許されざる者のレビュー・感想・評価
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李相日の粘り強い演出に瞠目した、晩秋の大雪山
クリント・イーストウッド監督・主演で第65回米アカデミー作品賞、監督賞ほか4部門を受賞した傑作西部劇「許されざる者」(1992)を、李相日監督のメガホンで日本映画としてリメイクした意欲作。
渡辺謙、柄本明、佐藤浩市、柳楽優弥、忽那汐里らが出演した今作の舞台は、江戸幕府崩壊後の明治初期。北海道開拓時代の歴史の中で、かつて「人斬り十兵衛」と恐れられていた男が、再び戦いに身を投じていく姿を描いている。
撮影が行われていた北海道・大雪山を訪れたのは2012年10月下旬。冬眠前のクマが活発化する時期だからと、首に鈴をつけて現場までの山を登った。コメントを取っては待機場所まで移動する…の繰り返しで、現場まで1日4往復したことが今は信じられない。夜になると雨、風が強くなり、傘など役に立たない。ダウンジャケットの下にノートとICレコーダーだけ忍ばせ、真っ暗でぬかるんだ山道を、同業他社の記者の背中を頼りにひたすら歩いた。
23時近く、到着を待ち構えていた渡辺謙がニヤリとして言い放った。
「いいかい、みんな、許されざる者っていうのは、こういう道しか歩くことが許されないんだよ」。
見事なまでの追体験。タイトルの意味を本当の意味で知った瞬間であった。
十兵衛の強さを見せるための壮大なフリ?
好きな監督が「許されざる者」を日本版として撮る
と言うのだから楽しみで仕方なかった。
元々は黒澤明監督の「用心棒」だから帰って来たと言う
感じだろうか?
とてもワクワクしてたのだけど、
結果としては物足りない感じがある。
ストーリーの展開としてはイーストウッド版とほぼ同じ
だと思うのだけど、
圧倒的にキャラが負けている気はしました。
柳楽優弥さんは魅力的なキャラで一番感情が分かりやすいのだけど、
主人公の十兵衛がよく分からない。
決断力の無さが
周りを窮地に陥れてる気がしてならなかった。
ジーンハックマンに対する佐藤浩一さんのキャラも
自分の中の正義はあるけど、
何がしたいのかはよく分からず
狂人にもなりきれない中途半端なボスという感じで、
話の途中からは、
なるほど十兵衛の強さを見せるための壮大なフリ映画なんだと思ってたら最後の戦いも、
こんな物かと言う印象だった。
ただ未開拓の北海道の寒々しく重たい空気感が漂ってて
演出自体はやっぱり好きだと思いました。
非常に上手い邦画化だけど勿体なさもある
イーストウッド監督の同名作をリメイクした作品。
上記に対して非常に敬意を感じる映画で、多少の変更はあるものの実に丁寧な、そして見事な邦画化だと思いました。
ただクライマックスはもっと激しさとカッコ良さが欲しかった。
ここまでドラマを盛り上げてラスト20分へと繋げたのだから。
ハリウッド版と同様に「人はどこまで許されるのか、一体誰が本当に許されない者なのか」というテーマを忠実に推し出してくれているので、ドラマは非常に面白い。
佐藤浩市のカリスマ性ある警官も見事。
なのでどうしても“堕ちすぎた”主役に目がいってしまう、少し勿体ない印象の映画でした。
三船・用心棒の様に、ぼろぼろになっても不死鳥のように息を吹き返し、 かって知ったる拳銃の腕前が蘇える。さあ、おたちあい。
『今度という今度は許せねー』
かっては泣く子も黙る殺し屋だったウイル・マニーは
二人の幼子を養う苦しい生活の中、
レディーを切り刻んだ男を殺る賞金稼ぎに踏み切るが、
不覚にも悪保安官につかまり
再起不能なほどいたぶられる。
1880年。赤々と空を染めるワイオミングの夕焼け。
11年前までは鉄道を爆破し、
女子供を殺すなんて朝飯前のだった悪ガキ・マニーは
クローディア・マニーと知り合って
ウイスキーと悪とは縁を切った田舎暮しをしていた。
3年前に最愛の妻に先立たれ、病気の豚を飼う生活は楽ではない。
銃も使えず馬にも乗れなくなってしまった初老のダメ男が、
子供のために金がほしいと賞金稼ぎに手を出したあげく、
僚友ネッドが悪徳保安官に陰湿なリンチで殺された上
道路にさらし者にされて怒りが爆発する。
絶っていたウイスキーを浴び、スコフィールド握って悪に立ち向った。
三船・用心棒の様に、ぼろぼろになっても不死鳥のように息を吹き返し、
かって知ったる拳銃の腕前が蘇える。さあ、おたちあい。
思いを遂げならず者の街を脱出する時の台詞がいい。
『撃つなら撃ってみろ。お前らの家族や子孫も、皆殺しにしてやるからな』
家で待つ子供のことを心配しながら、
一方で、どうなってもいいと投げやりになった殺し屋の顔が覗いて
悲しくて切ない西部劇だった。
神のいない日本という土地だからこそ
荒涼として、救いのまるで見当たらない枯れた土地の哀しさと虚しさと一抹の儚さ美しさを、これでもかと表現できたのが、この映画の最大の功績でしょう。
旧幕府軍の一員として多くの敵を斬った男。
もしも勝ちいくさだったなら大英雄として祭られていたはずの人斬り十兵衛ですが、新政府軍の追手を逃れ、すべてを捨て、酒も絶ち、悔悟の念とともに、若くして逝去した妻の思いを抱きながら、忘れ形見の子供二人とともに荒れ地に命を埋める覚悟を固めています。
そこにかつての戦友が現れ、それでも天国にいる亡き妻への操を貫き続ける主人公ですが、ついに最後の最後に亡き妻との誓いを破って濁り酒を口にし、封印していた人斬りを復活させてしまうのです。
その哀しさ。
子供たちの元に戻るのが十兵衛ではなく、アイヌの青年と、顔を切られた不幸な少女であることも、十兵衛自身は子供たちの前からも姿を消してしまうということにも、許されざる者というタイトルの業の深さなど、考えさせられる映画でした。
善とは何か。悪とは何か。
神のいないこの日本という土地でこそ、タイトルの「許されざる者」という言葉の意味が、深く深く観る側に問われるのです。
【黒沢明→クリント・イーストウッド→李相日】
- 名作のリメイクが難しいのは、映画好きなら皆知っている事。-
・クリント・イーストウッドは黒沢明の”用心棒”に感銘を受け、”荒野の用心棒”に出演し、”許されざる者”を監督・制作した。
・李相日監督の気概や、如何に・・・。
・伝説の殺し屋
ウィリアム・マニー(クリント・イーストウッド)→釜田十兵衛(渡辺謙)
・殺し屋の旧友
ネッド・ローガン(モーガン・フリーマン)→馬場金吾(柄本明)
・独裁的保安官→絶対的支配者
リトル・ビル・ダゲッド(ジーン・ハックマン)→大石一蔵(佐藤浩一)
・舞台は明治維新期の北海道
・美術(衣装、意匠)宜しい。
舞台設定も宜しい。
ー途中で気付く。ー
・李相日監督の今作は、92年の”許されざる者”に敬意を払いつつ、自らの”意思”を作品に込めているのである。
・俳優陣たちの酷寒の土地での奮闘ぶりが目に焼き付いた作品でもある。
<2013年9月27日 劇場にて鑑賞>
過去鑑賞作品
“ザ・渡辺謙”といった感じの作品でした。
渡辺謙さん、格好良かったですね。
評価が分かれている作品ですが、設定が北海道の開拓時代であったりして、日本人にはこちらの方が感情移入し易いかと思います。
ただ、オリジナル版にしてもそれまでの勧善懲悪だった西部劇をひっくり返すような作品で、これを日本を舞台にして(ラストを除いて)何故ここまで忠実にリメイクしたのかが理解出来なかったです。
でも、柄本明さんや佐藤浩市さん柳楽優弥さん等脇を固める役者さんたちも素晴らしく見応えのある一本ですので、観て損は無いと思います。
クリント・イーストウッド監督・主演で第65回米アカデミー作品賞、監...
クリント・イーストウッド監督・主演で第65回米アカデミー作品賞、監督賞ほか4部門を受賞した傑作西部劇「許されざる者」(1992)を、「フラガール」「悪人」の李相日監督のメガホンで日本映画としてリメイク。
本家から改変している箇所がけっこうあり、どれも良くない。 メインじ...
本家から改変している箇所がけっこうあり、どれも良くない。
メインじゃないけど柳楽優弥はかなりよかった。
ストーリー以外はつまらん
テンポが悪くて欠伸が出ます。全体的に無駄な台詞が多い。柄本明は声の出し方が妙に甲高く演技も評価できない。渡辺謙ははっきりしゃべったりぼそぼそ声だったりで一貫性が無い。佐藤浩市は相変わらず変な臭さのある芝居。柳楽優弥もキャラがはっきりしなくてツマラナイ。すべての登場人物に、共感も共鳴も出来ない。時間の無駄遣い的な映画でした。
え?「フラガール」と「悪人」撮った監督?…とは思えないほど突っ込み...
え?「フラガール」と「悪人」撮った監督?…とは思えないほど突っ込みどころ満載の、「私の貴重な時間を返して」と思わざるを得ない映画でした。
設定の置き換えがうまくいっている
西部劇の設定をうまく北海道開拓に置き換えている。雰囲気や演出、美術もよく日本映画にありがちなチープさがない。
原作と違うラストはあまり出来が良くなかったが、それ以外は全般的に高いレベルにあった。
渡辺謙カッコイイ
クリント・イーストウッドの許されざるもののリメイク版。映像が綺麗で迫力がある。物語のスピード感や間も良く目が離せない。殺しと酒を封印していた十兵衛が、金吾の仇を取る事を決めた後の迫力は凄い。
最後に涙を流すシーンは胸を打った。
西部劇とリンクする和人とアイヌ
完璧なリメイクの出来と言えますねー
女郎屋が燃えるシーンが素晴らしい
柳楽優弥くんも素晴らしい
佐藤浩市かっけー
主演俳優って、ある意味なにもしなくていいところあるのが(^^;ずるい…
今回はアクションだから大変だけど…
単純な話なのにテンポが悪い
単純な話なのにテンポが悪い。
盛り上がりに欠ける。
一つひとつの流れ・話に深みがない(演技じゃないですよ、話にです)。
忽那 汐里(くつな しおり)さんを知ったことだけが収穫。
原版よりも登場人物の背景を深く描いていてより入り込める
総合80点 ( ストーリー:75点|キャスト:85点|演出:85点|ビジュアル:80点|音楽:70点 )
刹那的人生を歩んできた男が女によって平安な生活を知り穏やかに暮らそうとするが、生活苦ゆえに再び修羅の道に帰る。イーストウッドの原版よりもこちらのほうが、脇役も含んで登場人物の過去や現在の状況をより深く描いていて、何故このような行動をとったのかということが物語としてより分りやすくなっていた。北海道の大自然の映像も美術も良く出来ていた。だから原版よりもむしろ気に入った。しかし原版に忠実な本作なのに、結末の締め方は異なっていてそこが中途半端に思えた。
登場人物の演技もしっかりとしていた。渡辺謙も良かったが、相棒役を演じた柄本明と柳楽優弥・警察署長役の佐藤浩市・長州の殺し屋役の國村隼といった脇役がまた良かった。ただ小説家役の人は、目の前にした殺しや自分の生命すら危ないときですら演技が軽薄で好きになれなかった。
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