かぐや姫の物語

ALLTIME BEST

劇場公開日:

かぐや姫の物語

解説・あらすじ

高畑勲監督が「ホーホケキョとなりの山田くん」(1999)以来、約14年ぶりに手がけた監督作。日本最古の物語といわれる「竹取物語」を題材に、「罪を犯したために、この地に下ろされた」とされてるかぐや姫の犯した罪、そして、罰とは何かを描き出す。主人公のかぐや姫役の声優は、映画「神様のカルテ」やNHK連続テレビ小説「てっぱん」などに出演した新進女優の朝倉あき。2012年6月に他界した俳優の地井武男が、作画完成前に声を収録するプレスコ方式で生前に収録を済ませており、かぐや姫を見つけ育てる翁役として声優出演を果たした。宮崎駿監督作品で常連の久石譲が、高畑監督作で初めて音楽を担当。

2013年製作/137分/G/日本
配給:東宝
劇場公開日:2013年11月23日

スタッフ・声優・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第87回 アカデミー賞(2015年)

ノミネート

長編アニメーション賞  

第37回 日本アカデミー賞(2014年)

ノミネート

優秀アニメーション作品賞  
優秀音楽賞 久石譲
詳細情報を表示

インタビュー

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画評論

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3

(C)2013 畑事務所・GNDHDDTK

映画レビュー

4.0単なる「日本昔ばなし」のようで、そうではない

2014年1月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

知的

始まってしばらくして「ひょっとしてこれは単に日本昔ばなしを大スクリーンで観ているだけでは、、、」と不安がよぎったが、最終的にその心配は杞憂であった。

深い!生き方や宗教も絡む深い映画である。

※“天の使い”をあのような無慈悲で強引な一団として見せたのはこれまでになく斬新であった。

コメントする (0件)
共感した! 4件)
momokichi

5.0捨丸の存在が光る、圧巻の竹取物語

2013年12月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

幸せ

最初に惹かれたのは、予告で目にした、みずみずしく躍動的な画の美しさ。本編はもちろん期待以上に素晴らしく、最初から最後まで存分に堪能した。とはいえ、それ以上に心を揺さぶられたのは、物語そのもの。これまで様々な形で表現されてきた「竹取物語」の中で最高であり、今後も、これを超えるものはまず出ない、と思う。
何と言っても、姫の性格付けに説得力があり、魅力的。これまでのものは、求婚者たちの生き生きとした人間くさい立ち振る舞いに比べ、姫や帝の描写が控えめすぎたり踏み込みすぎたり。たとえば、求婚者を振り回す姫も、姫と帝の淡い恋模様も、どうもしっくりこなかった。何より、主役の姫が脇役より魅力を欠くなんて! 一方、本作の姫は血が通った人間(地球人ではないけれど)であり、生きる活力そのもの。スクリーンを所狭しと跳ね回り、喜びも悲しみも身体いっぱいに表現する。だからこそ、そんな彼女の真の姿を知らずに、うわべだけで求婚する輩の浅はかさが際立ち、「姫君」の枠に押し込められる彼女の息苦しさと孤独が、観る者の胸に強く迫る。
そして、オリジナルキャラクター•捨丸の存在。都へ移り住んでも草木やケモノと生きる「人間らしい暮らし」への愛着を忘れず、姫を支え続ける媼以上に、彼女に近しい存在=心惹かれた地球人として、彼を登場させた点が成功している。彼は、ごく当たり前に自然の中で生き、理屈や損得にとらわれず直感的に振る舞う。山での生活=捨丸たちとの伸びやかな日々が丁寧に描かれている分、都での生活に苦しみながらも、姫が月に帰りたがらなかったわけが、ストンと腑に落ちた。
圧巻は、捨丸と姫の、最後の再会の場面。分別をあっさりと脱ぎ捨てて感情に流れ、躍動してしまう地球人のもろさにして最大の魅力…を、視覚で表現しきっていてぞくりとした。大小様々な物事から喜び悲しみを見出す心の豊かさはもちろん、こずるさも、愚かさも、弱さも…全部ひっくるめて、姫が愛した地球人の姿なのだ、と改めて気付かされた。同時に、人間らしく生きるには、草木や他の生き物と共に生きる、手ごたえのある生き方(『天空の城ラピュタ』の「土から離れず生きる」にも繋がる)が必要なのだ、とも。
観終えて数日…幾度となく本作を思い返すうちに、あの激情と至福に包まれた二人の姿は、姫の視点ではなく、捨丸のものかもしれない、と思い当たった。とはいえ、平安時代の人々は、誰かが夢に出てくるのは、自分が強く想ったからではなく、相手が自分を想っている証、と考えたという。とすれば、捨丸の体験は、姫の強い想いが生み出したもの、となる。あの再会は、引き離された二人の想いが、偶然と必然のはざまで重なりあった瞬間の、美しくも恐ろしい奇跡(または月世界の情け)と思いたい。

コメントする (0件)
共感した! 7件)
cma

5.0線1本で繊細なニュアンスを表現した珠玉のアニメーション

手描きでしか出せない繊細なニュアンスで描かれたアニメーションは、見ていて息が詰まるほどの凄みがあって、特に都にでるまでの描写は圧巻です。赤ん坊や小さな子どものほやほやとした感じが線1本で表現されていて、予告編にも使われた荒々しいタッチでかぐや姫が駆けるところなど、気持ちが伝わってくる“いい絵”のシーンがたくさんあります。
ひとりの女性の生涯を描いた物語も、いろいろな読み解き方ができます。例えば、最後にどんなことをしてもかぐや姫が月に連れていかれてしまうのは、人間は死から逃れることはできない、というふうにも読み取れるように思えました。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
五所光太郎(アニメハック編集部)

5.0「偶像」に「感情」を注ぎ込んだ「生きている手応え」を感じさせる傑作

2025年3月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

楽しい

知的

2013年公開作品
高畑勲監督の遺作映画
俳優地井武男の遺作映画

監督と脚本は『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』『火垂るの墓(1988)』『おもひでぽろぽろ』『平成狸合戦ぽんぽこ』『ホーホケキョとなりの山田くん』の高畑勲
脚本は他に『リトル・マエストラ』『メアリと魔女の花』『この道』『フォルトゥナの瞳』『銀河鉄道の父』の坂口理子

日本の古典のアニメ化
原作『竹取物語』は1000年以上の時を超えた不朽の名作
作者は『土佐日記』で有名な紀貫之説があるがその説は異論はあっても支持したい
車持皇子のモデルは『宇宙皇子』にも登場する時の権力者だった藤原不比等が有力であり紀貫之は彼と大変不仲だったらしい

絵が優しい
デジタルだが水彩画なような色使い
それにひきかえウマ娘とか全てにおいて真逆

「高貴」「高貴」と鼻につく
なにかといえば顔を真っ赤にして怒る
讃岐造(さぬきのみやつこ)こと翁の価値観である

奥ゆかしくお淑やかなイメージゆえに神秘的なかぐや姫も今作ではなにかと感情的である
ディズニーに絡んでいるためか
グローバリズムか
現代的か
現代的が必ずしも全てにおいて良いとは思わないし実際のところ良いわけがない(良かったら今の世の中もっと良くなきゃ辻褄が合わない)が今作のかぐや姫像はとても良い

十二単を次々と脱ぎ出し駆け抜ける鬼の形相
御門に背後から抱きつかれ姿を消しまた現れた時の厳しい表情
堪らない

野山を飛び回る姫と捨丸のシーンも良い

高畑淳子がハマっていた

石上中納言のあの落ち方では腰ではなく頭と首を痛めるのではないだろうか

月の世界から迎えにくるわけだが『阿弥陀来迎図』を参考にしたらしい
沢口靖子主演の『竹取物語』では大胆にもUFOだっだがあれはあれで良いのだが好みとしては高畑勲の方が良いかな
UFOではあまりにも場違いに感じる

声の配役
かぐや姫に朝倉あき
幼少期のかぐや姫に内田未来
育ての父の翁に地井武男(一部三宅裕司)
育ての母の媼に宮本信子
木地師の子どもたちのリーダー格で「捨丸兄ちゃん」と呼ばれ慕われる捨丸に高良健吾
かぐや姫の身の回りの世話をする侍女見習いの少女の女童に田畑智子
翁が姫の教育係として宮中から招いた女官の相模に高畑淳子
宮中の祭祀を担当する斎部氏の一人で翁が姫の名付けを頼んだ相手の斎部秋田に立川志の輔
姫が故郷の山に戻った時に出会った炭焼きの老人に仲代達也
姫に求婚する5人の公達の一人で「蓬莱の玉の枝」を求められ作らせた職人に金を払わなかった車持皇子に橋爪功
姫に求婚する5人の公達の一人で「仏の御石の鉢」を求められたのに対し蓮華草の花を持参した女泣かせの石作皇子に上川隆也
姫に求婚する5人の公達の一人で「火鼠の皮衣」を求められる肥満型の阿部右大臣に伊集院光
姫に求婚する5人の公達の一人で「龍の首の珠」を求められ筑紫の海に出るが嵐と荒波に巻き込まれ怯える大伴大納言に宇崎竜童
姫に求婚する5人の公達の一人で「燕の子安貝」を求められ燕の巣に近づいて取ろうとしたが落下し腰を強打したことで亡くなる石上中納言に古城環
石作皇子の正妻の北の方に朝丘雪路
御門に中村七之助
月の世界の女官に朝倉あき

コメントする (0件)
共感した! 0件)
野川新栄