「業の肯定」かぐや姫の物語 ハンペン男さんの映画レビュー(感想・評価)
業の肯定
クリックして本文を読む
人間の業を肯定する作品。または宗教、もっと言えば仏教(月から来る使者にはそれが色濃く反映されている)に対するアンチテーゼのようにも捉えられた。
人間は欲を求めては駄目なのか?それも含めて人間ではないのか?姫の犯した罪とは人間のように感情を持ちたいと願ってしまったことである。しかし地球に降り立った姫は欲を望む人やそれに類する行動を拒み続け、それを受け入れるのなら「死」を選ぶことさえ厭わないと言う。これは「生」に対する否定とも受け取れるが最後の捨丸と出会う場面ではその人間らしい欲望にこそ求めていた喜びや悲しみといった感情があることを知り、天にも昇る気持ちになる。そして地球に残りたいと懇願する姫に私は「生きる」ことへの肯定、つまり業の肯定を感じた。月へ帰り、赤ん坊に戻るのは無欲に戻ることへのメタファーなのか。
かぐや姫という現代にまで伝わる物語。その普遍性に着目し、8年という途方もない歳月をかけ、ここまで挑戦的で妥協のない作品を作り上げた高畑監督とスタッフの凄まじさ。感服いたしました。
コメントする