「爽快感に違和感。」キャリー ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
爽快感に違和感。
ホラー映画は大の苦手、とする私ですらキャリーは何度も観た。
何たってデ・パルマ大先生の出世作、画面効果は今観てもステキ。
当時27歳のS・スペイセクの好演からして、彼女を見る度にキャリー
しか思い浮かばないほど(実際は他の作品でアカデミー賞を受賞)
なんて幸薄い顔立ちなんだろう(ゴメンなさい)と思っていたものだ。
そ・れ・を!?あのヒットガールの、クロエが演じるとは。
成長してムチムチと脂肪豊かなオンナ体型に近づいているクロエは
どう見ても幸薄い、胸もお尻もペッタンコの初潮も知らない女の子
には…見えやしないんだな、これがまた^^;
ましてや、いじめられっ子?という雰囲気でもまったくない。
演技は巧いので、それなりにキャリーに成り切ってはいるんだけど、
あまりに堂々として(むしろ)念動力を楽しんで使っている様子など
見るにつけ、ハッキリ言ってクリス役の方が良かったんじゃないか?
と思えるくらいド強かった^^;
し・か・し!?もっと怖いのはキャリーママ!!J・ムーア大健闘。
オリジナルのP・ローリーも物凄かったんだけど、ほぼ互角に怖い。
あんな母親じゃ、キャリーが可哀想…って、誰もが思ってしまう
狂信的迫力(もはや尋常とは思えない)バリバリの格別な存在感。
ドアを破ったらCGになってるんじゃないか?と期待してしまった。
さて、オリジナルでもハッキリと描かれないスーとトミーの思惑。
今作でも忠実に再現していたけれど、普通いくら懺悔の気持ちから
とはいえ、自分の彼氏をキャリーに譲っちゃいますか?という疑問。
(他に協力してくれる善良なイケメン男子はいなかったのか)
結局いたずらか?と思わせて、スーもトミーもいい人間だった、と
いうのが分かった時にはもう遅い!?キャリー発動!の展開にする
ための…なんだろうけど、クリスといい、どうもあの学校はおバカが
多い気がしてならない。あれじゃあ、キャリーだって先生だって
誤解するわな~。あてがう相手が間違ってるんだよ、スーちゃん。
自身の力に恐れ慄きながらも発動させてしまうオリジナルと比べ、
きたきた!コレもんだぜ!と使いまくるのが新生キャリー。
彼女が凄惨な殺人を犯す度に爽快感が湧いてしまうこの使い方には
どうも違和感を感じて仕方ないんだけど、
キャリーを観たことも聞いたこともない世代には、これでいいのか。
(何しろ最期まで報われない感が残る。そこは同じといえば同じねぇ)