「期待はずれでありきたり。薄っぺらい。」かぐや姫の物語 picassoさんの映画レビュー(感想・評価)
期待はずれでありきたり。薄っぺらい。
期待が大きかっただけにがっかりでした。予告CMにはぐっと来るものがあり、楽しみにして映画を見に行きました。
この映画は何を伝えたかったのか。CMで触れられたかぐや姫の罪と罰については劇中でほとんどでてきません。
姫にたくさんの貴公子がプロポーズしてきますが、彼らを「所有したいだけだ」とか、「内心姫のことを愛していない」と決め付け、無理難題を言いつけます。表面的なフェミスト気取りでくだらないと思いました。その後、貴公子たちはあの手この手で姫の願いをかなえようとし、挙句に死人まで出るところは原作と同じです。
劇の序盤に出てきた男性とは最後には結ばれます。彼は田舎ものでさらに泥棒です。平凡が一番いいということでしょうか。それとも初恋を貫き通せといいたいのでしょうか。なぜ都の貴公子はだめでこの田舎者がよかったのかはさっぱりわかりません。
姫が都にでききたのに屋敷の片隅で機織や菜園を続けていたのも理解できません。日本人は労働にしか生きる意味を見出せないのでしょうか。姫は文芸にも秀でています。これでは田舎ものが都会に順応できなかっただけにしか見えません。
残念ながら私はこの映画から、
権力=悪 非権力=善
都会=悪 田舎=善
男性=悪 女性=善
という単純な決め付けしか見出せませんでした。
極めつけは終盤で登場した帝です。彼はあごが長いばかりか、あからさまなやり方で姫を手に入れようとします。わかりやすい悪者でより映画を薄っぺくしています。帝のせいで姫は月に帰りたいと願ってしまい、一度願ったことは月では取り消せないとか意味不明です。
劇中では姫は地上でいやな思いしかしていないように思えます。姫の気持ちを理解しない翁と男たち。そんな人たちばかりの地球に姫は何の未練があったのでしょうか。
かぐや姫は犯罪者なんです。その罰として地上に降ろされたのです。いったいかぐや姫はなぜどのような気持ちで罪を犯したのか。そしてどのような気持ちで地上で生き、貴公子たちのプロポーズを受けたのか。劇中ではまったく触れられていません。
CMはすばらしかったので評価は2をつけておきます。あとエンディングテーマはよかったと思います。