霧の中のハリネズミ

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霧の中のハリネズミ
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解説

「アート・アニメーションの神様」として世界中のアニメーターたちから尊敬されるロシア人アニメーター、ユーリー・ノルシュテイン監督の代表作で、児童文学作家セルゲイ・コーズロフによる物語を映像化した短編アニメ。ハリネズミのヨージックは、友だちの子グマの家でお茶を飲みながら星を数えるため、夕暮れの野原を急ぎ足で歩いていた。しかしいつの間にか周囲に霧が立ちこめ、ヨージックは様々な体験をする。ノルシュテイン監督と撮影監督アレクサンドル・ジュコフスキーが本作のために新たに制作した大型撮影台「マルチプレーン」を用い、多層のガラス面に切り絵を配置する独自の手法で描いた。2016年12月、ノルシュテイン監督の代表作6作品を集めた「アニメーションの神様、その美しき世界」にて、高画質・高音質でよみがえらせたデジタルリマスター版が上映。別邦題「霧につつまれたハリネズミ」。

1975年製作/10分/ソ連
原題:Yozhik v tumane
配給:チャイルド・フィルム
日本初公開:1996年2月20日

オフィシャルサイト

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(C)2016 F.S.U.E C&P SMF

映画レビュー

3.0はじめてみるもの、ふれるもの、それは素敵なたからもの。

としさん
2020年5月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

2020年5月6日

映画 #霧の中のハリネズミ (1975年)鑑賞

ロシアを代表する世界的アニメーション作家ユーリー・ノルシュテイン監督の作品。セルロイドに緻密に描き込まれた切り絵をベースにした短編アニメ。

川に流されて小さな冒険をするハリネズミのお話です。

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とし

5.0「深い」という感覚

JIさん
2017年10月31日
PCから投稿

「深い」という感覚を、私はずっと気にしています。
  ここでいう深みとは無論、物理的な距離のことではなく、感覚の中に生じるものです。それは、何か永遠に不明瞭で曖昧模糊で捉えることができないが、しかしはっきりとした存在感は迫ってくる、そんな感覚です。そして深みは、謎めきや崇高さを呼び、心の豊かさや幸福感といった感動に直結するものだと考えます。

「霧の中のハリネズミ」は私にとって、多分に「深み」が感じられる作品であり、それゆえ、一つの理想の幸福感を表しているものだと考えています。

透明フィルムとアナログペインティングの表情が重なった美しい奥行きや複雑さは、まさに深みの感覚を視覚的に湧き起こします。とりわけ霧や陰翳、草の茂み、暗い川といった曖昧な空間を持つモチーフは、見えないけど奥に何かが在るという深みをよく感じさせていると思います。魚やコウモリの姿がはっきり見えていないことにも、同様に言えるでしょう。
 謎めいて、不可思議な世界はおもしろく、そんな魅力的な世界の一部として自分も存在している、という生への驚きは、そのまま生の喜びとして感じられるのです。
 一方で謎めいている自然界には恐怖や危険もあります。が、そんな一見ネガティブなものも、ここではセンス・オブ・ワンダーの一様として見ることができ、自然界の魅力の一部になっているのではないでしょうか。
 いってみれば、これはアニミズムに通ずる感覚でしょう。生きる環境に対する感動や畏敬の心は、ヒトにとって原始的で根源的な幸福感なのだと思います。多くの人が少なくとも子供の頃には気づいていた、世界や自然に対する感動が蘇るのではないでしょうか。

 …一人よがりすぎる見解になってしまったかもしれませんが、少なくとも私はそう見ました。

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JI

5.0幽玄な動く水墨画

曽羅密さん
2017年9月20日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ノルシュテイン監督作品の5作目になるが、細かさやこだわりへの追求はここまで来るのか!と感嘆符しかつかない。
児童文学作家のセルゲイ・コズロフの絵本の中から、日本の芸術を想い起こさせる作品として本編を選び、さらにノルシュテインが脚本を書いて話を膨らませたらしい。
まさにノルシュテイン自らが述べるように霧の中で話が展開されることでまるで水墨画を眺めているように心地よい黒白の世界が展開する。
白黒以外で目立つ色は本編途中にワンシーンだけ登場する犬の淡い黄色の両耳と赤い舌、終盤に登場するクマの茶色ぐらいである。

圧巻はカタツムリが徐々に霧の中に消えていくシーンである。まるで日本画で多用されるぼかしの技法を動画で表現するとこうなるとお手本を示されたかのようだった。
とにかく全体的に霧の中からの対象の出し入れそのぼかし加減が全編にわたって抜群なのだ!
今1つの圧巻は巨大な樹を主人公であるハリネズミのヨージックが見上げるシーンだ。
その巨大さを表すために見上げた際に手前となる下方の幹の動きをゆっくりと上方の幹の動きをいくらか速く動かしているのだ。
ちょうど我々が車窓から景色を眺める時、手前のビル群より、後ろのビル群が速く視界から過ぎ去ってしまうのと同じように。
物語の終盤で登場するクマが話す際は口の動きだけでなく口の周りまで動かしている。これによってなんとクマの表情豊かなことか!
灯火にたかる虫によって光が絶えず変化するさまも湛然に描く。
ただ単純に光を照らせば簡単なところを、あえて困難な表現な選ぶところにノルシュテインや美術監督の奥さんフランチェスカ、そして撮影監督アレクサンドル・ジュコーフスキーが抱く自分たちの技術への自負を感じた。
そもそも主役に細かい針の描写を必要とするハリネズミが選ぶばれていること自体がすでに困難な道を選択していると言える。
欲を言えば水の表現も実写との合成ではなく絵で表現して欲しかった。しかしすでに他の動きだけでどれだけの時間をかけて究極の域に高めているか測り知れないので、これは無理な注文だろう。
ノルシュテインなら水の動きをどう表現するのか、それが他の動きと組合わさることでどのように既存のシーンが変化していくのか、想像するだけでもワクワクしてしまう。
また何度か登場する白馬は空想主である黒色の多いハリネズミと素晴らしい対比になっている。
前作同様ミハイル・メェローヴィチが音楽を担当しているが、こちらもノルシュテインが彼と2ヶ月かけて曲を一緒に創り上げる徹底ぶりである。

2K修復された画像の鮮明さは息をのむほどに美しい。
ノルシュテインの作品を観ていると作品創りにおいて時間と手間をかけることの重要さを改めて思い知らされる。
神が細部に宿ることで作品自体が哲学すら湛え幽玄の境地に達している。
お見事!

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曽羅密

4.5愛しく美しい、10分間の動く絵本。

sophia703さん
2017年1月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

ロシア・アニメーションの詩人、
ユーリー・ノルシュテイン監督の代表作の1つとして、
「話の話」と共に上映される、本作。
監督の私的な回想の映像化と言われる「話の話」とは異なり
こちらはセルゲイ・コズロフの児童文学を原案に
独自の造形と映像化を試みた、「10分間の動く絵本」。
霧の中に恐る恐る足を踏み入れていくハリネズミが
見たり、聞いたり、触ったり、落ちたりしながら出逢う
さまざまなキャラクター。
水墨画を思わせる深い霧の中で、鳴き声や動きや佇まいや吐息で
彼らの存在が、ハリネズミに未知の何かを伝え、感じさせていく。
ハリネズミの心情に寄り添い、支える音楽も
優しく穏やかで、愛に溢れている。
今回の「ユーリー・ノルシュテイン監督特集
~アニメーションの神様、その美しき世界~」は
2Kによるデジタルリマスタリングのみならず、
字幕や、ポストカード形式のパンフレットに至るまで
実に親切な仕事と解説が付いており、とてもわかりやすかった。
30年前、字幕も付かず(まぁ、字幕がなくてもおおよそは解る内容とはいえ)
解説もなくただ映像美を堪能するだけだった上映に比べると
本当に嬉しい上映会となっている。

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sophia703
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