ノルウェーに伝わる妖精、"フルドラ"をモチーフにした作品。トロールにしろノルウェーはファンタジックなキャラクターが居て面白い国である。日本で言う特殊清掃を生業とする男2人がメインの登場人物だが、獣に八つ裂きにされた老人の遺体処理をしていた所、地下に秘密の部屋があり、そこに居たのはタイトル通り"尻尾のある美女"である。言葉ではコミュニケーションが取れない反面、触れると思いが伝わるというまさに妖精のそれと言える能力を持っていた。
何だろう、しっぽのある美女なんて企画モノが好きな男性諸君にはウケそうだが、本作では彼女を"性"として描いていない為、全編ヌードでも一切"モノ"は映らない為そちらを期待してはいけない。だが、本作が言わんとしている事もイマイチ分からず、エンドロール込みで70分弱という本編では語り切れていない気がしてならない。
主人公2人はそれぞれ問題を抱えており、意外な形で終盤でそれらが絡むのだが、我々日本人には馴染みのないフルドラという妖精の力なのか、それとも心優しい人間には必ず救いがやって来るというメッセージなのかは微妙な所だ。そこまで深く考えなくても良いだろうが、正直こちらが期待したのは、一見か弱そうな全裸尻尾の美女が助けてくれた男2人を尻目にか弱い女の子を狙うアホな男どもを血祭りにあげる様だったが、そういうホラー的展開は少ししかない為、本作をホラーと取るかファンタジーと取るかの判断が微妙である。冒頭から遺体を見てゲロを吐いているシーンであり、途中にも嘔吐シーンがあるなど、微妙な不快感もあるがそれらシーンも正直要らないと言えば要らない。
フルドラ役の女優が何とも言えぬ体型なのはツボだが、もう少し妖精感も欲しかった気持ちもある。
ギレルモ・デル・トロ監督はこう言うの上手そうだが、彼の作品みたいに強いメッセージ性でも無いと中々しっくり来ないテーマである事が良く分かった。