ぬちがふぅ 玉砕場からの証言

劇場公開日:2012年7月28日

ぬちがふぅ 玉砕場からの証言

解説・あらすじ

太平洋戦争末期の沖縄戦における慶良間諸島の住民や、朝鮮半島から連行されてきた軍属や慰安婦たちの「玉砕」の真実を明らかにしていくドキュメンタリー。太平洋戦争で米軍が最初に上陸を目指した沖縄県の慶良間諸島では、日本軍が島の住民に集団自決(玉砕)を命じ、スパイ容疑による虐殺や飢餓なども含め、多くの住民の命が失われた。また、慶良間諸島には朝鮮半島から約1000人の若者が軍属として、21人の少女たちが慰安婦として連行されていた。在日コリアン2世の朴壽南(パク・スナム)監督が、2006年から08年にかけて取材した証言の記録と、20年前に撮影し、これまで未公開だったフィルムをつなぎあわせて完成させた。タイトルの「ぬちがふぅ(命果報)」は、島とともに生まれ変わる「命の幸せ」という沖縄に伝わる言葉から。

2012年製作/132分/日本
劇場公開日:2012年7月28日

スタッフ・キャスト

監督
朴壽南
音楽
原正美
作曲協力
杉本信夫
うた三線
新城亘
整音
甲藤勇
日吉寛
撮影
大津幸四郎
照屋真治
録音
奥井義哉
諸見長人
編集
上嶋皓之
小俣孝行
版画
儀間比呂志
題字
申英愛
ナレーション
朴壽南
三宅健太
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フォトギャラリー

映画レビュー

未評価 「私はそこに居てそれを見た」の重さ

2025年12月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 アジア太平洋戦争末期の沖縄で何があったのか、沖縄の人は何を経験したのか、日本軍は何をしたのかを追ったドキュメンタリーです。朴壽南(パク・スナム)監督の『アリランのうた』(1991)の続編とも言えます。

 どの戦闘でいつ何人の人が死んだと言った統計的な数字は確かに大切なのですが、「私はそこに居た」「私が観た」「私が経験した」という一人一人の直接的な証言が如何に大切かがよく分かります。「戦争は沢山だ」の思いはそこから発するだろうと思うからです。

 前作は、沖縄に連行された朝鮮の人々に焦点を当てた記録でしたが、本作では沖縄の人々(うちなんちゅぅ)の境遇にも注目しています。その結果、朝鮮のみならず沖縄も日本(やまとんちゅぅ)の植民地だったのだという事が浮き彫りにされるのでした。監督の手許には、取材時の証言記録がまだ数十時間分あるのだそうです。フィルム・テープが劣化する前にそれらのデジタル化が急務で、本来は国がそれを押し進めるべきなのですが、悲しいかな現政権は歴史を忘れ改竄しようとすらしている様に見えます。

 上映後には朴壽南監督によるいつもながらの無頼なお話を期待していたのですが、この日は体調不良でお休みで娘さんの朴麻衣さんのみの登壇となりました。でもそのお陰で(?)、強烈な個性で面倒であろう壽南監督との作業に取り組みながらも、麻衣さんがお母さんを如何に敬愛しておられるかがしっかり伝わりました。

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