キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー : 映画評論・批評
2014年4月8日更新
2014年4月19日よりTOHOシネマズ日本橋ほかにてロードショー
人間に本来備わる力のヒーロー、キャプテン・アメリカが本領を発揮!
速い! 強い! キャプテン・アメリカがついにその真髄を見せてくれる。「アベンジャーズ」ではなんだか堅物で、「マイティ・ソー ダーク・ワールド」ではロキのジョークのネタにされてたこのヒーローには、実は他のアメコミヒーローにはない魅力がある。
それは彼が、普通の人間が本来持っている力から生じたヒーロー、人間性の肯定から生まれたヒーローだという点だ。彼は天才でも超能力者でもなく、彼の力は宇宙や異世界から来た特殊なものではない。ただ速く走り、高く跳び、素早く動き、強く打つ。そして、友を、愛する人を、熱く思う。そんな人間の基本的な力が増幅されるだけで、どれだけ偉業が成し遂げられることか。本作は、このヒーローのそんな真髄だけを、冒頭から徹底して描く。さらに今回は死んだはずの親友との驚愕の再会により、主人公の友情が試されるという熱いドラマも展開する。
また、このヒーローはアメリカという国名を背負っているので、うかつに敵を設定すると批判を浴びやすいのが難点だが、今回のドラマはその点もクリア。彼の敵は国の外ではなく、国の内部、それも彼自身が所属する組織の内部にいるので、アメリカという名が気にならない。ばかりか、アメリカ自身によるアメリカ批判の物語にも見えるのだ。
ちなみにスカーレット・ヨハンソン演じるブラック・ウィドウは、無敵のカッコよさで大活躍。彼女にそんなことされたら普通の男子の反応はそうじゃないだろ、と主人公にツッコミたくなるシーンも満載だ。
(平沢薫)