風立ちぬのレビュー・感想・評価
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心にくる映画
心にくる映画でした。今までの作品とは違う作品。
見る人に夢を与えたり、わくわく感を与えるような今までの作品とは違いました。切なさや胸が締め付けられるようなシーンがいくつかありました。けれどもそれでも見て幸せを感じました。
そして、もう一つの目線でみると
宮崎駿は売れる作品を作ったわけではなくて自分がかきたい作品を最後に作ったのでしょうね。節々にそんな宮崎駿の葛藤が感じられます。
だから、結局何がいいたいのか感じ取れない方もいますがそれは深く伝えたいことは一つではないし確実でもないしそれが美しいんです。
大人にならないと分からないですね。
戦争の背景は至ってふわふわ描かれています。確かなのは、主人公とその婚約者の気持ち。結末もふわふわ描かれています。だから、心にくるのです。
ふわふわと描かれているから見る人は想像し感じれるんだと思います。言葉にできない心にくる感動があります
深い作品です。
若い人には分かりません
明治維新からおよそ36年を経た1904年、日本は清を相手にした戦争を始めます。その後、日露戦争を経て1910年には日韓併合を行い、日帝の時代へ突き進んでいきます。満州事変のきっかけとなった柳条湖事件を経て1941年に日中戦争へ、そして第2次世界大戦へと暗闇の歴史を重ねていきます。
折しもゼロ戦は、そんな時代のクライマックスに開発されていきます。無差別破壊兵器が禁止されている国際法の体制下では、その性能が故に、まさに日本の技術優位性を証明するかのように、大戦の中で活躍をしていきます。
体当たりで特攻する様は、技術優位性を否定する行動としか言いようがないものの、小さな機体で飛び込む様は日本人の美学をむしろ肯定する対象として崇められていたのではないでしょうか。
1945年に長崎と広島に国際法で禁じられている無差別破壊兵器の原爆が投下されるまで、日清戦争の開始から実に40年余がたち、戦争はその終結を迎えます。40年以上もの長きに渡り戦争は繰り広げられました。長い日本人の歴史の中では今となってはたった40年ですが、日本の歴史の汚点として、私たちは無視をしてとおりすがるわけにはいかない、長い長い暗闇の時間がそこには流れていました。
そんな時代の中に次郎と菜穂子は生きていました。愛し合っていました。そのことを感じるだけでも、この作品の意義があります。こうした時代が存在したことを忘れてしまった、反省の気持ちが薄れてしまった、あるいは全く認識しえない、そう感じる日本人が増えてしまったのかもしれません。
菜穂子は山に戻り、240ノットを出す戦闘機を開発した次郎の夢には、戻らないゼロ戦が語られます。山に戻ろうとする菜穂子は寡黙でやりようがない時代と愛の象徴です。次郎の夢は、戦争の存在を正当に認識したくない今の日本人の歴史観かもしれません。
最後はファンタジストらしい終わりでした。戦争は描きようがない歴史であることとメッセージする氏の気持ちが伝わる映画です。
戦後、驚異的な復興を遂げた日本。40余年に及ぶ失った歴史を忘れてはいけません。今の私たちがここにいることは先人たちの努力の積み重ねがあってこそなのです。拭い去ろうとしても拭いきれない負の時代を正面からとらえる努力が今、必要とされているのです。そのことを痛いほど感じました。
ただし、ユーミンの飛行機雲は、どうでもよかったです。次郎の声優も下手です。遊びすぎです。映画の質としては低い気がしました。
"好き"をひとつに
とてつもない虚無感に映画の後かられて…どこも寄らずに帰宅した。
宮崎監督が何を表現したかったかをじっくり向き合って考えたかったから…。
宣伝期間もすぎ、結局のところ客寄せに至ってしまったタバコ騒動とか引退なんやかや。
そういうのが嫌で、
今時期にようやく観に行きました。
私は、多分ジブリの中では一番衝撃を受けた作品かもしれない。
似た飛行機映画の『紅の豚』では、ここまで入り込んだ衝撃は受けずとも…当時は小学生ながら4回も観に行くくらい好きな作品でしたが(笑)
何より紅の豚ではあまりはっきり描かれなかった恋愛描写。
私は宮崎監督にいつも『恋愛描写が足りないな』とつくづく諦めていたんです。
だからこそ、今作の至る所で愛し合う素敵な描写をまっすぐに描いてくれたことが何より嬉しかった!
今までのジブリでは、男女どちらかの想いばかりを描写しがちで、あまり両者の想いが伝わりにくいスタンツだったのが、
今作では出会いから、再会〜結婚から看病…別れ、すべてに2人の視点からの相手を思いひた走る描写がすごくよかった…
だからこそ 駆け落ちみたいに2人で最後暮らすシーンは印象的で…
キスや抱き合うシーンなんて
まず今までの宮崎作品では見られなかっただけに…かなり衝撃と、若干同様しちゃいましたが…
でもだからこそ
戦火であっても潔く、夢と仕事に打ち込む事が出来るのと
私達、観る側も単なる飛行機大好きなヲタク映画ではないんだと安心して見れるわけで(笑)
でもさすが宮崎さん。
やっぱり機械は精密過大に描写してますね(笑)
軽井沢の自然豊かな風景も素敵でした。
…そんないろんな『好きなもの』に濃縮された作品だなぁって。
とにかく私は
この作品を映画化に踏み切らせてくれた鈴木さん、
そして幻想的で奇々怪々な描写だけではない現実的な『美』を表現してくれた宮崎さんに
心から感謝したいと思います。
そして宮崎さん、
お疲れ様です。
あとはゆっくり余生を満喫してほしいものです。。
ジブリに幸あらんことを…
オトナの為のアニメ
駄作
宮崎駿の限界を感じた作品。
一体何を言いたいのか。全く分からない。
史実について書いているのかもしれないが、大震災の描写はナウシカのようなトーンで書かれ、飛行機はラピュタのようなタッチ。
トトロやナウシカ、ラピュタのイメージがぬぐえない中で全体のトーンに違和感を感じた。
関東大震災の描写が必要だったのか?史実はあんなに悠長な状況では無かったハズだがきちんとした時代背景を描写しきれていない。
戦時の描画も同じ。結核やサナトリウム、工場の実態など全く史実に基づいていない。
ネットで調べたり出てきた画像を元にイメージを膨らませて書いたのではなかろうか。
宮崎駿はファンタジーな世界観を描くのには適しているが、こういった史実に基づくような世界を描くのには全く向いていない。
引退ではなく、限界だったのだと思った。
うーん。
ラストシーンの解釈は?!
映画館で二回鑑賞。
観れば観る程味が出るするめのような作品。
するめといったら語弊が出るかもしれないが、毎度違う発見があるのと、主人公がいったい何を考えてそのような行動をしたのか、宮崎駿は何が言いたかったのか、一緒に見る人によって感想が変わるため、観賞後の談義が非常に盛り上がる映画。
友人から聞いた、ラストの解釈が面白く納得してまったので紹介。
ラストシーンは、生きる希望を無くし、おそらく自殺を試みた瞬間の二郎の心境を表現しているのはないか。飛行機の墓場は自分自身の墓でもあり、創造的な10年間を飛行機に捧げた二郎にはもはや生きる意味が無かった。菜穂子の台詞は「生きて」ではなく当初の脚本では「来て」だったとのこと。たしかに、あのシーンはまるで天国の菜穂子が「お疲れ様」と二郎を安息の場所へ迎えているようにも見える。
友人の解釈を聞いてハッとした。
カプローニのワインは”打ち上げ”を意味しているのではないかと。
イベントも祭も仕事も製作も、最期は打ち上げで乾杯して幕を閉じる。最期のシーンは宮崎駿自身の創造的な人生の終焉を、二郎の死に重ねて表現したかったのでは?試写会で宮崎駿が涙した理由は、作品の内容そのものに対してではなく、アニメーション監督として創造的な人生を振り返ったからなのかもしれない。
解釈の幅が広くなるラストなので、ワインも人間の血を暗喩しているように思えてしまう。人間は血が無くては生きられない、それを決意せよ、という生に対する意思確認も込められていそう。
もう1回ぐらい劇場で観なきゃ!
ジブリにしか作れない
ジブリらしい、ジブリにしか作れない作品。
ジブリしか作ろうとしないだろうけども。
「変人の天才が周囲の評価と支援を得て夢想した偉業に突き進み、それに寄り添う賢く薄幸な女性と短くも濃い深い理解の日々を過ごす」という、宮崎駿が好きなものを詰め込んで形にしましたという代物。
技術者堀越二郎を詰めたわけでもない。
零戦の設計者であると宣伝されているにもかかわらず、零戦の扱いの軽さ。
夢を描いてその実現に向かい突っ走っていく過程が大事で、その成果物に大した興味を示さないあたりが、非常に宮崎駿らしい。
ただし、突っ走る資格があるのは才能のあるものだけ、という思想が見え隠れするのも宮崎駿らしい。
二郎菜穂子のラブロマンスを追ったわけでもない。
技術者を描いてるシーンではきみ不必要だから、とばかりにしばらくいなかったことになるという扱いがまたわかりやすい。
見た目、性格、影のある背景設定と、ヒロインはまたクラリスかよというのもわかりやすい。
感動話を作る演出はうまくて、展開も内容も読めてたのに一瞬涙が出かかったのはさすがの表現力。
ニコイチには無理があったのでは。
どっちかにしろ。
ジブリの制作力で形にはしたものの、これで子供たちに何を見せたいのか。
才能ない奴は天才のサポートに徹して支援と評価だけしてりゃいいんだよ、ロマンスも運命も彼らだけのものだ、っていうことだろうか。
いやまあ、宮崎駿の思想の根底にあるのはそれなんだろうけども。
圧倒的な画像表現力を考慮に入れた上で評価2。実質1~1.5。
突き動かされるもの
宮崎駿監督が自分の作品で涙した。素晴らしい引退最後の作品です。
最初は?とても飛行機設計図の図面書きなど難解なシーンでした。堀越次郎=声(庵野監督)が、0戦の仕上げまでに掛かる間様々な出会いがあり、一番の出会いは、関東大震災で汽車の中で恋をする時代背景もアニメタッチもリアルで美しくきれいです。
宮崎駿監督自身が『NHKTV特集』で、切ない恋愛を描いたのは初めてと仰ってた。
堀越次郎は、恋をして彼女の病でなくなってしまうのですが・・・
最後は、彼女の死を無駄にしない生きて夢を失ってはいけないことを知ります。とても素晴らしい作品です。
アニメ観て泣いたのは私は初めてです。切なく夢を忘れない男の生き方と好きな人に(逢い)愛たい女性の生き方本来の人として様々な思いが短いシーンで表現されております。が、恋愛をアニメタッチで表現するのは、男性は女性の切ない気持ち描くのは、とても難しいですね……。
この作品を子供達は今後も何度も見続けてくれるだろうか
宮崎駿監督が、子供達に「わけがわからなくていいから見てくれ」と作った本作。
観終えて、個人的に思うところは溢れんばかりにあります。
ここでは、題名に書いた論点1点に絞って書きます。
そして、表面上、この映画とはほとんど関係のない話を書きます。
私は普段は映画論評は読むことすら嫌いです。当然、語ることも不特定多数の方に向けて書くこともです。
ただ、本作は他の方、特にお子様をお連れの方からのお子様の反応が気になりました。
私の願いは、『トトロ』などは放っておいても何度でも観るだろうけれど、
『風立ちぬ』も何度も子供達に観て欲しい、なのです。
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ジブリ作品が映画の興行収入記録を次々と塗り替える前の興行収入最高作は
『南極物語』という作品でした。今からほぼ30年前くらいの作品だったと思います。
当時私は幼稚園生だったか小学校には行っていたか、そのくらいの年齢でこの映画を観ました。
今のジブリ作品ほどではないにせよ猫も杓子も『南極物語』を観に行ったわけです。
当然、子供はほとんど意味を理解できません。
とうじのぼくのみたかんそうは「わんこがんばれ。わんこかわいそう。タロ・ジロよかったね」程度だったと記憶しています。
あとは、極地の厳しい自然の映像美が脳裏に刻みこまれたくらいですね。
その1、2年後TVにて放映された『南極物語』を録画してその後【何故か】何度も何度も観る事になるのですが、
その頃は前半は早送りですっ飛ばして犬達が昭和基地に取り残されるところから見始めるといった具合でした。
まだ、見殺しの決断が下ったシーンにて高倉健演じる越冬隊員が取り出したビンの中身が毒だということも
渡瀬恒彦演じる越冬隊員が千羽鶴を千切って海に投げ捨てる理由もわかりませんでした。
小学生高学年くらいになると、流石にそれくらいはわかってきます。
「苦楽を分かち合った同士」となる犬ぞり隊の探検と遭難寸前に追い込まれ、
昭和基地で生まれたタロ・ジロを解き放って基地に助けを求める前半部も観出します。
でも、後半はやっぱり犬達のサバイバルだけしか観ず、
並行する高倉健が謝罪の旅に廻るシーンはすっ飛ばすんですね。
わからないのでピンとも来ないしつまらないし。
成人すると、全編観ます。非常に重い映画です。
でも、見え方が定まったかというと実はまだまだで。
社会に出てそれなりに外の世界との修羅場も経験して、ある日、また観ました。
あの泣く子も黙る高倉健とあの泣く子も黙る渡瀬恒彦のそれも若っかい2人が壮絶な演技をしていました。
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TBSだったかでリメイクされた南極物語は、木村拓哉1人で見事にぶち壊しになりました。
流石、子供からの「何もかも嘘っぽく聞こえる」という反応から『ハウルの動く城』主役に採用されただけのことはあります。
『風立ちぬ』。庵野秀明への批判も多いようですが、その素の声は少なくともそれよりはよっぽど上です。個人的には問題を打ち消して余りあるハマり役です。
そして、子供達が、
言われなくても【何故か】何度も何度も『風立ちぬ』を繰り返し観る
ようになったなら、この作品は成功なのだと私は思います。
泣きました!
素敵な恋愛映画
感動した場面もあったけど・・・
号泣したが、これからの人生を頑張ろうと思えました
タイトルにも書いたとおり、中盤から何回か泣けるシーンがあって最後はそれの比じゃない位号泣しました。
しかし自分の夢を追いかけて、愛する人もできて、必死に生きてゆく主人公を見て自分の人生はまだまだ頑張れると奮い立ちました。
私はまだ20年ほどしか生きておりませんが、戦時中、その前後の辛く陰惨な情景は映画や文献でよく目にするのである程度のイメージはありました。それに対してこの作品は飛行機に憧れる少年の夢とヒロインとの恋愛が描かれ、戦時中の暗い描写は少なかったのですが、もちろんあの時代でもそういう人はいたのでしょうし、戦争に関わる映画だからといって苦しみや悲しみを前面にだす必要はないと思います。
酷評する人が意外と多くて驚きました。私は自分の価値観を押し付けることはあまり好きではないので、酷評するなとは言いません。しかし、勝手にこの作品に対するイメージをもって鑑賞して、そのイメージと食い違ったからといって批判するのは違うと思います。
できれば、なにも考えずにまっさらな気持ちでこの映画を観て欲しいです。私は観終わったあとに、これからの将来に全力を尽くそうと思えました。何を感じるかは人それぞれなのですが、やっぱりそういうことを感じた人が1人でも多く居たなら私は嬉しく思います。
何度でも観たい映画でした。
映画を見た直後と1、2週間たった今とでは、内容の感じ方が少し違ってきました。
すごいです。想像以上です。
今までと同じペースで宣伝してはいけない映画
宮崎駿には子供向けの映画と青春ものの映画と2つの面がありますが、
これはどっぷり後者。
その後者で成功した物ってあったっけな? 本来の需要は少ないと思います。
需要がないのに今までと同じペースで広告宣伝しまくって妙な期待をあおると、
余計に悪い印象を持たれるだけなんじゃないですかね。これは日テレが悪い。
さて、中身的には、誰がいつ死んだのかが分かりづらかったり、
どこが夢や回想でどこが現実かわかりづらいのが欠点ですが、
相変わらず絵は細かく書き込まれていて、よく動いていました。
批判する人は、戦時中なのに戦争の悲壮感も反省点もないのを指摘するでしょう。
話題の声は・・・、淡々としているシーンはまだ良いのですが、
感情の必要なところはやっぱりだいぶ弱いと思う。
もったいないので、別キャストで当て直したバージョンも作ってみては?
表現者の詩的自伝
印象に「知的」を選んだのは、観た後に楽しめなかった自分を分析することになったから。
小学生の頃に抱いた夢を追い続け、夢の実現に半生をかけた人生が描かれ、主人公はどこまでもピュアで、一切の闇は描かれない。こんなにリアリティのない大人を観ても、大人の心には響かない。では子供はどうかと言えば、子供には少し敷居が高い。出てくるのが大人ばかりで、恋愛が絡んでいたりとちと難しい。
主人公がピュアな技術者で、それを支える病床の奥さん、ピュアな主人公を支える上司や同僚。どこまでいっても、技術者は夢の実現に生き、夢の昇華に全エネルギーを傾ける。幼い頃に見た夢が、最後まで続き、心の師(カプローニ)に導かれる世界はファンタジーである。
宮崎駿自身の制作表現の半生を詩的に描いていると自分は思った。少し現実離れしている主人公はファンタジーに生きている。そういう映画だった。
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