かぐや姫の物語のレビュー・感想・評価
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輝く瞳を失わない姫君の物語
生きることは、つらいこと。
物語の親。平安時代、この物語がどれほど衝撃的で、創作意欲を掻き立てる刺激的なものだったことか。そのことが今ハッキリわかる。
皇子も大臣も帝すらも、真っ直ぐなまなざしのもとに一蹴してしまうヒロインの純粋さ。物語のすべてが、源氏物語すらがここから生まれ、ここから出ようとはしなかった。
生きることは汚れること。罪を作ること。想いは裏切られ諦めばかりを知ること。
でもだからこそ何気ない自然の営みの中に、大きな愛の存在を見付けずにはいられない。
幸せになれるはずだった。きっと。この世界なら。
そんな心の底からの叫びが、希望というものが、決して消えることは無い、それが人間。どんなに清らかな世界に生まれ変われたとしても、この大地の上にしか、心熱くする喜びは無いのだという思いは、きっと消えない。
罪と罰。それは人であろうとするなら、必ず現れる矛盾。「死んでしまいたい」そんな絶望を知ってこそ、生きたいという思いは輝くのだから。
人の手のぬくもりや力を感じさせる画だからこそ、その思いを切に感じる。
「恋しさというものを知らなかったなら、人間には心というものもありはしないだろう。もののあわれというのは、そこから知るのだから。」
四季の移り変わりに、花咲く道に、恋しさと悲しさを思い、真っ直ぐなまなざしで、愛を探すこと。それをもののあわれと言う。
輝夜姫の物語。輝く瞳を失わない物語。いいものを見た。
わがままで臆病な人の瞳というのは、輝きを失わないものだ。それが本当で、素直だからなのかもしれない。
魂に届く作品
余分な添加物を削ぎ落とした、美しく繊細でありながら、とても太い作品でした。
高畑監督自身がおっしゃる通りの最高傑作かもしれません。
話の内容は竹取物語そのものなのですが、キャラと話の展開でグイグイと引き込まれて、あっという間に時間が過ぎていました。
当然ながらただの物静かな作品ではなく、現代人に向けたちゃんとしたテーマがあります。(決して説教臭くはない)
とにかく絵が美しい!いい塩梅に無駄がない!
とあるセリフで、自分は魂を撫でられたように全身が震えてしまって涙がどどーっと。
クライマックスシーンでかかる音楽もすごく耳に残りまして、とっても作品の世界観とマッチして、何故か涙がどどーっと。
いかにも泣かせにいってる感じではないのにです。
久石譲さんの凄さも改めて感じました。
心の奥の眠っていた感覚を起こされるような作品です。
表面的でなく、内面的な感動なので、刺激物に慣れてしまってる人にはひょっとしたら退屈な作品に映るかもしれません。
日本人でしたら、一度でいいから見て欲しいと思う作品です。
本当に素晴らしいと思います!
畑は違えど、これを見せられたら宮崎監督は引退など出来ないだろうなと思いました。
現代の絵巻物語
現代の絵巻物語。美しく、思ってたよりは淡々と描いてみせてくれました。
高畑勲監督の解釈はぼんやりとしていて観る側に任されているのがありがたく、とっぷりと古いファンタジーの世界を楽しみました。
みるみる大きくなり、見た目なりの分別を期待されるかぐや姫。
でも、たとえ期待にそえたとしても、心は?彼女の幼い心は置き去りなのでは?
気がつくとそんな問いを胸に観入っていました。それはきっと、彼女の成長を大事に丁寧に見せてくれたからだな。
お迎えの御一行は凄くいいと思いました。美しくて無神経で無慈悲、超越者らしくて良かったです。
後半の一部、コラージュのような異質な色調でハッとして、魔法が解けて我に返った瞬間があり残念でした。
確かにできすぎ
話が普通だった
涙がでる理由
期待はずれでありきたり。薄っぺらい。
期待が大きかっただけにがっかりでした。予告CMにはぐっと来るものがあり、楽しみにして映画を見に行きました。
この映画は何を伝えたかったのか。CMで触れられたかぐや姫の罪と罰については劇中でほとんどでてきません。
姫にたくさんの貴公子がプロポーズしてきますが、彼らを「所有したいだけだ」とか、「内心姫のことを愛していない」と決め付け、無理難題を言いつけます。表面的なフェミスト気取りでくだらないと思いました。その後、貴公子たちはあの手この手で姫の願いをかなえようとし、挙句に死人まで出るところは原作と同じです。
劇の序盤に出てきた男性とは最後には結ばれます。彼は田舎ものでさらに泥棒です。平凡が一番いいということでしょうか。それとも初恋を貫き通せといいたいのでしょうか。なぜ都の貴公子はだめでこの田舎者がよかったのかはさっぱりわかりません。
姫が都にでききたのに屋敷の片隅で機織や菜園を続けていたのも理解できません。日本人は労働にしか生きる意味を見出せないのでしょうか。姫は文芸にも秀でています。これでは田舎ものが都会に順応できなかっただけにしか見えません。
残念ながら私はこの映画から、
権力=悪 非権力=善
都会=悪 田舎=善
男性=悪 女性=善
という単純な決め付けしか見出せませんでした。
極めつけは終盤で登場した帝です。彼はあごが長いばかりか、あからさまなやり方で姫を手に入れようとします。わかりやすい悪者でより映画を薄っぺくしています。帝のせいで姫は月に帰りたいと願ってしまい、一度願ったことは月では取り消せないとか意味不明です。
劇中では姫は地上でいやな思いしかしていないように思えます。姫の気持ちを理解しない翁と男たち。そんな人たちばかりの地球に姫は何の未練があったのでしょうか。
かぐや姫は犯罪者なんです。その罰として地上に降ろされたのです。いったいかぐや姫はなぜどのような気持ちで罪を犯したのか。そしてどのような気持ちで地上で生き、貴公子たちのプロポーズを受けたのか。劇中ではまったく触れられていません。
CMはすばらしかったので評価は2をつけておきます。あとエンディングテーマはよかったと思います。
『生きる』ために生まれてきた。
素晴らしい作品だけに真剣にレビューします。
ジブリ作品は久しぶりに鑑賞しました。
これはまさしく今年の最高傑作です。
一言で表すと『居心地の良い映画』!
特筆すべき点は一つ一つのシーンが芸術に値するほど美しいこと。日本の四季折々がアニメーションにより鮮明によみがえります。これは日本のアニメーターしか出来ない風景です。
また、かぐや姫がかわい い赤ん坊から純粋な幼女時代、華麗な大人になるまでの成長の過程を見届けた観客は我が子のように愛着がわき、愛しくさえ見えるでしょう。
私はそんな『我が子』の最後のお別れのシーンでは切なさと腑に落ちない気持ちで大号泣しました。
エンドロールもしばらく動けない状態でした。
多少上映時間は長いですが、テンポも良く笑えるシーンもあります。
主題歌も聞き入ってしまいましたし、声優陣も朝倉あきさんの声がとても美しい。
原作に忠実が故にストーリーに起伏がないと批判もありますが、
シンプルで国民的に親しまれてる童話だからこそ美しいものが出来たのです。
現代だからこそ、この物語を見るべきです。
この作品に出会えて本当に良かった。
とても美しい世界にあたたかみの満ちた映画。
5日たった今でも、目に心に綺麗な場面がやきついていて、すぐにでもあの世界観に浸ることができます。
自分でもいつか味わったことのある瞬間瞬間を、とても精巧に表現されてあり、こんなに人間味のある、私と等身大の1人の女性がそこにはいて、彼女に気持ちが痛いほど共感し、見たあとはもう、かぐや姫の物語ではなく、生きた証を見た思いでした。
シンプルな美しい絵なのに、全てが細かくリアリティに飛んでいて、一気に当時へ引きこまれた感じです。
あまりにも美しく不思議な世界に、まだまだいたいと、エンドロールが
口惜しいぐらいでした。
DVDのときには、間と間をもっと贅沢にふくらまして頂いて、あと30分長く美しい世界を盛り込んで欲しいと本気で思うほど、この世界観はどこの何にも類似がない作品でした。
まだまだ、深くて1回では気付けていない部分がありそうで、世界にひたりに2度3度と見たい映画でした。
かぐや姫=メッセンジャー(?)
映画を見た時、最後の方で「罪と罰」を語るかぐや姫に全く魅力を感じませんでした。
生きる喜びと生きているがゆえの悲しみをクライマックス直前まで人一倍その身に感じながら生きるかぐや姫に共感しながら見ていただけに、一気に興醒めした感じだ。何かを語る時、我々は証言者ではあっても真理を語る者ではない。作品の核心に乗せていきなり哲学的なことをベラベラと喋りだしたので、かぐや姫の姿と自前の思想を伝えようとする監督の顔が重なった。この主人公に魅力を感じるには、後光を背中一杯に湛えた天上人の、権威者としての姿を見なければなるまい。もはやそこに共感は存在しない。
しかし、である。月時代のことを思い出したかぐや姫は〈この地で生きたい〉と願い、〈もしも…だったらあなたと一緒に幸せになれていた〉と夢見る未練がましい生娘ですらある。生きる意味を悟った瞬間、自分が異邦人であることも同時に悟ったのではないか。家に帰って、「月世界の一人の人間」としてのかぐや姫の立場を思った時、天上人・かぐや姫の悲しみも分かる気がした。
ともあれ、この地球で生きることを称え、「穢れてなどいない」と語るかぐや姫の言葉は、共同体を自ら去った古代ギリシャの伝説の人・ソロンが故郷に残した法のように、ひとつの権威であって良いのではないか。
だから、この作品とクライマックスのかぐや姫の科白は『かぐや姫の物語』の作者からのメッセージではなく、「かぐや姫の物語」に固執し続けた人のひとつの証言なのだ。
ただ、サスペンス性がないので面白味に欠ける。主にアニメーションの美しさを楽しむ作品です。
中高生にお勧めです。
ほぼ原作の竹取物語です。古典の苦手は人はお勧めです。竹取物語と公達とのやり取りは良く試験でみましたので。昔話のかぐや姫と少し違うので、試験で初めて読むと面食らうので。ただし、原作に込められた深い意味についてはここでは分かりません。文系の人には物足りないかも。
映画評としては、エンターテイメントというより芸術作品です。画は美しいし文句なしですが、いかんせん原作が1000年ほど前のものなので現代人には退屈と感じると思います。源氏物語が現代語でもリメイクされていますが、竹取物語はリメイクされていないことから明らかです。正直言って、監督の自己満足のための作品だと思います。ただ、画は本当に美しかった。国内の有名スタジオのほとんどが参加しています。アニメはリアルに描けば良いのではないと痛感しました。
姿無きエゴイズムの形。
宮崎駿の『風立ちぬ』に続き、今年のジブリ作品は手強くて、じつに楽しい。
どちらも傑作であり、
また巨匠と呼ばれる人物が、エゴを全開にして作品を作っている点で共通しているのが、興味深い。
『風立ちぬ』は、
宮崎駿個人の理想、思想、意志で描き抜いた、エゴイズムな作品である。
その表現のために堀越二郎、堀辰雄とゆー二人の人物と、
日本戦史から航空機の歴史までも媒介とした、バケモノのよーな映画だった。
『かぐや姫の物語』は、
原作である「竹取物語」に忠実であり、逸脱したものではない。
現代的な解釈があるわけでも、斬新なアレンジがあるわけでもない。
ならば何故、
今、このよーな作品を完成させたのか。
まず、『かぐや姫の物語』には、高畑勲監督個人の投影は、一切ない。
ジブリアニメ的な特徴すら乏しく、物語は昔話である。
しかし、圧倒的な絵の力、動画はジブリだからこそ描けたもので、
昔話を語る、魅せる力は、高畑勲の非凡な演出によるものだ。
完成までに8年もの時間と、莫大な制作費が費やされた。
監督やスタッフにも高齢な方が多く、安易に次作を望む状況ですらない。
そうして生まれた作品とは、何か。
遺産である。
誰かが、
誰にでもわかる、最高水準のアニメーションを、
日本だけではなく、世界にも向けて作らなければならない。遺さねばならない。
そんな姿なきエゴを命題として、この作品は生まれたのだと、感じられた。
灯火のような、
時代の風化にも耐えうるアニメーションを作る、と。
そしていつか、
この作品に触れることで、新たな高畑勲や宮崎駿が生まれることを、望むかのように。
最高の日本アニメかも
日本の風景を美しく繊細なイラスト的動画で表現する作品、これだけなら予想した通りですが、その上、シナリオはあくまでも現代劇、物語に引き込まれ、あっという間に2時間が過ぎてしまいます。
生を受けながらそれを無駄にしてしまう姫、姫の悲しみ、翁媼の悲しみが自分の娘や親との関係と重なり、今でも主題歌を聴くと涙が出ます。久々に思い切り泣いて、日頃の嫌なことも忘れスッキリ、今日から子供をしかるのは止め、前向きに仕事に取り組む、そんな気分にしてくれます。製作費50億とのことですが、あの繊細なイラスト絵を動かすのは相当の苦労があったかと思います(未だにどうしたのか想像できない)納得です。この美しい世界の中で活発で可愛く知的、優しさもそなえた姫が遊び、笑い、運命に出会い、悩み、苦しむという魅力的な映画です。10年後には一家にDVDが一枚国民的な映画になるのではないでしょうか。
夕べ何度も書き直しました。
家内は、半分寝ていました
ジブリファンです。
「風立ちぬ」は2回見ました。もう一回見てもいいかも。
「かぐや」見に行き、隣で家内は、半分ぐらいスヤスヤ寝ていました。
見終わった後「よく寝たわ~」・「原作通りで眠気に負けた~」ですって!
ジブリ史上最低の映画ではないでしょうか!
1.原作通りのストーリーで、8年かけた脚本の仕掛けも不明。
2.日本昔話を単に2時間にしただけの映画。
3.この映画でなにを訴えたかったのかさっぱり不明。単なるファンタジーではないのですから。
4.絵がきれいって、8年・50億かければだれでもできるでしょう。
アニメ手法の革新を監督が言っているようですが、感動なし。
5.終盤で かぐや姫の不倫を示唆するような表現になっていて 「唖然」
不倫しそうになったのが「かぐやの罪?」
なにがなんだか さっぱり わかりません。
6.高畑監督の「道楽」です
7.製作費50億円の3分の1も回収できないでしょう。
8.この大赤字で、高畑監督の予言する 駿のカムバックが予想されるわけです。
~また 駿のジブリを見たいので 高畑監督に感謝!!!~
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