ヤマムラアニメーション図鑑 頭山 あたまやま Mt.HEAD

劇場公開日:

解説

落語の『あたま山』を現代に置き換え、ケチな男の受難を描くアニメーション。第75回アカデミー賞短編アニメーション部門ノミネート、オランダ国際アニメーション映画祭審査員特別賞受賞、第15回ドレスデン国際アニメーション&短編映画祭国際アニメーション部門第1位、ハンガリー「メディアウェーブ2003」最優秀アニメーション賞受賞、平成14年度文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞受賞作品。2002年製作。

2002年製作/10分/日本
劇場公開日:2003年4月5日

ストーリー

メシ代惜しさにサクランボを拾い、「勿体ない」とその種まで食べたケチな男の頭に、桜が生えた。季節は巡って春、男の頭の桜も満開だ。ところが、それを知った花見客が彼の頭に押しかけ、飲めや歌えの大騒ぎ。激怒した男は桜を抜いてしまうも、今度は空いた穴に水が溜まり海水浴客が押し寄せた。思い悩んだ末、彼は自分の穴に入水する。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第75回 アカデミー賞(2003年)

ノミネート

短編アニメーション賞  
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映画レビュー

4.5とても怖い。 頭に咲いた桜の木というより、 頭の中の被害妄想で自殺...

2019年11月2日
PCから投稿

とても怖い。
頭に咲いた桜の木というより、
頭の中の被害妄想で自殺してしまった孤独な男の話のように思える。

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collectible

5.0頭に桜?グロくてシュールな驚異の10分体験

2017年9月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

山村浩二というこの時代に棹さすアニメーション作家の存在を知ったのはテレビのニュースでだった。
「第75回アカデミー賞短編アニメーション部門正式ノミネート!」とテレビで大々的に報じられたのを覚えている。
結局受賞は逃したが、テレビアニメとは全く違うまるで精彩な手書きのような絵が1コマ1コマ動いていく芸術的な映像に強く惹かれた。
テレビでは部分的に映像を流すのみで本編を観ることはできなかったのでなんとか観ることはできないかとずっと頭の片隅にあった。
なおこの受賞を逃した雪辱は6年後に加藤久仁生『つみきのいえ』で果たすことになる。
後年筆者は『「頭山」山村浩二作品集』というDVDを購入することで念願をかなえる。
また幸運なことにそれから年をまたがずに、家の近所(と言っても自転車で20分はかかる)イオンシネマがこけら落とし記念だったのか「山村浩二セレクション」A・Bの2つのプログラムを無料で鑑賞することができた。
これは山村が主に学生の制作したアニメを中心にいくつか選んでまとめたものだったが、今まで観たことのない山村作品である『年をとった鰐』も観ることができた。
無料ということで劇場は小さなこども連れの親子ばかりであったことや、昼間しか上映されていなかったので会社の休日にうまく日程をあわせるのに苦労した記憶がある。
その後も大画面で観たい一心でTOHOシネマズ日本橋で開催されていた「東京アニメアワードフェスティバル2014」に足を運び、「山村浩二作品集」を観ることにした。
『頭山』をはじめ上映された作品は全て観たことがあったが、やはり大画面で観る感激はひとしおであった。
また山村本人が登壇して少しだが話を聞けたことは収穫であった。
余談だが、この日は、「スタジオ4℃ナイト」という上映企画にも参加して『鉄コン筋クリート』と『ベルセルク黄金時代編』3部作をオールナイトで観てヘロヘロになって帰宅した。

この『頭山』は構想から完成までに6年もの歳月を費やし、アカデミー賞受賞は逃したものの4大アニメ映画祭の内アヌシー・オタワ・広島の3つで短編グランプリを獲得している。
同じく山村作品『カフカ 田舎医者』は残り1つであるシッチェスにおいてグランプリを獲得しているので監督としては4つ全てを制覇したことになる。

さて本編だが実際の落語では5分ほどしかなく、落語の中でも相当短い噺になる。
筆者は所有している落語CDの中から昭和43年版の八代目林家正蔵(彦六)のものを探し出し聞いてみた。
全体では15分ほどになるが、あまりに噺が短いせいか枕が10分近くある。
自分の頭に生えた桜が見事に咲き誇ったので人が集まり、主人公の日常生活を妨害するといったものだが、サゲはシュールである。
頭の上に人が集まるというのも落語として耳から聞く分には話芸なためか深刻さを感じない。
しかし本作を観ればわかるが、実際に映像となるととてつもないグロテスクさを伴うことが判明する。
山村の絵柄はシュールで時にグロテスクである。
そもそもこの題材を選択した時点で山村の勝利は確定していたのかもしれない。
この単純なお話をカップラーメンなどの現代的なツールも用いつつ枝葉を広げ、最後はSF作品のような終わらせ方に持って行く。
筆者が聞いた落語には噺の途中で2度三味線の演奏が入るが、本作も三味線と語りの両方を国本武春という浪曲師がこなす。
劇中の登場人物の会話も全て国本が演じているが、会話も語りも適量であり演奏をメインとして映像を彩っていく。
実に見事である。10分という非常に短い時間ではあるが、味わい深い映像体験ができる。
日本らしさのあるSFものという捉え方をされた可能性もあるが、世界的になぜ評価が高いのか納得の1本である。

その後山村は『カフカ 田舎医者』『マイブリッジの糸』などの名作を発表していくが、いまだこの出世作に当たる『頭山』がリマスタリングされてBlu-ray化されないところを見るとまだまだ日本での知名度は低いと言わざるを得ない。
残念である。

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曽羅密

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