ゼロ・ダーク・サーティのレビュー・感想・評価
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当時はノンフィクション‼️❓現時点では限りなくフィクション‼️❓
製作時に観た時には、とんでもないリアルに驚愕し感嘆したものだ。
製作者もレアリティに自信があるのだろうが、アカデミー賞音響以外受賞しない、誰も真違がわからないから。
徐々におかしいところが明確化してきたが、映画の品質を貶めるものでは無い、それが情報や報道の限界であることを突きつけられているのだ。
さて、現在のロシアのことを知るものは皆無のはずなのに、知るかのように報道している全てはガセであることがわかる見本なのだ。
ビンラデインを育てたのは米であり、突き詰めればテロの責任の多くは米にある、抽象では無く具現として。
歴史的にガセを真実として信じさせられてきた世界の人々がいたことを、思い知らされた、恐ろしき歴史と未来を痛感させられる記念碑となる映画なのだ🎞🎟!
7年間の執拗な追跡
総合:80点 ( ストーリー:80点|キャスト:75点|演出:75点|ビジュアル:75点|音楽:65点 )
CIA分析官の若い女性が任務のためパキスタンに渡り、治安の問題から殆ど外出も出来ない環境で、命の危険を感じながら数年間を諜報のために費やす。実際に仲間を失い自らも襲われる。関係者から聞き取り調査をして書き上げた脚本は、CIAの任務の実態が見えて非常に興味をそそったし、その表現はなかなかに良く出来ていた。映画なので物語の内容の全てが正しいわけではないだろうが、質が高く上手い。緊張感もあり精神的に疲労困憊していく演出も良かった。『ハートロッカー』で見せたキャスリーン・ビグロー監督の手腕がここでもよく発揮されていた。
こういう題材だから一部の視聴者からは政治的な作品だと思われるのは仕方がないが、私としては知的好奇心をそそり緊迫感があり映画として十分に面白かった。アメリカの情報収集能力をはじめとする総合力の高さを見せられた。自分がCIAの監視対象になるほど大物でなくて良かった。今日も普通に電話も情報通信もできる。
拷問の場面は自国の恥を晒すことになるにも関わらず、堂々と取り入れていたのは良かった。それでも実際の拷問はもっときつかったのだろうと予想する。
目標の側近の医師を味方に引き入れようとして逆に自爆されて多数のCIA要員が失われる話は、以前に他の記録映像で見たことがある。その場面は重々しかったが、その実話がここに繋がっていてこういう背景だったのかというのがわかったのは興味深いし理解が深まった。
私が読んだ報道の記事では、ビンラディンに対する襲撃は絶対に情報が流出しないように秘密裡に行われ、任務にあたるシールズの兵士にさえも誰を襲撃するかを事前に知らせず、攻撃に向かう回転翼機の中で初めて目標がビンラディンと明かされたとなっていた。実際に襲撃前に情報を多くの人に共有していたら情報漏洩の危険が高まるので、恐らくはこの記事のほうが映画よりも正しいのだと思う。
また現実では襲撃は大統領がどうせ人違いだろうと半信半疑ながら許可したという話を聞いたが、映画の中ではCIAと軍隊は出てきても政治家がさっぱり出てこないのは何の意図だろうかと勘繰った。
主人公マヤは最後に高卒だと言っていたが、『レッドオクトーバーを追え』をはじめとするトムクランシー作品の主人公でCIA分析官ジャックライアンは博士だし、自分はCIAの分析官といえば少なくとも大卒だと勝手に思い込んでいた。高卒で入れるのかな。
最後の襲撃の場面は、実際の現場がいかに暗い中で行われたかを強調しようと他のだろうが、やたらと真っ暗で何が起きているのか解り辛い。兵士は暗視装置をつけていてその視線で撮影された場面もあるわけだし、ずっと真っ暗のまま音だけ聞こえているのは映画としてはいただけない。
啓蒙から憎悪へと変化する米国社会の空気
2001.9.11同時多発テロ後の米国によるアルカイダ報復は、2011年のビンラディン殺害まで執念深く続けられるのだが、その中心を担ったのがCIAだった。
2012年の本作と、2019年の「ザ・レポート」の2作は、このCIA活動を表と裏の両面から描いていて、何とも興味深かった。
殺害の翌年、アカデミー監督ビグローの撮った本作は、ビンラディンの所在地を突き止めようとするCIA、特に女性エージェントの活躍に的を絞り、冒頭でアルカイダ構成員に対する拷問を延々と描き、ビンラディン殺害シーンで幕を閉じる。前作「ハートロッカー」と同様、この作品も観衆から大きな支持を得て、アカデミーはじめ主要映画賞に多数ノミネートされ、そのいくつかを受賞したのである。
それから7年後、今度はCIAの拷問を摘発する「ザ・レポート」が公開された。こちらはCIAが世界を股にかけて、秘密施設でアルカイダ構成員を全裸で監禁、水責め、直腸に水分注入など、かなりエグい方法で拷問したことを摘発する上院情報特別委員会スタッフの活躍を描いている。
「ゼロ~」とはまさにコインの表と裏の関係だ。この作品も高い評価を得はしたが、「ゼロ~」ほどではなかった。映画賞も受賞することはなかった。
2作品とその評価を見ると、同時多発テロ以後の米国の雰囲気が、かつての外部世界に対する人道的啓蒙的なもの重視から、外部の敵に対する憎悪に変容してきたことをひしひしと感じさせられる。
チャステインが見たくて。 ハートロッカーの監督だけあって、緊張...
突撃 浅間山荘
単純に観れば女性ヒーローモノ、格好良い。
終わりの様で終わらない戦い…
現実の皮肉さには勝てない
Amazonプライムで鑑賞。
脚本開発中にビンラディンが暗殺され、止むを得ずその要素を入れざる得なくなったという、数奇な作品。
現場のCIA職員、ジェシカ・チャスティンが執念でビンラディンを追跡し、仕留める。
まあ実際に仕留めるのは米軍海兵隊なので主人公の出る幕はなく、その間は怪獣映画なみに蚊帳の外なんだけど、キャスリン・ビグローの無駄にリアルなミリタリー演出でついそれを忘れるっていう。
もしこれが空振りだったら180度違う結末になっていたわけで、現実に負けたとも言える。
対テロ戦争の終わりなき泥沼、というネタから行けば歴史改変しても良かった気もしますが、そうなったらアメリカ国内では公開できないだろうなあ。。
とはいえ捕虜の尋問(実質は拷問)の場面とか、突入時のビンラディンの家族とか、後味の良いものではないけど、オチがオチだけに愛国的なプロパガンダと言われても仕方ない面もあり、その意味でもモヤモヤ不可避。
個人的には捕虜の尋問について「違法なことはしていない」と答えるオバマを疲弊しきった主人公がTVで見る場面こそこの作品のハイライトだと思った。
冒頭、911を再現した助けを求める女性の声が流れるので、どこかで主人公がその声の主であると明かす場面がくるだろうと待っていたけど、ついになかった。ただの私怨だと強調すればまだプロパガンダ味が薄まったのに。
成り立ち上、無邪気なジャンルものに着地できず現実の戦争に直結してしまうところがこの映画の悲劇かも。
突入の場面、既視感を感じて思いついたのは「忠臣蔵」の討ち入りだった。
仇討ち、隠密作戦、敵の居所がわからない、多勢に無勢、討ち果たせば報われる、とか。
ただ、時代背景や相互の戦力差など前提となる要素が違いすぎて、ジャンルのパワーで否応なしに一定量アガるぶんだけ後ろめたさも倍増するという「アメリカン・スナイパー」と同じ陥穽にハマってしまう(あっちは西部劇だけど)。
暗殺成功に対するアメリカ市民の反応は「ニュースルーム」シーズン1の7話から想像できる。
911自体は確かにこれ以上ない悪意に満ちた惨劇だけど、これまでの加害を度外視して被害ばかり訴えるさまは滑稽でもある。死者の数で比べるのも無神経だが、それでも911の犠牲者は3000人弱。つい、これまでアメリカの戦争で死んだ一般市民の数はどのくらいだろうとか考えてしまう。
もちろんこんな話はアメリカではタブーなんだろうし、日本いうなら広島や長崎の原爆投下に置き換えられるだろう。
結局はどこまでが味方で敵かの線を引くかの綱引きに過ぎず、テロリストや国防関係者というほんの一握りの動向にその他大勢の市民が巻き込まれ、下手すると人生そのものを破壊されたりするという無残な構図そのものは、主人公がどんなに苦闘しようが変えられない。
そして敵を野蛮なテロリストとして遇すると、自動的に同じ野蛮さに落ちてしまう罠。あるいはすでに落ちていたことに気づかない罠。
現実が悲惨なぶん、カバーするためのまやかしやフィクションが入り込んでくる。なんだか「マトリックス」を地でいくような話。
「偉大な国」に危害を加える敵がおり、それを殺せば平穏が戻ってくるという大がかりなアメリカ的ストーリーを完遂したのは、民主党出身でノーベル平和賞受賞、リベラルの権化のような初の黒人大統領でしたとさ。めでたし。
繰り返す
主人公のイライラ演技が凄かったですね~。
上司に対して日本では絶対にあり得ないなぁ~。
とアメリカの自由を感じてました。
ラストは突入部隊になった様にドキドキ、息をのみました。
どっちの立場でも家族や友人が殺されたら復讐したいと思う。
永遠に終わらない。
あの子供たちが復讐しない為にも平和的な解決が出来ればいいのにね。
まだ平和ではない今の世界。
平和になればいいな。と願いながら✨
なんとも後味の悪いことで。
ビンラディンを暗殺したCIAの例の事件の映画化です。
CIA側の登場人物の造形はフィクションだということですが、それでもCIAの全面的な協力を得て、つまりCIAが「9.11の仇を討った作戦」を顕彰したいという思いによって作られた映画でしょう。
アメリカ側が捕虜を拷問するシーンのエグいこと。
ぜんぜん自分たちアメリカ側を正当化しない映像は、「リアルな世の中というのはこういうものなんだぜ」という製作者たちの強烈な主張を感じさせられます。
スカッとする、というシーンがまるでありませんが、そういうのを観たいのなら007でもバットマンでも観てれば良いわけで、現実とは何かについて深く考えるための、良い材料だと思いました。
エグすぎる現実を直視することが苦手な人には絶対にお勧めできません。
「朝日新聞+日教組」的なお花畑型平和主義が唯一だと思っている人は、この映画を観ないほうが幸せな人生を送れることを保証します。
どこまでが真実か・・
終始緊迫感溢れる展開
ビンラディンを殺害に向け、彼とつながりがあると思われる、アブアフメドという人物を執念で見つけ出す。
そこまでの過程で水責めといったCIAの非情な拷問シーンが見られる。結果的に、拷問によって有力な情報が得られたが、科学的な根拠はない方法を使っていた、関係のない人にも拷問をしていたということも頭に入れなくてはならないし、実際はもっと残酷で詳しくはザ・レポートを見るといいかも。
世間に拷問の事実がばれた後も、拷問できないから情報得られないみたいなこと言ってたが、正しい行為という認識だったのかな。
隠れ家への潜入シーンは緊張感が凄かったし、リアルなのかな。
登場人物の心情面、人となりはあまり描かれず、作戦の様子をメインに描いている気がした。
なので表情を読み取ったり、シーンをよく読み取らないとなと思った。マヤのパソコン画面が亡くなった同僚ジェシカとの2ショット写真だったのが切なかった。
ビンラディンを殺害し作戦が成功したが、マヤの表情は晴れやかではなく、涙を流した。
ジェシカは帰ってこない。武力で倒したところで次のビンラディンが出てくるだろうという絶望感からか…
ゆく道先が困難なこと
相手側に立って考えてみる想像力の欠如。
ラストの隠れ家にて目の前で両親を惨殺された子供達はどう思うか。何世代にも渡り何万人と語り継がれてアメリカを憎むだろう。戦争に正義も悪もない。ナチスヒトラーだって正義だと信じてあれだけのことをした。9.11テロの首謀者達だって正義だと信じておこなった。戦争に良いも悪いもない、ただ憎しみと暴力の連鎖が続くだけ。アメリカは先住民を皆殺しにした建国以来、自分たちの正義を信じて、世界中で多くの人を殺してきた。世界大戦、ベトナム戦争、朝鮮戦争、湾岸戦争。一般市民への無差別殺戮である原爆投下。アメリカ軍は最近でもイランのソレイマニ司令官を爆殺した。イラン国民においてソレイマニ司令官は、かつてのキューバにおけるゲバラのような英雄だという。そうされた国民はどう思うだろう。何世代にも渡って親から子へ、子から孫へ、悪の帝国アメリカに一矢報いることを誓い合うだろう。貧しい国の唯一の戦いの方法であるテロで。いくら報復合戦をしても終わりは無い。武力で平和は訪れない。アメリカは自分たちの正義を絶対として、それ以外の人々の気持ちを考えない。アメリカは今後、何百年経ってもテロの標的になり続けるだろう。日本は、いつまでもそんな国の言いなりになって子分でいてはいけない。
長いプロセス
Zero Dark Thirtyは2011年5月2日0時30分に決行されたビン・ラディン隠れ家襲撃作戦(ネプチューン・スピア:海神の槍作戦 )の時刻だろう。2001年の9.11から実に10年の月日が経っていた。CIAの趨勢としてテロの未然防止が主眼でありビン・ラディン捜索は半ばあきらめていたのだろう。
今やビン・ラディン暗殺は衆知の事実、殺害がCNNで伝わるとワールド・トレードセンター跡地には数千の群衆が集まり歓声を上げたらしい。結末が分かっているのだからプロセスを描くしかないのは分かるが2時間半は長すぎる、CIA内部の硬直性、拷問シーンといい襲撃での家人殺害など批判覚悟の問題提起で復讐劇の美化にならないようにしているのもキャスリン・ビグローらしい。映画では描かれなかったが予防接種と偽って屋敷に入ったことから予防接種の慈善団体関係者が襲撃事件後に過激派に殺されたらしい。
最後のマヤ(ジェシカ・チャステイン)の表情が暗くみえたのは象徴的だった。
脚本のマーク・ボールは襲撃作戦の実行部隊の表彰式に潜り込んだり、関係者への隠密取材でプロットを書いたらしい、ビン・ラディンのインタビューを制作したCNNのピーター・ベルゲンも監修として参加したらしいがどこまで真実か、一説にはビン・ラディンはパキスタン政府に軟禁されていて情報部の元高官(ウスマン・ハリッド准将)がCIAに売ったらしい、いずれにしても50年後の機密文書公開まで謎のままである。
悲しいかな首謀者を消して面子は立ったろうがテロは無くならない、生き延びた息子は後を継いで過激派を率いていたがトランプ大統領は2019年9月14日ビン・ラディンの息子ハムザをテロ掃討作戦で殺害したと発表した、負の連鎖は絶たれたのだろうか・・。
ビン・ラディンが潜んでいた豪邸をネイビー・シールズが襲撃するシーンの緊迫感、リアル感に戦慄した作品。
序盤、CIA局員に扮するジェイソン・クラークがタリバン戦士を水攻めにする拷問シーンで、キャスリン・ビグロー監督が腹を括ってこの作品を作ろうとした想いが伝わる。(何故なら、あのシーンはジュネーブ第3条約遵守に抵触するであろうから。そしてそれはアメリカの3.11に対する報復の思いの強さを描いているから)そして、拷問する側の精神が壊れる様もビグローはきちんと描き出す。
CIA女性分析官マヤを演じるジェシカ・チャスティンの冷徹な表情と、上司に対しても物おじせず、言動で上層部の動きの遅さを表現する姿を観て、ジェシカ・チャスティンの凄さを知った。同僚が自爆テロに巻き込まれる辛い経験をしながら、”砂漠の中の石を探し出す”と言われていたビン・ラディン捜索を執拗に続けるマヤ。
ついに、ビン・ラディンが潜んでいると思われる邸宅を突き止める所から物語の加速度は増す。信頼出来るのかと問いただす上層部とのやりとり。60%と答える上官たちに対し、”100%確実”と決然と言い切るマヤ。
そして、ステルス型ブラックホークプリンス2機がネイビーシールズの精鋭部隊を乗せ邸宅へ静かに向かう。緊張感Maxである。
邸宅侵入後の映像が凄い。仄かな光でも撮影できるデジタル・カメラに暗視用レンズを装着した映像の中で繰り広げられる光景。秒単位で進行し、仕留め
撤退する精鋭部隊。凄すぎる映像である。
シールズ隊員を演じたジョエル・エドガートン出世作でもあるし、矢張りジェシカ・チャスティンの役者としての凄さが全世界に知れ渡った作品であろう。必見である。
<2013年2月15日 劇場にて鑑賞>
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