「親の愛、子の愛」かぐや姫の物語 りりまるさんの映画レビュー(感想・評価)
親の愛、子の愛
[2回目の感想] 2018.5.22
一度目を見たのは5年前で20代。今は30代になり子持ちになりました。
子供が出来るとガラッと視点が変わりました。翁はお金を手に入れて変わってしまったように見えてましたが、その時代の価値観での最高の幸せを娘にしてあげたかっただけのこと。無理に結婚させようとはしないし、本人の意思も尊重してるいい親だと思うようになりました。
かぐや姫が美しくなく、琴も下手、礼儀作法も出来ないだと諦めもつくんでしょうけど、完璧な姫。
そんな姫なら手に入れて当然の幸せを手に入れて欲しい…と思うのは親心です。
姫が最後に捨丸と再会した時、捨丸は妻子がいるのに姫と逃げようとした。それだけ、特別な存在だったかもしれません。見ていて、このまま逃げれたらいいな…とも思いました。でも、どんな理由であれ、家族を捨てる人。立場が違うだけで捨丸も都の人と変わらないように思います。
それに、捨丸は自分の生活は盗みもすると言っていて、それは貧しい人にとっては当たり前かもしれないけれど、姫が捨丸や田舎での生活を美化してるようにも感じました。
一度目と一番が印象が変わったのは媼です。以前は翁に何も言わないと腹を立ててましたが、男性の意見が絶対の時代だから仕方がないな、と。許される範囲で自分を見失わないように、小屋や畑を作り、自分を保っている所は本当に素晴らしく、生きる上でのヒントになりました。
姫も両親が大好きだったから、反抗出来なかったのが伝わりました。怒りや諦めを自分自身でけじめをつけながら生きていく姿はかわいそうでした。
少しずつの家族のすれ違いで起こった悲劇の結末に、子供の考える幸せ、その幸せのために親がしないといけないこと、それをしっかり考えないといけないという気持ちになり、余韻の残る作品でした。
好みが分かれる絵も、私は味わいがあり、原作の竹取物語の世界観をそのままアニメにしたように感じ、その表現力の凄さを今更ながら理解出来ました。
一般的な今時の受けるような絵にしなかった事に好感を持ちました。
[1回目の感想] ☆3.5
絵が好きではなかったのですが、ケタはずれの製作期間と製作費に驚いて劇場まで足を運びました。
事前にそれらのことやプレスコを使っていると知らなければ、昔話を膨らませた内容にしか思わないと思います。
どこまで深く考えるかによって、映画の評価は分かれると思います。
翁と嫗、二人はとても姫を思っていますが、行動が違います。
才能ある、恵まれた環境に身を置ける子供をそうしてやりたいと思う気持ちは親なら誰でも思うと思います。しかし、それを望まない子供との関係に思えました。
高貴な姫に育てられて行く姫が心の拠り所に場所を作ったのが驚きでした。
捨丸が最後既婚だったことも。姫は知らずに男性を狂わす魅力を持っているのかなと思いました。
姫は自分から何かしなくても、産まれながらの美貌やお金を持っていることで、それに振り回される他人がいて不幸せにしてしまうのが、罪と罰なのかなと感じました。
月へ向かうのは死を連想しました。
姫がここへいたくないと願ってしまい、後戻りが出来なくなったことも死を感じました。
かぐや姫の罪と罰が何なのかを考えながらみると面白いと思います。
見るたびに新しい発見がある映画だと思います。
昔の日本の美しさや赤ん坊のしぐさが忠実に表現されていて、感動しました。