監督が、クリス・エバンスほかハリウッド俳優を集結させて挑んだ初の国際的作品で、ついに“誰も見たことのない境地”へと到達した。同作が放つオンリーワンの魅力を、3人のスペシャリストが解説する。
■なぜ“誰も見たことがない”のか?
SF、社会構造、映画のスペシャリストも認める3つの“オンリーワン”を備えているからだ
なぜ「スノーピアサー」は“誰も見たことがない”SFエンターテインメントなのか? 本作が持つ「近未来SFの世界観」「人間社会の描写」「ポン・ジュノ監督の異才」という3つの“オンリーワン”について、SF、社会構造、映画のスペシャリストたちがその真髄を語る。
■3つの“唯一無二”の完璧なる融合──
渾然一体を成すからこそ、本作は“他に類を見ない”のだ
再び訪れた氷河期の地球を“ノアの方舟”となった列車が疾走するという近未来の世界観、そして、その列車自体が唯一残された“人類社会”として機能し、階級闘争が繰り広げられるという物語。さらには、その物語を構築するのが、他の誰でもないアジアの俊才、ポン・ジュノ監督であるという点。これら3つのポイントが渾然一体を成しているからこそ、「スノーピアサー」には“他に類を見ない”という形容詞が相応しい。
近未来SF、階級闘争、俊英監督という面だけで見れば、かつて同傾向の作品や人物は存在したかもしれない。だが、「スノーピアサー」の場合は、それぞれの要素にもうひとひねりが加えられており、“唯一無二”のユニークさを確立させている。そうした他に例がない3要素がさらに融合しているのだから、本作が誰も見たことのない、他に例のない映画となったのは必然なのだ。
また、英語によるSF大作であるにも関わらず、いわゆるアメリカ発ハリウッド映画ではなくアメリカ・フランス・韓国の合作であることも、本作が独特の魅力を放っていることと無関係ではない。原作はフランスのビジュアルコミックであり、世界各国のスタッフが結集し、クリス・エバンス、ティルダ・スウィントン、ジェイミー・ベル、ジョン・ハート、エド・ハリス、ソン・ガンホら名優が壮絶なドラマを繰り広げる。アメリカ映画のスリリングなアクション性と、ヨーロッパ映画、東アジア映画が持つ深遠なる精神性の見事な両立は、本作でしか拝めないのは確実だ。