ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー : 映画評論・批評
2014年9月9日更新
2014年9月13日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー
異星人だらけのスペースオペラなのに「オレたちの!」と共感できる胸アツ映画
とんでもなく高いハードルを、ヒョヒョイと越えてしまった映画である。「アベンジャーズ」に集約されるマーベルヒーローもののひとつで、宇宙のならず者たちが、ひょんなことから銀河を救う英雄チームとして大奮闘する物語。実は最初に聞いた時点から、針の穴にラクダを通すくらい難しいんじゃないのと心配になる企画でもあった。
難しさの主因は「地球とほとんど関係がない」ことに尽きる。異星人たちが繰り広げるスペースオペラで、われわれと同じ“人類”は主人公のスターロードしか出てこない。つまり緑色だの青色だの樹木型宇宙人だの、異形のキャラばっかりで一般の観客が世界観に入り込む入口が見つけづらいのだ。こういう類の稀有な成功例に「アバター」があるが、要するにSFファンタジーというマニアックなジャンル。しかもわれらがジェームズ・ガンは、180億円の超メジャー大作として作らねばならなかったのだ!
しかしガン監督は、数々の胸が熱くなる離れ業をやってのけた。例えば音楽。主人公のスターロードは幼い頃に宇宙人にさらわれ、故郷である地球を知らずに生きてきた。そんな彼が大切にしているのが母親が作ってくれたミックステープとカセットウォークマン。ランナウェイズからジャクソン5まで、70年代を中心にした選曲のほのかなノスタルジーと痛快なノリが、遠い銀河とわれわれを一気に繋いでくれるのだ。
数ある離れ業をいちいち解説するのは無粋だし、文字数も足りないが、とにかくこの映画を観た人は、誰もが「これはオレたちの映画だ!」と感じるはず。なんだかんだで予定調和的ハッピーエンドが待っていると百も承知の娯楽大作で、「オレの」を飛び越えて「オレたちの!」と信じさせてくれる共感パワーは尋常ではない。
なんでも74歳のアル・パチーノ御大まで、息子に誘われて気が進まないまま観に行き、「すげえよかった! マーベルからオファーされたらオレも出る!」と言ってしまったとか。つまり「オレたち」の中にはパチーノ翁まで含まれているわけで、この「銀河の守護者たち」という大層なネーミングのハミ出し者集団に、ぜひアナタも仲間入りしていただきたい。
(村山章)