「悪いが、最高の映画だった」風立ちぬ yamanogotosiさんの映画レビュー(感想・評価)
悪いが、最高の映画だった
賛否両論あるが、純粋な個人の感想としたら最高の映画であった。
モノを作る仕事に携わっている人、自己を顧みず最前線で働いている人にとっては、いつの間にか自分を映画の中に落とし込んでしまったのではないか。
勉強会で上司に感動したと言わしめる姿。
うらやましいと感じ、明日からの仕事に少し意気を感じたのではないか。
エゴ・結果・趣味・責任
こういった物が溢れ出すのを、ぎりぎりの状態コントロールする。
何事でも全てをマネジメントできる人間は一握りだ。
その気持ちや感覚を理解出来ない人がいることは仕方がない。
まして子供の理解は困難であろう。
更に完全に男目線であることも女性の批判を受けているのでは。
ジブリは老若男女に支持されるあまりにも巨大なブランドが出来上がってしまっている。今回誰にでも共感出来る部分が軽んじられているのは明白であり、そのギャップにつまらいと感じるのであろう。
見てもらう対象ではない人も見てしまっているのだからしょうがない。
また、この内容はアニメでなく実写でも制作可能であろう。
ただ、アニメと実写との差はそこに役者という個人の判断が入ることにあり、すべてのエキストラのようなキャラクターも含めてコントロール出来る事がアニメと実写の違いだと考える。
そういった意味でもこの映画は宮崎駿監督の思想をストレートに表現している観客への手紙と考えるべきであろう。
見る側も登場人物の視線から、コメント、自然の描写、動き等映画の全てに監督の意図を想像するべきであり、それが出来る密度の映画である。
私が高校受験の時にお守りとして、高木貞治の解析概論を購入しました。
しかし、眠気に勝てず、二ページ目をめくることが出来ませんでした。
いつかは読破してやると思いつつ、本棚の上の方に鎮座し、未だ、三ページ以降は新品同様です。
でも、世に幾何という学問形態があり、それを理解している方も大勢いる。
幾何学を否定するのではなく、認め、それを理解できたときの自分を想像し、一人暗闇でにやけているというような楽しみ方も在るように思います。
私のコメントに対してのコメントありがとうございました。
鷹と申します。
貴方のレビューに対しては、掲載直後から共感ボタン押させていただいておりました。
貴方がレビューの中で書かれていたように、非常に濃密な、考えれば考えるほど奥に引きずり込まれていくような、奥深い作品であると私も感じました。
さてさて、この作品に対してのレビュー評価が極端に分かれている理由に関して。
確かに貴方のおっしゃった通り、感性の有無という一言で済ますこともできるように思われます。
ただ、私はもう少し人間を信じたい。
そうでなければ私の中で、議会制民主主義の否定まで考察が走って行ってしまいます。
(最近少しばかり疑問を持っていますが、、、)
確か筒井康隆氏が断筆宣言したころに、受動観賞と能動観賞に関しての文章を書かれていたように記憶しております。
TVのようなマスメディアが、絶えず視聴者に優しい(過度の視聴率依存)番組を大量に流してきたが故に安易な型が出来てしまい、その型に嵌まらない作品に対し、一般の方々の中に瞬間的に拒否反応が起き、さらにそれをマスコミが煽るというカンニバリズムが蔓延っていることに警鐘を鳴らしています。
つまりTVが作り上げた、御座敷劇に慣れすぎて、それ以外味わえなくなってしまっているのかもしれないなと。
感性の有無ではなく、感性の退化、自らの処世術としての封じ込め。
キリスト教信者であった芥川龍之介が地獄変を世に出せたように、本来発表される作品には型を嵌めるべきではなく、かつそれを味わえる柔軟な感性を出来るだけ多くの方々に取り戻していただきたいなと、私勝手に思っている次第です。