凶悪のレビュー・感想・評価
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悪魔を見た
雑誌ジャーナリストが死刑囚の告白を元に、未解決の殺人事件とその首謀者に迫るベストセラー・ノンフィクションの映画化。
衝撃サスペンスなら韓国、日本だったら「冷たい熱帯魚」の園子温が真っ先に頭に浮かぶが、まだまだ日本にこれほどの力作サスペンスを撮れる監督が居るとは!
長編監督作は本作で2作目、映画監督では若手の40歳。
若松考二の下で映画を学んだだけあって、白石和禰監督の演出は本物だ。
本作の最大の話題はあちこちで評判になっている通り、リリー・フランキーとピエール瀧の“凶悪”演技。やはりこれには触れずにはいられない。
まず、ピエール瀧。
事件の顛末を告白した、元ヤクザの幹部で死刑囚の須藤役。
オラフとは全然違う(当たり前だ!)、凄みのある演技。
穏やかに話していた面会中に突然ブチ切れ豹変するシーンには鳥肌すら立った。
そして、リリー・フランキー。
一連の事件の首謀者で、不動産ブローカーの木村役。
インテリで飄々とした雰囲気を感じさせつつ、ヒヤリとする恐ろしさを秘めた名演技。
同時期公開の「そして父になる」では優しい父親を演じ、まるで正反対の役柄には本当に驚かされる。
二人は軽やかな殺人トークをしながら手を下す。
死体を何かの粗大ゴミのように扱い、須藤は鶏でもさばくように死体を切り刻み、木村は楽しそうにその死体に火を放つ。
須藤は何の躊躇も無く老人を唐突に殴り、木村は愉快そうに老人に酒を飲ませスタンガンを当てショック死させようとする。
かと思えば、皆で賑やかにクリスマスを祝う。
人間はここまで二面性があるものなのか。身の毛がよだつと共に、劇中の池脇千鶴の台詞ではないが、高揚感すら感じるものがあった。
この二人の殺人犯は対称的でもある。
片や暴力的だが人情があり、片や穏やかだが冷血漢。
本当に恐ろしいのは…
そう、本当に恐ろしいのは、この二人ではないのかもしれない。
山田孝之演じるジャーナリストは、事件にのめり込み、家庭を不幸にしながら取り憑かれていく。
例えそれが熱い正義感からでも、一度ハマってしまった人間の心の暗部は底無し沼。
韓国映画で「悪魔を見た」があった。
この邦題は上手いと思った。
“悪魔”とは、チェ・ミンシク演じる怪物的犯人ではなく、イ・ビョンホン演じる主人公が見た自分の心に宿る暗部。
それは本作にも言える。
悪魔を見た。
人間の心の暗部に…。
鑑賞後の気持ちの引っ張られが凄まじい
実際にあった事件が題材となっていること、あとは出演されてる方の演技が上手であるために、見終わったあとのずーんとした気持ちは凄まじいです。
リリー・フランキーもピエール瀧も普段とは全く違った冷酷な凶悪な方になっていました。
ご老人の役者さんの演技も、年齢と風貌も合間ってすごく胸に来るものがありました。
全く一般市民と思っている人にでも、ご年配の方に対する凶悪な気持ちは芽生える。
メッセージ性もあるので、そのあたりのことを非常に考えさせられました。
ぶっ込む怖さ
顔の説得力
ピエール瀧とリリー・フランキーが真面目に悪人を演じるということで話題になった本作。
その通りに映画の作りはいたって正統派。
映画的なツイストの手法もあるにはあるがドキュメンタリーか、というぐらいに正攻法で犯罪とその人物を描いていく。
センセーショナルな事件に対して、 それがジャーナリズムなのか、好奇の目なのか、真実を知りたいという欲求なのか?を観客にも問うてくる。
どこで切れるか分からない男(ピエール瀧)に対して とことん心の底が不明な先生(リリー・フランキー)。
全く理解できない人間がこの世には普通にいるという感じが怖い。 やはり映画というより上質な実録ドキュメンタリー観た後のような気分になった。
後味は確かに悪いのだけれど
産まれて初めて使います。
胸くそが悪い。
この言葉がぴったりきました。
しばらくはフラッシュバックして嫌な気持ちが続き、思い出したくない。辛い、苦しい。
まんまと監督の思惑通りの感情になり、かなり後引きました。
なに不自由なく暮らしていても、ちょっとしたきっかけで、人間悪人になりえる。
世界で一番大切な家族でさえ、荷物になるような感情が私にも芽生える事があるのだろうか?
考えただけで涙が止まりません。
もう二度とみないし、可能な限り思い出したくないですが、見なければよかったとは、口が裂けても言えない。
そんな胸くその悪い映画です。
はぁ。。。生きるって。。。苦しい。。。
高齢者問題を思うと胸が痛くなります。
最初の10分間で、すでに“凶悪”です。
凶悪という文字を映像にしたらこうなるという見本のよう。
しかし、まだまだ凶悪は続きます。
人の、特にお年寄りの命を金としか思っていない先生により、
確実に金になる方法でもって、年寄りがいたぶられながら殺されます。
観ていて、もう、はやく死になよ・・って思ってしまいました。
家族に捨てられて、家族の借金のために凶悪犯の手中にはまって
苦しめられて、苦しめられて、それでも「生きたい」
と言う被害者のお爺さんの言葉に心が痛くなりました。
その言葉に何も感じる風もなく、殺すのです。
それはもう、仕事を全うするように。
記者の妻は、記者の老母の介護がやりきれず
のらりくらりとかわす記者に我慢ができず
離婚を切り出します。
お義母さんの面倒を私一人に押し付けてと。
最終、お義母さんは老人ホームに預けられます。
この高齢化社会で、人として尊厳をもって生きていくには
どうしたらいいのだろう
映画の筋とは違うかもしれませんが、
そんなことを考えて心が重くなりました。
演技派揃いな作品。
リーリーさんと瀧さん評価あげの映画
真実は小説より奇なり
実話を元に映画化された本作。
映画を見る前に、どうしても気になって原作を読んだ。タイトル通り、その凶悪さに驚き、フィクション小説かと疑うほどの衝撃があった。
事の発端は、すでに別件殺人罪で死刑が確定している服役囚が、週刊誌記者にまだ明るみに出ていない3件の余罪を告白することから始まる。
映画の中では、ドラマ的要素が肉付けされているが、この部分が稚拙な作品にしてしまっている気がして、残念でならなかった。
記者の家庭問題や、煙たい女上司の存在など、全く必要性を感じない。
むしろ、この事件に奔走する記者の姿を描いて欲しかった。実際、取材をするにも事件の核心人物に接触することはできない。それどころか、取材の動きを悟られないように細心の注意を払い、外堀を埋めるように情報や裏付けとなる証拠をつかんでいく点などはまさにミステリー小説のよう。また、遺体を埋めた場所を聞き出すも、被告の記憶が曖昧で場所の特定ができない。それを地図・地形、風景などわずかな情報から割り出し、足を運び、絞り込む…など、十分ドラマとして引き込まれる作品になっただろうに(しかも実話)
。映画では至って軽く、サラリと描かれてしまっている。本当に残念。。。
途中退席しようかと思うこと度々…。
そんな心残りが大きく残る作品だった。
(※原作はオススメ!)
唯一、リリー・フランキーさんの温厚さと不気味さが表裏一体になった演技は素晴らしかった。
後味
現実に人間の皮を被った悪魔は居るんだな…
面白いけど、素直に面白いと言いたくないので、★マイナス1。須藤と先生役、ピエールとリリーさんの演技が自然過ぎて凄い。実話を基に…と言うのが恐ろしい。尼崎の事件もそうだが、私たちの知らないところでは、常識ではない事が当たり前のように起こっているのでは?もしかしたら、自分も巻き込まれる事だって有り得るのでは?と観終わってからが恐ろしい。
上映中は、生きている世界、彼らと思考が違い過ぎて「怖い話の映画」でしかないんだけど。私には。
劇中でもコントのようみえてしまったシーンもあった。(焼却炉に入らないってとこ)それも、「怖い話の映画」という感覚からだろうな。
引き込まれるし面白いです。実話と考えてしまうと面白いと言いたくないですが、観て損したと思う事は無い。
須藤の女はどうなったんだろう。あの人も捕まったのでしょうか?
あの人も捕まって欲しい。
瀧でかい
事件の回想シーン、瀧もリリーさんも異様な雰囲気を醸し出してて、すごく良かったんだけど、そこがメインになってしまった感がある。
もっと、記者が事件の真相に迫る描写とかあると良かったのかな。
でも結構長かったしなあ。難しいですね。
リリー•フランキー良い!
凄い怖い。タイトル通り凶悪。
瀧の服が面白い
殺人鬼の実録映画だと思ってわくわくして見たら、取材者の一歩引いた目線で描いていたのが残念だった。当事者が犯罪現場の真っただ中で感じる興奮や恐怖心を描いて欲しかった。
ピエール瀧がすごい存在感と演技力のある俳優になっていてびっくりした。服がすごいセンスで面白かった。
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