劇場公開日 2013年9月7日

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共喰いのレビュー・感想・評価

全45件中、1~20件目を表示

4.0青山真治の神話

2024年11月15日
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私はこの物語を現実的な物語として味わわなかった。リアルではなく神話の登場人物のように、それぞれのエッセンスを味わうと、もう、唸るしかない。

仁子、琴子、千種のそれぞれの多重的で自立した豊かな人間性に対して、円は精神的にも肉体的にもあまりにもみすぼらしい。

女を欲望のはけ口としてしか見ない粗暴な性癖の円は、女を殴らなければ男になれない。琴子から抜き出した鰻のようなペニスが、脆弱な男性性とみすぼらしい肉体を十全に強調していた。

そして全てを目撃している遠馬。鰻釣りの成功と、琴子の妊娠がトリガーになり、ついに父と同じ性癖が発動しかける。この辺の演出が秀逸。
遠馬に首を絞めかけられた千種は、当然遠馬を拒絶するようになる。

そんな強くて正しい千種が、父に犯されたとなれば、〝父殺し〟は遠馬の使命のはずだ。ところが、全てに落とし前を付けたのは遠馬ではなく、母の凄みだった。

そろそろ用済みになった仁子の義手は、かつての二人の性関係の象徴。片手のない自分を女として扱った男への愛と憎しみ。

仁子のお決まり文句「あの男の血を継ぐのはアンタひとりでよか」という残酷なセリフも、裏返せば、「女の悦びの中でできた私の一粒種」というふうにも思えてくる。有り得ないようだが、消え入りそうなわずかな感覚の糸を捕らまえながら語るのは田中裕子の十八番。

で、終盤。最古の血縁家族、天皇家を持ってきた。天皇には出て行く場所が無い。日本全体を覆う家族の呪縛感に気が滅入るわけだか、意外なことにラストは明るかった。

昭和の神話の主人公ならどこか新天地を目指して旅立つだろうが、平成の遠馬はこの地に居続ける。そして自らの手を縛り上げ、千種と二人で新たな快楽の世界を作り上げるのだ。あっけらかんとした楽観的なラストに新しい時代を見た。

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Raspberry

4.5文学という難問

2024年6月21日
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鑑賞方法:VOD

芥川賞の小説を映画化した作品のようだ。
エンドロールの最後に「in memory of my mother」とあるので、作家自身が見た母の記憶がベースだと思われる。
それが昭和という時代の終わりであり、暴力の終わりと性というものがどこか汚いものだと思われた時代の終わりを、この作品に託すようにしているのかもしれない。
女性に手を挙げる男は今でも一定数いると思われるが、少なくともそれが日常ではなく、また家族の間でも暴力は犯罪として認知されるようになった。
女を渡り歩くことが「男の甲斐性」などと言われた時代でも、女たちは我慢するしかなかったのだろう。
仁子の後悔は、夫を刺し殺そうと思ってできなかった事だった。代わりにしたのが第二子を中絶したことだった。
主人公のトウマは、そんな話を別居して魚屋を営む母から度々聞かされていた。
高校生のトウマは性の目覚めと同時に父という暴力的人物を重ねないわけにはいかず、その父の子だということに汚い血の流れのようなものを感じている。
この汚いという概念もこの作品のテーマの一つだと思われる。汚い精液 ごみが散乱する川 その中で生活する魚介も汚い
だからウナギを釣っても食べるのは父だけ。うなぎの肝をうまそうに食べる。
トウマも父が1年前に自宅に連れ込んだ琴子も、ウナギを食べようとしない。
トウマにとってウナギは性器に見える。二重に汚いもの。
でも性欲は止められない。社の倉庫に千草を連れ込むのが日常化している。
トウマの性欲と父の息子という認識は、父と同じ暴力へと向かう。この二つはひとつとなりトウマを苦しめる。
特に母が二人目を中絶したことを想像すると、トウマはどうしても自分が汚いものだと思ってしまう。
決定的だったのが父による千草へのレイプだった。
「社で待っているから」と言った千草を無視したこと、父にベランダの女とヤッたことと彼女に暴力を振るったこと、そしてそれを父が「よし」と認めたことに腹の虫がおさまらなくなったことで思わず「琴子さんはもう帰ってこない」と口走ったことで雨の中を飛び出した父が社の前で千草を見たことで起きた事件だった。
そのすべてはトウマに原因があった。
傷ついた千草を抱えるようにして魚屋に行くと、母はすべてを察知し包丁を持って出ていった。
母は、自身の後悔がこの事件を起こしたと認識したのだ。
しかし、父は生きながらえた。
刑務所の面会を終えたトウマは琴子を訪ねた。
琴子は性に目覚めたトウマを知っていた。
「したかったから来たんでしょ」
琴子はそう言ったが、実際トウマは生まれてくる父の子を殺しに来たと思われる。それほど父が憎かったのだ。自分が成すべきことを母が代わりにしたことで刑務所送りになったことの責任を取ろうとしたのだ。
幸い生まれてくる子は全然別の男との子供だった。彼女は暴力が怖かったから妊娠したのだ。誰の子でもよかったのだろう。
魚屋の自宅に戻ると、千草が仕事をしていた。
トウマはどうしても性欲と父とを切りはなせない。したいのと同時に首を絞めたくなる衝動に駆られる。
千草は「その手は私に暴力をふるうためにあるの? 優しくするためにあるんじゃないの?」
そう言ってトウマの両手を縛りSexをする。
女性が男を縛り上げる。
昭和が終わり新しい時代が来たのだ。
二人はそうして生きていくのだろう。
新しい時代は、女性が男性を矯正する世の中になるのかもしれないと、作家は考えたのだろう。
2013年の作品 よくまとまっていて面白いが、タイトルを「共喰い」としたのはなぜだろう?
実際にウナギも共喰いし、千草も琴子もベランダの女もそうだった。
それは時代を表しているのか、それともウナギも人間も同じだと言いたいのか?
インパクトのあるタイトルにしたかったのか、またはウナギと父を括りたかったのだろうか?
そこだけが理解できなかった。

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R41

4.0この話の鍵は昭和64年が直ぐに終わってしまった事。

2024年5月13日
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マサシ

4.0再見(2023/10/26)★★★☆☆⇒★★★★☆

2023年11月8日
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鑑賞方法:映画館

U-NEXT。この映画、原作を読んで臨んだが原作を超えてきた点と時が経てば経つほど、心にしみわたる映像が印象的だ。そしてこれが青山真治を知った最初の作品。しかも原作と異なり舞台は北九州であった・・・。北九と下関、関門海峡を挟んだこの二つの都市の持つ印象はかなり異なるものではあるが、見事にセルフストーリーの表現手段として原作を乗り越えた青山の手腕に脱帽である。

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mark108hello

2.0演者が

2021年3月29日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

話の内容はただただ不快だったけど、演者が素晴らしかった。
田中裕子はもちろん、光石研はいつもクズ親父が上手いなぁ。まだあどけなさが残る菅田将暉も難しい役を演じきれてた。

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moonmoon

3.0バカポンパパ

2020年12月19日
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傍迷惑なド変態親父がそれを当初は許し受入れた変態揃いの老若女に犯り倒されるお話。
粗野だが子は叩かず祭り好き釣り好き、ドS性癖以外に問題無い愛すべきバカボンパパを演る光石研。
赤ちゃんプレイ愛好家でリブートを。
変態父子vs変態女軍団なロマンポルノ。

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きねまっきい

3.0母さん、なんで僕を生んだのですか? あの男の血をひく僕を――。

2020年4月26日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

2019年9月7日

共喰い 鑑賞

母さん、なんで僕を生んだのですか?
あの男の血をひく僕を――。

原作は芥川賞受賞時に読んだのですが、あの閉塞感とか荒涼感とかがよく描かれていた。メインキャストの4人が皆良かったのも要因ではないかな!
#菅田将暉#光石研#田中裕子#篠原ゆき子#田中慎弥

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とし

0.5嫌な感じしかありません

2019年10月16日
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そもそも、セックスの時に暴力を振るわないと満足できないとか、暴力を嗜好とする人が理解できないし、理解しようとも思いません。

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アサシンⅡ

2.0ゲスい

2019年10月9日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

スマホやゲームの無い時代の娯楽は、セックスが主だったのかもしれないですが、父親はゲスすぎです。ロマンポルノ風とのことでしたが、女性からすると、殴るとかレイプとかちょっと無いなあと思いました。

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ミカ

3.0変態父さんと普通な息子

2019年8月26日
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鑑賞方法:DVD/BD

いい意味で昭和臭い映画。雰囲気は好き。
ただ期待していたよりは内容はマイルド。
父親はもっとヒドイかと思ってました。
でもここまで性欲に無差別なのも充分ヒドイのだが。
暴力が前面に出てるかと思ったら、ど変態なだけでした。
息子はもっと童貞感満載かと思ってました。
彼女との営みに満足してないが故の苦悩と、
思春期男子特有の無尽蔵の性欲からの無差別性欲の所為で、
悶々としている半リア充な高校生でした。

息子の性欲は普通(か?)かもしれないが、
それが発端になった父親への憤りは、父親の変態のなせる技。
こんな父親は見た事無いし、
思春期の行き場の無い性欲を下水に流すしかなかった自分には、
全く共感は無い内容でした。逆に共感できる人が羨ましいくらい。

異次元のゲテモノを見る感覚でしたが、
そこまでゲテモノでも無い。
一番の異次元生物は、この中の実の母親かもしれない。
田中裕子はそのくらい異次元でした。

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クリストフ

4.0原作も良いが、映画も血と性とのどうしようの無さを上手く捉えていたと...

2019年6月8日
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原作も良いが、映画も血と性とのどうしようの無さを上手く捉えていたと思う。相変わらず田中裕子は凄い。

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もーさん

3.5かなり良かったなあ。 まず見やすい。 いい意味で昭和っぽさを感じる...

2019年5月31日
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鑑賞方法:DVD/BD

かなり良かったなあ。
まず見やすい。
いい意味で昭和っぽさを感じる。
BGMでごまかしたり無理に雰囲気作ったりもしていない。
菅田も初々しさがあって、それが役とよく合ってると思うし。

親子だから性癖が似たというか、意識しすぎて逆にそうなってしまってる感じもある。
そうした方がいいのかなとか、父みたいには絶対にならないと思う反面、父のようにしたらどうなってしまうんだろうという恐怖や好奇心もあったんじゃないかと。
結局やっぱり血は争えず。
母が父を捜しに行ったけど、どうせ返り討ちにあうかやれずに終わりだろうと思ってたらまさかのすんなり。
気持ちはスッとしたけど本当にやってしまってその後の展開がどうなるのか想像できなかった。
母は父を見捨てたけど千草は菅田を見捨てず多少強引なやり方で解決し、それはそれで良かったと思う。
住んでる田舎の風景も良い風景だったな。
面白かった。

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かぼはる

4.5【青山真治監督×荒井晴彦脚本のダーク極まりない世界観が衝撃的。菅田将暉の衝撃の本格デビュー作でもある。】

2019年5月19日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

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NOBU

1.0気分が悪い映画

2019年4月2日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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さな

4.0惹きつけられる

2019年3月5日
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昭和63年 山口県の冴えない街が舞台

右手の先を失くしながらも魚屋を営む仁子と
別居している息子と、DV夫

映像には、性や魚の生臭さや、雨や川でジメジメとした街の空気まで伝わってきます。
ほとんど5人の人間しか出てこず、狭い場所で繰り広げられる話ですが血筋を呪いながらも反発も出来ずにその父親に似て来ている自分に苦しむ姿も良い。
琴子も千種も昭和の女の水っぽさとエロがきちんとでてます。

光石研、田中裕子は流石の演技力
今をときめく菅田将暉も初々しさもありながら堂々とした演技はさすが。

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猫柴

2.0欲望まみれの最低な話

2018年10月3日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

映像も音も質は良かったけれど、如何せん、放し飼い欲望まみれの最低最悪だったので、正直かなり引いた。
設定が昭和で、映像そのものは完全に平成の雰囲気だったところと、それほど合っているとは思えなかったクラシックギター音楽の多用が不満。
唯一、田中裕子の役回りがオアシスで、酷さの中の救いだった。
何気にイメージ的なエンドクレジット一番良かったかもしれない、個人的には─。

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SH

3.5ハードな内容だった。 この若さでとても難しい役をこなす菅田将暉のす...

2018年8月25日
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ハードな内容だった。
この若さでとても難しい役をこなす菅田将暉のすごさ。篠原ゆきこも木下美咲もとても良かった。話しは別としてリアル感すごい。

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collectible

2.0時代?

2017年10月13日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

寝られる

なんでそんな当たり前みたいに女の人が物扱いなのか。ついてけない。
原作を読まないとダメかも。

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スベスベマンジュウガニ

2.0結局伝えたいものは何だろうか

2017年8月29日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

結局伝えたいものは何だろうか

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りおなるど

3.5つらい

2017年6月13日
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気分のいい映画ではないし直視できない面もありました。なにが正しいのかはそれぞれの判断なのだと。身近には感じにくい設定でしたがいろいろと感じることがありました。今の菅田将暉さんの演技の原点といっても過言ではない程、繊細な演技を魅せてくれています。

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しえこ