庭師

庭師

解説

「カンダハール」など数々の問題作を手がけてきたイランの巨匠モフセン・マフマルバフ監督が6年ぶりにメガホンを取り、19世紀イランで創始されたバハイ教を題材に撮りあげたドキュメンタリー。マフマルバフ監督とその息子メイサムがそれぞれカメラを手に取り、イスラエルにあるバハイ教の本部を訪問。世界各地から訪れる信者たちにインタビューするかたわら、互いの姿をカメラに捉えながら対話を重ねていくが、次第に父子の世代的格差があらわになり……。2012年・第13回東京フィルメックスの特別招待作品で上映。

2012年製作/87分/イラン
原題:Bagheban

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画レビュー

4.5人間の心は鏡と同じ

2020年4月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

親(モフセン マフマルバフ監督)子(メイサム)でバハーイー(バハイ,Baha’i)
世界センターを訪れてそこで信者にあって話を聞く。父親はバハーイーを体験してみるが息子のメイサムは反感を。うまく言えないが、キリスト教でもあり仏教徒でもあり、ゾロアスター教徒でもあるといい、バハイの気持ちになっている(なってみている)と言ったほうがいい。

二人はイスラエルのハイファの本山、世界センターに行く。イランで始まったこの宗教は布教を禁止され、迫害にあって教祖バハー ウッラは牢に入れられたりした。その後イスラエルに追放されて、放免され、そこで、バハイを。

モフセン監督はイランのマイノリティーに力を入れているようで、『ギャバ』、『サイレンス』、そして、『庭師』と、ここではバハー
イーを興味深く紹介しているだけでなく、自分の宗教感もここに表している。知人にバハイはいるが、この宗教の詳細は知らなかった。監督の目的は宗教の紹介や勧めではない。息子と違って宗教に反対しているわけでもない。息子は現代社会で宗教は必要ないといって、自分に頼る、自分で行動できるとしている。よく聞く話だ。メイサムはモフセン監督にバハイを奨励するためこの映画を作成しているのか聞くところがある。そして、社会正義のテーマではじめたんじゃないのとも聞く。監督は、信仰のため迫害され亡くなった人々を訪問してるという答え方をする。(ちょっとわすれた?)

監督は宗教が破壊的暴力を持つことに反対している。例えば彼の出身であるイランの核実験、バハー ウッラーの迫害や宗教争い やタリバン、アルカイダ、モスリムの自爆(特攻)などを否定している。そして、宗教の力は平和と友好に向けられるべきだとしている。皮肉にもこの二人が撮影したり、話し合っていると、宗教の本来の姿である、平和と友好を示しているような気がする。

ある信者の言葉が気に入った。

人間の心は鏡だと、時々、埃りに覆われている。我々人間はこの鏡を努力して埃をとり綺麗に磨く必要がある。そうすると、(我々の心は)美と光で輝く。モフセン監督は輝いている鏡を胸に持って美しい景色を見せながら歩く。(素晴らしい撮影のしかた)また、海に出て荒波(困難な時の人間の心)も鏡に映す。

エンドロールのちょっと前に、エルサレムから戻り、モフセン監督を探していたメイサムは父親を見つけて一緒に歩いていく姿を見せて、映画が終わった。勝手に解釈しているが、この意味は、宗教に対して全く意見の違う二人が一つになっていく意味だろう。メイサムは2度も父親を探すが、これは何か我々の人生に求めているものがあるのではないかと暗示していると思う。

バハイは信者曰く、ジェンダーにも人種にもとらわれず、すべての宗教は一つのものと考えられると。

監督はそれぞれ違う宗教があって、それで、戦争になるなら、宗教はない方がいい。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
Socialjustice
関連DVD・ブルーレイ情報をもっと見る