「時間軸の交差が有り、集中力を要する作品だが、感動は御約束の女子必見作」ある愛へと続く旅 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
時間軸の交差が有り、集中力を要する作品だが、感動は御約束の女子必見作
この秋観て凄く好きになった「42世界を変えた男」が勇気・希望・元気に満ち溢れる「動」の感動作品と評価すると、本作は歴史の渦と言う大きな運命の変化に翻弄されていく中で起きる家族を描いた「静」の感動に包まれる作品だ。
琴線に触れる、静かな感動を呼ぶ映画として、是非、一人でも多くの映画ファンに観て頂きたい作品がこの「ある愛へと続く旅」なのだ。
観賞後、不覚にも、後から後から涙が流れて、止まらなくなってしまった。
チェックイン人数もまだまだ少ないと言う事は、この作品の存在自体を知らないでいる人も沢山おられるのかも知れないが、もしも、チャンスが有るなら、この映画を観て絶対損はしない映画なので推薦したい!
何と言ってもこの映画の魅力は、第一番にヒロインであるジェマを演じている、スペインを代表する女優のペネロペ・クルスの魅力に因るところが大きいのだ。
しかし、彼女もデビューから20年も経過して、大ベテランの実力派の俳優だけれども、若い映画ファンの人達からみると彼女はもう既にオバサンのイメージがあるのかも知れない。私などは、熟女の年齢に差し掛かっている彼女は、若い頃もチャーミングで芝居も確かだったが、これからが女優として、本格的に魅力を発揮出来る時期なので、もっともっと楽しみな油の乗った最高の時期だと思うのですが?若い世代の映画ファンには、興味が薄くて、チェックインの人数が少ないのだろうか?
原作はマルガレート・マッツァンティーニの手によるベストセラー作品だが、原作本を読んでいないので、映画が、どこまで原作の香りを描いているのかは解りませんが、しかし、良く練られた脚本であり、大河ドラマと呼べる、力作だ。
特に女性の人にはお薦めの作品で、今後女性誌には必ず名の残る名作として紹介される事だろう。
映画を観て話を知ってしまったが、私も今からでも、原作も読んでみたいと思うくらいの壮大なドラマの感動作品だ。
この物語の、ヒロインのジェマが学生時代にバルカン半島に位置する旧ユーゴスラビアを訪れた事から物語が始まる。
彼女はこの旅で、ディエゴと言う青年と恋に落ち、その後、ローマで幸せな結婚生活を送るのだが、しかし、ディエゴはフォトグラファーである為に、やがて2人の出会ったユーゴスラビアで、民族紛争が起こると、彼は紛争地域へと戻って行く事になる。
この2人の運命も、当然歴史の渦に巻き込まれる事になるのだが、ジェマとディエゴの2人の生活を通して、民族紛争や、子供が産めない妻の想いや、2人の関係、そして代理母の問題へと様々な要素を含みながら、この映画は、夫婦。親子・血縁問題・家族・愛・民族等様々な問題をじっくりと考えさせられた。
そしてラストがスゴイ!
また、ジェマの夫であるディエゴを演じているエミール・ハーシュと言えば、ショーン・ペン監督の「イントィザワイルド」で痛烈な印象を観客に植え付けた若手実力派俳優だ。
そして、そしてジェマの旧友詩人のゴイゴを演じたアドナン・ハスコビッチは、ジェマの息子ピエトロを演じたピエトロ・カステリットと僅か7歳違いだが、親子程の年齢差のある役を演じている。
ジェマとディエゴの担当医を演じているのはフランスの名優ジェーン・バーキンと言う事も大きな魅力の一つだ。
この作品で、静かな感動の涙に包まれるのも、これからの季節には良いのではないだろうか?