劇場公開日 2013年7月20日

風立ちぬのレビュー・感想・評価

全392件中、221~240件目を表示

5.0フルカラーフィルムで、大正~昭和

2013年9月6日
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鑑賞方法:映画館

興奮

知的

萌える

関東大震災以前の日本の風景など、観る事はかなわないものがアニメで観られるというのも嬉しいです

現代ではCGを駆使して再現可能だとは思うけど、
宮崎監督のアニメだと、絵がそれほどリアルなわけではないのに、怖さというか、
ぞーっと鳥肌がたつような感覚が本当に上手くて、
飛行機の3次元感なども身にせまってくるようで、映像の点でも本当にすばらしい映画でした

やはり映画館で観るべき、と思います

ナウシカの設定資料を読んだことがありますが、
衣装、たとえばポケットの役割や、飛行機の種類(荷物用や戦闘用の区別など)、生き物の特徴、とにかく細部にわたって設定がしてありまして
だけど映像にはそれらの説明はいちいち全部出てこない
ただ納得のいく形として出てくるだけで・・・

設定の濃密さに比べれば、ストーリーに出てくるのはほんの一部、
今回の映画では、そういった宮崎監督の濃いところが、若干見えるような気がしました

今までゼロ戦というと、つらく悲しいイメージしか持っていなかった
当時の技術で、凄い飛行機だったのだということは、この映画で初めてわかりました

第二次大戦が日本にとって本当に悲惨な歴史だということは、もうわかっているので
それをそのまま再現したようなアニメフィルムだったら、多分つらいから自分は観なかった

それでも、特攻などの、帰還することすら叶わない飛行機の設計とか、
飛行機会社として関わってなかったはずはないと思うのに
そういう場面を挟まなかったのは、なぜだろう
あんまりひどすぎて、ラブシーンもふっとんじゃうからでしょうか

ラストシーンの台詞が、実は別バージョンがあったらしいけれど
死んでしまったあとの話であるよりは、
観客としては、生きている自分を肯定したい気持ちもあるので
どっちかというと、
あのラストであって欲しい
残酷なのは二郎ではなくて、観客かもしれません

ダンテ神曲もトーマス・マン魔の山も読んだことがない
しかしとても読む気が起きないなぁ・・・
面白いのだろうか

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Fal

2.5遺作

2013年9月6日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

母と二人で見に行ったのですが、感想は同じで”イマイチ”でした。
ただ、宮崎監督が自分の遺作として作りたかったのでは?という印象ですね。

夢も清らかさもなく痛々しい筋書き。ストーリーのパターンも「どこかで見たような・・・」という感じです。
でも、ユーミンの曲はグレイト!でした。
他のお客さんも、終わった後、ビミョ~な空気でしずしずと退場。

子供が喜ぶような夢の世界、優しさや幸福を、もう一度描いてほしいです(^^)

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春風

5.0心に残る映画

2013年9月5日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

私は、正直言ってこの映画を見た時には泣けなかった。
物足りないとか、泣ける場面が無いとか、
いろいろな評価があるんだろうなと感じた。

私の率直な映画の感想は、この映画の登場人物は、
大変な状況にあるにもかかわらず愚痴がない。
とにかく愚痴が無く、自分の運命を呪うこともなく、
ただただ懸命に生きていたという事だけが心に残った。

それが数日経って実社会に戻った生活をしていて思い出すと、
不思議と涙が溢れてきた。

登場人物のちょっとした表情。
発言した言葉。

ありふれた映画の中の言葉や表現として捉えていた事が、
あまりにも純粋な思いに溢れている事に気づかされた。

懸命に生きている人間の誰も見ていない所での
こぼれ落ちる涙を思い出すと、今でも涙が溢れてきます。

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あみょ

3.0描ききれてない?

2013年9月5日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

あっという間の126分だった。
懸念していた「戦争」への云々は、全く問題にならないことと思った。

しかし、グッと来るものがない。そう泣ける訳でもない。平凡だ。
こんなこと巨匠の作品に向かって言うのはおこがましいが、やっぱり子どもに向けたアニメを創るべきではなかったのか? 鈴木プロデューサー様、スタートラインが間違っていたのでは?

なんか深くなかった。ドキッとしなかった。
飛行機が好きな男のストーリーということしか残らなかった。
だったらもっと熱い男のストーリーでもよかったんじゃないかな。
主人公の話すぶっきらぼうな感じが、作品の感じになっちゃった。
これが最終作なんて、ファンとしては哀しいわ。

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スパチカ

3.0生きづらい時代を駆け抜けた等身大の若者

2013年9月4日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

主人公の航空機への情熱や苦悩より奈穂子の健気で儚くも強い、当時の昭和初期を生きる力強い女性像に感動した。
今までの宮崎作品にはない雰囲気や恋愛模様が新鮮だった。
夢を追いかけるあまり自分が造り上げたものが日本の負の遺産であることへの罪悪感が少なく感じたのは、敢えてそうしてるからなのかが分かりづらかった

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nana

3.0良い記念になりました。

2013年9月4日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

大変美しく アニメーション映画の最高峰の映像だと思います。
群衆や背景も丁寧に描かれていて本当に感動しました。
ストーリーは夢と絶望が交差する現実の厳しさが、バランス良くまとめられていて私は素直に泣けました。
ただ、タバコの大っ嫌いな私には、タバコを吸いっぱなしの主人公や友人達がとても不愉快で台無しでした。

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るる

4.0今は分からない ほかの人にはわからない

2013年9月4日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

ユーミンの歌とおりです。
菜穂子にだけ理解できればいいのです。
だから菜穂子を特別にかわいく描くんです。

普通恋愛ってくっついたり、離れたり、浮いたり沈んだりで成り立ちますが、
昭和の激動期はそういう余裕はないんです。
ただ、好きになったらほんとに一途なんですね。
東京と名古屋って当時なら10時間以上かかりますが、それでもいくんです。
二郎からの手紙をみて愛おしくなってサナトリウムを抜け出す。
そしてもう離さない、離れない。

新婚でも二郎は仕事がいっぱいで毎晩帰宅は遅い。
仕事を持ち帰ったこともあります。でも手だけは離さないで。
妙に生々しかったです。誰かの実話なんでしょうね。

やっと飛行機の図面が完成します。もう疲れ果ててバタンキューです。
よくやったね、貴方。二郎のメガネを優しくはずしてあげます。
これがお別れの合図でした。無理にして朝早くおきてお化粧して美しくしていたのですが、
もう死期は近いようです。

断末魔に苦しむ美しくない自分を二郎に見られたくない。
置手紙を残して菜穂子はサナトリウムに戻ります。

それから遠くない日に飛行機のテストが行われます。
おそらくこれに成功すれば区切りがついて菜穂子の元にもいけたかもしれません。
でも、その最中虫の知らせを察するわけです。おそらく菜穂子の死なんでしょう。

戦争が終わって二郎はすべてなくします。彼の飛行機は一機も帰ってこなかった。
でも、菜穂子は一瞬風になって戻ってきてくれました。
二郎は誓うのです。「生きねば」

美しい菜穂子にさえ理解してもらえばいいんです。これはそういう映画でした。

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kazunari

2.5二郎の声は庵野でよかった!

2013年9月4日
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鑑賞方法:映画館

知的

難しい

宮崎駿の作品は幼い頃から見てきたし全ての作品が面白いわけではない。私は、ラピュタやナウシカのような非現実的な物語、その世界観からの強いメッセージが好きでした。
風立ちぬは、そういった類の作品とは違うので私個人のレビュー評価は高くない。
この作品はジブリファンの為のものではなく宮崎駿が面白いと思うものを金と時間をつぎ込んで創った最初で最後の趣味の作品でしょう。
戦争や飛行機、女性にタバコ、設計士、全て宮崎駿自身であり彼の価値観でもあります。
物語全体としても特に見せ場はなく、私は感動等しませんでした。これは見る人によるのでしょうね。感動したというレビュー多々見受けられました。この作品が視聴者へ媚びない商業的な作品ではないからでしょう。好き嫌いあるでしょうね。でも私はDVDになったら借りてもう一度見てみたいと思っています。
あと、二郎の声は良かったですねー!耳をすませばの主人公のお父さんを思いだしました!図書館で司書をしている知的な人です。二郎の声にも、あまり起伏のない、フラットな庵野秀明の声がとてもはまっていて、一番良かったです!

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あべさと

3.0映像が美しくそれなりに楽しめたが、予告編は下駄を履かせ過ぎかと

2013年9月3日
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泣ける

知的

難しい

私の感想は、レビューの題名に全て集約しております。

劇場で予告編を見てしまうと、期待は非常に高まります。
ゆーみんのひこうき雲なんてバックに流されちゃうと期待値は5割り増しくらいになります。
そういう意味で、興業収入の3分の1くらいはゆーみんはもらう資格がありそう(笑

映像や色彩はそれはそれは美しいもので、
登場人物もすばらしい人ばかりで魅力的ではありますが、
私には全てがちょっとずつ物足りないというか、中途半端に思えました。

戦争映画でもないし、恋愛映画でもないし、ゼロ戦に心血を注ぐ男の物語でもない。

空気感のようなものを感じさせる映画でしたが、それがどういった空気感か、と問われると
ちょっと言葉にできないんですよね。

あと、主人公の声は大抜擢だったようですが、私は最後までその声に馴染めませんでした。

そろそろ、ちゃんとプロの声優さんを使って欲しいなぁ。

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かおたん吉

3.5ハヤオの集大成で良い?

2013年9月3日
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悲しい

難しい

幸せ

ご覧になられた方も多いかと存じますがレビューしときます(ー_ー)!!

監督正式に引退されますね^今思うと庵野監督を起用したのも頷ける気がします。TVでも制作過程のレビューみたいのやってましたが、「庵野なんかいいんじゃない?」のハヤオノ一言にスタッフはしらけ顔('_')御年70超えばあさんの起用なんかはもはや唖然ですよね。でも、今になって思うことは今作で引退することを決めていて感謝の表現とそれを引き継ぐ人材を探していたのでしょう!
映画自体は戦前前後の壮大なスパンを描くのはちときつかったかなという感想でした。後継者に期待しましょうー

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ふわふわtime

4.0あとからじわじわくる(泣)

2013年9月2日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

子供の頃から宮崎アニメは何度も観てきた。最近は壮大な冒険ファンタジーではなく、心の裏側を映すような作品が多くてどうなんだろう?とそんなに期待して行ったわけではないが、すごく良かった。
大盛りのお腹一杯アニメではない。
クールに皮肉ることもない。
意地も張らない。
その勇気を感じました。
やっぱり宮崎監督は他の人の映画と全然違う、思い出すたび涙が出ます。

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はにこ

5.0感動しました!

2013年9月2日
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泣ける

悲しい

知的

携帯電話や新幹線、パソコンがある事が当たり前の世代には理解できないかもしれませんが、ぎりぎり上野駅にSLが来ていた頃を覚えている私には素晴らしい作品に思えました。レーダーも無い時代に目視で空母に着工艦するシーン、ヒロインが療養所からSLで主人公に会うために病を押して出かけるシーン、どれだけ時間がかかったのか?
貧しい時代だったけれど、皆精いっぱい生きていたんだとあらためて感じました。

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yamato01

3.5良い映画だと思います

2013年9月2日
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鑑賞方法:映画館

幸せ

雑踏の作りこみや風景などとてもきれいでした。風景は絵画のような印象でアニメーションの映画の中でここまで表現できるんだなあと感じました。
ただ庵野さんの声は低くてなじめませんでした。

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はっち

1.0最悪なクソ映画

2013年9月2日
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単純

本物の堀越二郎を尊敬してる機械設計技術者から見れば
これ以上なく堀越二郎をバカにしてる作品。
宮崎駿の浅はかで稚拙なこれっぽっちしかない知識を一生懸命ひけらかすだけのオナニー作品。
おまえは物語を書きたいのか、その知識をひけらかしたいのか。
しかもその知識も本当一部の偏った知識しかない。

堀越二郎はこんなんじゃないし、機械設計はこんなんじゃない。

「設計は知識よりセンス」というセリフがあるが
これは設計の世界では仕事できないアホが言う代名詞。
センスは知識があって成り立つという常識もただかっこいいからというセリフで平気で言ってのける。
この映画を見た一般の人はそういうもんだと勘違いするだろう。

いやいや所詮物語だから、だというのならだったら実名を使うな。
実名を使う以上、そのイメージを崩してはならないし、実際にあった試7式単騎テストとか、あんなふうに間違った伝え方をしてはいけない。
もちろんそんなのは一般の人はしるわけもないんだが、逆になにも知らない人の多くは堀越二郎をあんなふうな人間だと印象づけてしまう。

泣き所もいまいちわからなかった。
いつ泣かせてくれるのかとまっていたが結局なにもなく終わった感じ。
これで泣けるという人はよっぽど涙腺がおかしいんだろう。
それこそ、原作の風立ちぬの方が100倍涙が止まらない。

最後の砦だと思っていた、宮崎駿の伝家の宝刀飛行シーンの爽快感も全くない。
ラピュタのあの爽快感はどこにいった??

なんにせよ、すべてが中途ハンパ。
これが面白いという人を見ると「こいつなんて浅いんだ」としか思わない。

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joseph31

3.0タバコが美味しそう

2013年9月2日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

後半で少し泣きました
戦争の場面はほとんどないです
空と飛行機へのロマンを感じました
それにしてもタバコをうまそうに吸う事!
色々とタバコの描写が問題になった様ですが僕はアリだと思います
皆さんはどう感じますか?

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Aldebaran

4.5自然と涙が溢れ出てくる作品。

2013年9月2日
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泣ける

悲しい

難しい

正直、「面白い」作品ではない。けれど、なぜか、涙がぼろぼろと流れ出る。登場人物が、全員、本当に人間らしくて、魅力的。
決して偽善ではないのだが、善とも言い難い。矛盾だらけだが、人間とはそういうものなのだ。主人公と、ナホコの愛、そして主人公の飛行機にかける情熱は、本当に純粋で、ただただ、美しい。
ジブリとしてのファンタジーさには少し無理やり感があったが、わたしは好きだった。賛否両論あるのも頷ける。子どもは絶対に退屈するだろう。間違いなく大人向けの映画だ。
私にとっては心の琴線にふれる映画だった。とてつもなく切なく、澄んだ感情、そして一日を大切に生きていこうと思える、素敵な作品だった。観て、本当によかった。

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BB

5.0宮崎駿という芸術家

2013年9月1日
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泣ける

悲しい

難しい

一度しか観ていませんが、とても素晴らしい映画だと思いました。
自分が芸術に関わっているからでしょうか、カプローニが語る言葉がとても心に残ります。

「想像的人生の持ち時間は10年だ。
芸術家も設計家も同じだ。君の10年を力を尽くして生きなさい」

宮崎駿という偉大な芸術家は、一番これを理解しているのでしょう。
彼がこれまでに何度も引退をほのめかしています。

「君の10年はどうだったかね。」

この言葉を聞いた時に何故か涙がでました。

ああ、これで宮崎駿は芸術の世界を去ってしまうんだな。
本当に最後と決めていたのでしょう。
映画が全体を通して哀愁に満ちていて、今までになく抽象的です。

そんなに万人にウケるように作ってもいないし、高評価を得ようともしていないし、ストーリーを重視してもいない。
ただ、自分の思うままに、美しく人間を描いた、宮崎駿という1人の芸術家の遺書、そんな作品だと思います。

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にづき

4.0映像としての美しさ

2013年9月1日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

レビューを見ているとストーリーや声優について述べたものが多いようだが、ジブリ映画の真骨頂といえばやはりあのなんとも言えない美しい映像ではないだろうか。
ナウシカしかりもののけ姫しかり、ストーリーをあまり覚えていなくても、一度その映像を観れば何かしらのイメージが脳裏に焼き付けられる。すごいことである。
大ヒットした今作でもそうだ。
妄想の中でプロペラ機を飛ばすシーン、ファンタジー描写のシーン、大震災が起きて地面が激しく揺れるシーン。映画を見て少し経った今でも鮮やかに覚えている。
メッセージ性の強い映画だからこそ、ジブリとしてそういった映像の美しさへのこだわりを見せた今作は見事な作品だった。

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Jill

3.0古き「ジブリ作品」をイメージすると痛い目に

2013年8月29日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

近年のワクワクドキドキ、ハラハラしながらハッピーエンドの「子ども向けジブリ作品」をイメージして見に行くと「うーん」と首をかしげる。

また逆に、原作の「風立ちぬ」をそのまま想像するとそこもまた首をかしげる。

まぁCMなどを見て「ん?」と、何気なしに疑問を感じる部分があったので、出来るだけフラットな状態で観賞しにいったつもりであったが、タイトルからして文学に嵌った時期に何度も読んだ原作をどうしても想像せざるを得ない。
これは原作もののリメイクや映像化にどうしても付きまとう問題であるとも思うのだが…

大人のアニメであることを前面に押し出すべきだったと思う。

子連れが数組来ていたが、やはり退屈して映画館の中を走り回っていた。それは嘘でも誇張でもない。観賞に向いた年齢であるか、作品の奥を理解する精神年齢であるか、違いだろう。
加えていえば、趣味嗜好の問題もあると思う。
機械や飛行機などについて興味がない人間であれば、正直何度見ても夢も希望も感じない、わくわく感も感じないだろう。

風立ちぬをモチーフにした、違う話として発表すればきっと違う印象だったのかもしれない。
だが、私がジブリに求めるのは、おそらくこの作品の形ではなかったと思う。
無碍に「この作品を見るべき」「見るべき価値はない」などと、個人的な価値観で他人に話すことは無いが、これだけは言っておきたいと思う。

「ジブリアニメだからって子ども向けと思っていてはだめだよ」
「原作の風立ちぬは頭から振り払っていきなさい」

と。

私は少なくとも向いていない。
ところどころ泣けたり、心は動かされた所はあった。

どうやら派手で勧善懲悪なハリウッド映画に、完全に毒されてしまったようで、エンターテイメント性を求めるつまらない人間になってしまったようだ。

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みさっちん

4.5『風立ちぬ』〜恐るべき少年の志〜

2013年8月27日
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泣ける

知的

幸せ

百人百色に実に色々な観かたや味わい方の出来る、世間的なイメージでのアニメの範疇を超えちゃったある意味途轍もない映画だと思うんですが、
まぁそんな初歩的な事はこのサイトをご覧になる様な方は百も承知でしょうから、百色だったらどうで三色ならどうなのだ?的な抽象的な話は省略しますし、自分の感じた一色だけ書いておきます。

自分はこの作品二度観ました。1回目は自分がいったい何処であんなに涙腺にジーンと来たのだか、帰ってから思い起こしても何だか良く判らなくなったので、
(本ではなく映画でリピートするのは個人的には異例なのですが)その辺のもやもや感をどうしても解消したくてもう1度行くことにしました。

それで結果的に自分としてはだいぶんと腑に落ちたのですが、恐らくは泣いた!感動した!と自分を含めた世間の皆さまが、まるで星飛雄馬と伴宙太の如くダダ泣きしてしまう部分というのは、主としてヒロイン菜穂子の心情にピィィィィィィンと観た方の琴線が触れまくった時のパートにかなり局限されるのではないか?と今ではそう思っています。

これ程にも誠実で純粋で真っ直ぐで、そして儚く美しい菜穂子の二郎に対する想い、なんだかままごとのようでもあり夢うつつの様だけども、絵空事だと一蹴出来ない、こんな想いで結びついた二人の関係への率直な羨望。
ここだけ抜き出しても何度でもゴハンお代わりが出来る、じゃなかった、何度でも泣けるくらいに菜穂子さんの心情から溢れるモノの涙腺破壊力はかなりスゴイなと感じます。
で、確かにスゴいんですが、でもこれはやっぱりこの作品のミソではないな、とも感じました。

あれこれ思い起こして、作中で今も一番くっきりと印象に残っているのは、やはりカプローニ伯爵が「日本の少年よ、まだ風は吹いているかね?力を尽くしているかね?」と繰り返し繰り返し呼びかけている夢のパートでしょうか。

「夢見る少年の視たその夢が、世界を造り世界を滅ぼす」「だから少年を主人公にするのは困難だ」とこれまで語っていた監督。
そのためか、映画版の『風の谷のナウシカ』以降は常に物語に健気なヒロインを被せるという、ある種カモフラージュ的な甘いオブラートに包みこむことによって、結果として『ラピュタ』に代表されるようなジブリがイッパイな柔らかなイメージを長らく提供し続ける事になった監督。

その同じ監督がまさにその少年〜青年を、こうもストレートに正面に据えて、いつもなら大文字でかかげる「ヒロイン」を、完全に脇に置いた物語を描き始めたことに、そして人生の晩年になってなおこの様な呼びかけを為し得る事に、自分は後から素直な感動を覚えているのでした。

『創造的人生のリミットは10年だ、君の力を尽くして生きなさい」・・

そこには賢しらな倫理や善悪や正しさとの相対など関係なく、他者との比較やこすからい優劣でも勝ち負けでもなく、他人からどう評価されるのかでもなく、ただ自分という実存が、どれだけ力を尽くし、抱いた夢に向かってその生を生き切る事が出来るのか?

それこそが人を美しく人たらしめるものであり、人はひとたび生まれたらなべてその夢を追うべきなのだ、と言うある種のエゴイズム肯定。
それを恐らくは表現者としてのハイリスクを承知の上で、正面突破でやっちゃったことは大きな驚きです。
といっても、複数の方が指摘されていますが、これは既に漫画版『風の谷のナウシカ』で到達していたことなのだそうですが。

ともかくも、少年の夢を去勢してしまえば、もうそこから先は生暖かい日常の中に閉じ込められて、何とはなくの幸福感で半ば満足しつつ、経済的な環境が良いものであれば尚更に、それでいて自分でもよく判らない何かに常にいらつきながら、壮年に至るまで悶々とあがいていく人生になってしまう。。

「だから少年よ、夢に向かって力を尽くしなさい、そうして君は生きねばならないのだ」

と、大人の経験のみが持つ残酷さと優しさで語りかける宮崎監督。すげぇなアニメでこれやるか!クラーク博士も真っ青、全くグレートなじじいだ!って言葉しか浮かびません。

・・でもなぁ、今時の、自分自身にはとってもユルユルな、そのくせ他者にはとっても不寛容な、あるいはビッチーなばかりの人たちには、これってどれくらい通じるのだろうか?
これがちゃんと通じる人には若者だろうが大人だろうが、そもそも語りかける必要が無いのでは?というアイロニーもまた成り立つわけで・・ヽ(´д`;

確かに、ただ萌えるばかりが大好きなアニメファンは言うに及ばず、「ブンガク」なんてお呼びじゃないし、表現におけるメタファーもアイロニーもクソも全く理解できん(したくない)という人たちが、はぁそれで??とか言ってバッサリ切り捨ててますしねぇ。

その辺がとても心許ないので、観客への訴求力に対して★半分マイナスにさせていただきました。

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天網恢々