かぐや姫の物語

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劇場公開日:2013年11月23日

解説・あらすじ

スタジオジブリの高畑勲監督が、日本最古の物語とされる「竹取物語」を題材に、製作期間8年、総製作費50億円かけて完成させた長編作品。「罪を犯したために、この地に下ろされた」とされるかぐや姫の犯した罪、そして罰とは何かを描き出す。高畑監督にとっては「ホーホケキョ となりの山田くん」以来、約14年ぶりの監督作となり、2018年に死去した高畑監督の遺作となった。

昔々あるところで、光り輝く竹を見つけた翁が竹を切ると、中から小さく美しい姫君が現れた。姫を家に連れ帰った翁は、媼とともに彼女を育てる。姫は近所の子どもたちと一緒に野山を駆け回る元気な少女へと成長するが、やがて一家は都に移住。翁は姫を「高貴な姫君」とするための教育を受けさせるが、姫は自分らしく自由に振る舞っていた。やがて「なよ竹のかぐや姫」の名を与えられた姫の成人の儀と披露の宴が催されるが、都の窮屈な生活と欲にまみれた貴族の男たちに嫌気がさした彼女は、宴席から逃げ出し、故郷の山へ向かって一目散に走っていく。

主人公のかぐや姫役の声優は、映画「神様のカルテ」やNHK連続テレビ小説「てっぱん」などに出演した朝倉あき。2012年6月に他界した俳優の地井武男が、作画完成前に声を収録するプレスコ方式で生前に収録を済ませており、翁役を務めた。映画完成直前の13年夏に一部のセリフの変更や息づかいの声の調整を行うため改めてアフレコが行われ、その際には、地井武男の一部代役として三宅裕司が翁の声をあてた。音楽は宮崎駿監督作品でおなじみの久石譲が担当しており、高畑監督作を手がけるのはこれが初めてとなった。

2013年製作/137分/G/日本
配給:東宝
劇場公開日:2013年11月23日

スタッフ・声優・キャスト

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受賞歴

第87回 アカデミー賞(2015年)

ノミネート

長編アニメーション賞  

第37回 日本アカデミー賞(2014年)

ノミネート

優秀アニメーション作品賞  
優秀音楽賞 久石譲
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映画レビュー

4.0 単なる「日本昔ばなし」のようで、そうではない

2014年1月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

知的

始まってしばらくして「ひょっとしてこれは単に日本昔ばなしを大スクリーンで観ているだけでは、、、」と不安がよぎったが、最終的にその心配は杞憂であった。

深い!生き方や宗教も絡む深い映画である。

※“天の使い”をあのような無慈悲で強引な一団として見せたのはこれまでになく斬新であった。

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共感した! 4件)
momokichi

5.0 捨丸の存在が光る、圧巻の竹取物語

2013年12月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

幸せ

最初に惹かれたのは、予告で目にした、みずみずしく躍動的な画の美しさ。本編はもちろん期待以上に素晴らしく、最初から最後まで存分に堪能した。とはいえ、それ以上に心を揺さぶられたのは、物語そのもの。これまで様々な形で表現されてきた「竹取物語」の中で最高であり、今後も、これを超えるものはまず出ない、と思う。
何と言っても、姫の性格付けに説得力があり、魅力的。これまでのものは、求婚者たちの生き生きとした人間くさい立ち振る舞いに比べ、姫や帝の描写が控えめすぎたり踏み込みすぎたり。たとえば、求婚者を振り回す姫も、姫と帝の淡い恋模様も、どうもしっくりこなかった。何より、主役の姫が脇役より魅力を欠くなんて! 一方、本作の姫は血が通った人間(地球人ではないけれど)であり、生きる活力そのもの。スクリーンを所狭しと跳ね回り、喜びも悲しみも身体いっぱいに表現する。だからこそ、そんな彼女の真の姿を知らずに、うわべだけで求婚する輩の浅はかさが際立ち、「姫君」の枠に押し込められる彼女の息苦しさと孤独が、観る者の胸に強く迫る。
そして、オリジナルキャラクター•捨丸の存在。都へ移り住んでも草木やケモノと生きる「人間らしい暮らし」への愛着を忘れず、姫を支え続ける媼以上に、彼女に近しい存在=心惹かれた地球人として、彼を登場させた点が成功している。彼は、ごく当たり前に自然の中で生き、理屈や損得にとらわれず直感的に振る舞う。山での生活=捨丸たちとの伸びやかな日々が丁寧に描かれている分、都での生活に苦しみながらも、姫が月に帰りたがらなかったわけが、ストンと腑に落ちた。
圧巻は、捨丸と姫の、最後の再会の場面。分別をあっさりと脱ぎ捨てて感情に流れ、躍動してしまう地球人のもろさにして最大の魅力…を、視覚で表現しきっていてぞくりとした。大小様々な物事から喜び悲しみを見出す心の豊かさはもちろん、こずるさも、愚かさも、弱さも…全部ひっくるめて、姫が愛した地球人の姿なのだ、と改めて気付かされた。同時に、人間らしく生きるには、草木や他の生き物と共に生きる、手ごたえのある生き方(『天空の城ラピュタ』の「土から離れず生きる」にも繋がる)が必要なのだ、とも。
観終えて数日…幾度となく本作を思い返すうちに、あの激情と至福に包まれた二人の姿は、姫の視点ではなく、捨丸のものかもしれない、と思い当たった。とはいえ、平安時代の人々は、誰かが夢に出てくるのは、自分が強く想ったからではなく、相手が自分を想っている証、と考えたという。とすれば、捨丸の体験は、姫の強い想いが生み出したもの、となる。あの再会は、引き離された二人の想いが、偶然と必然のはざまで重なりあった瞬間の、美しくも恐ろしい奇跡(または月世界の情け)と思いたい。

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cma

5.0 線1本で繊細なニュアンスを表現した珠玉のアニメーション

手描きでしか出せない繊細なニュアンスで描かれたアニメーションは、見ていて息が詰まるほどの凄みがあって、特に都にでるまでの描写は圧巻です。赤ん坊や小さな子どものほやほやとした感じが線1本で表現されていて、予告編にも使われた荒々しいタッチでかぐや姫が駆けるところなど、気持ちが伝わってくる“いい絵”のシーンがたくさんあります。
ひとりの女性の生涯を描いた物語も、いろいろな読み解き方ができます。例えば、最後にどんなことをしてもかぐや姫が月に連れていかれてしまうのは、人間は死から逃れることはできない、というふうにも読み取れるように思えました。

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共感した! 2件)
五所光太郎(アニメハック編集部)

5.0 “50歳にて変化の術を会得し、100歳にて美女となり蟲惑し、1000歳にて天に通じる“・・《天狐》の物語

2026年1月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

驚く

斬新

カワイイ

手書きによる圧倒的な質感、驚異のセル画数、他では見られないし、今後とも見ることができないでしょう・・映像表現だけでも⭐︎5評価。

今週に時間枠を拡げての地上波完全放送が予定されていてとても楽しみです。映画館で観るのがベストなのだけれど。

・・・

内容については、マイ解釈では表題のように、“50歳にて変化の術を会得し100歳にて美女となり蟲惑し、1000歳にて天に通じる“という《天狐》の物語。かぐや姫は怪異であり物語は奇譚。西洋事例で卑近に喩えると本作でのかぐや姫はサキュバスかな。

テーマ的に本作は「まどか⭐︎マギカ」との関連性が取り沙汰されていて、(←岡田説)一つの有力な作品解釈のようですがその内容をよく知りません。ただ確実に言えることとして、本作の劇場公開が2013年11月末、まどマギの「叛逆」が2013年10月末なので、時系列的に仮に関連性があるとするとそれは、まどマギのテレビ版あるいは劇場版「始まりの物語」、同「永遠の物語」の内容を踏まえたものということになります。

・・・

【追記1】かぐや姫の罪と罰とは?〜罪は禁断の恋、罰は月人達の思惑に反してかぐや姫が生命の輝きを知ること

・ 「竹取の翁の物語」作者不詳ですが、源氏物語の紫式部による記述では紀貫之。諸説ありますが紀貫之は「伊勢物語」の作者でもあり、竹取、伊勢の共通項は「貴種流離譚」。貴人が俗界に流される。

・ 本作かぐや姫は隠伏的な「エロティシズム」に彩られていますが、伊勢物語の主人公在原業平の業平が犯した《罪》は伊勢斎宮との密通という禁断の恋なので、それに類することを転生前のかぐや姫さんがやらかしていそう。(←表題のマイ解釈で、かぐや姫を「天狐」に見立てる所以。)

・ 不老不死の月人達がかぐや姫に与えた《罰》は俗界に堕とすこと、その俗界は死のある世界なので、「死の世界」(冥界)に堕とすこと。しかし、本作では月人達の思惑に反してかぐや姫には、儚くも生きることの輝きを知り涙するという《罰》が課せられたかのようです。(結果的にかぐや姫は、禁断の恋と有限な生命への憧れ/憐れみという2つの禁忌を犯したことに。)

【追記2) 】もう一つの竹取物語〜樋口一葉の「たけくらべ」

・ ヒロインである14歳の少女「美登利」(みどり)は、“男といふもの、さつても怖がらず恐ろしからず、女郎という者、さのみ賤しき勤めとは思わず”の土地柄にあって、廓(くるわ)の女の色に染め上げられていきながらも、廓に入る直前には遊女になることを精神的に拒絶して、“さりとて初見せの運命にはあがなえず幼馴染とは口を聞かぬ”・・かくして男勝りのヒロインの太陽の輝きは褪せてゆき日没を迎えます。

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井筒考庵