項羽と劉邦 その愛と興亡 西楚覇王
劇場公開日:1996年11月16日
解説
中国史上名高い二傑、項羽と劉邦の物語を、彼らを支えた二人の女を中心に据えて描いた大河ドラマ。本国公開時は上集『西楚覇王』、下集『楚漢争覇』の2部構成185分で上映(日本では97年に完全版と題して公開)がされたが、今回は世界初の138分の国際編集版。「紅いコーリャン」「上海ルージュ」など中国を代表する名匠チャン・イーモウの総監修の元、彼の作品でおなじみの女優コン・リーをはじめ、中国・香港のスターが競演。監督は『BLACKCAT 黒い女豹』(V)などの作品を手掛けるスティーヴン・シン。チャン・イーモウの「菊豆」「秋菊の物語」などの原作を手掛けた作家リン・ホウの原作を、監督のシンとシャオ・フー、スーヤンピンの共同で脚本化。撮影は「DEAD HEATデッドヒート」のチェン・シウケン。音楽は「バタフライ・ラヴァーズ」などの名手ジェームズ・ウォンとロメオ・ディアズのコンビで、コン・リーがエンド・クレジットの主題歌を歌う。美術は『ルージュ』(V)のマー・クォンイン、衣裳は「南京の基督」のモク・クァンキット、武術指導は『武闘派列伝』(V)のコン・タオホーがそれぞれ担当。主演は「上海ルージュ」などの中国を代表する女優コン・リー、『ゴッド・ギャンブラー3』のレイ・ロイ、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」シリーズのロザムンド・クァン「さらばわが愛/覇王別姫」のチュン・フォンイー。
1994年製作/138分/香港・中国合作
原題または英題:The Great Conqueror's Concubine
配給:大映東光徳間
劇場公開日:1996年11月16日
ストーリー
紀元前3世紀末。秦朝末期。暴政を極めて始皇帝の死後、陳勝呉広の乱に端を発し、天下は再び大乱の時代へ突入。そこに登場したのが項羽(レイ・ロウ)と劉邦(チャン・フォンイー)の二人の英雄だった。項羽は叔父の項梁将軍(ユエ・ハイ)と共に、亡楚の王孫である懐王(クー・パオミン)を擁立して楚の地で蜂起。彼に従うのは純心な美女、虞姫(ロザムンド・クァン)。一方、沛県(江蘇省)の無頼漢あがりの劉邦は、賢明な妻、呂雉(コン・リー)に支えられながら、上賊を率いて秦軍と戦っていたが、追撃を受けて、項羽の元に身を投じる。項羽と劉邦は義兄弟の契りを結んだ。呂雉のはそこで虞姫に初めて会う。鉅鹿の大決戦。項羽は秦軍を迎え撃つ。しかし、秦軍の別働隊が楚の都・彭城を襲い、呂雉と虞姫はからくも逃げる。命がけの逃避行の中、二人は姉妹の誓いを交わす。なんとか劉邦の軍にたどりついた二人だったが、好色な劉邦は虞姫に色目を使う。虞姫は項羽の元へ出発するが、秦軍に捕らえられ、都・咸陽の阿房宮に監禁された。項羽は秦軍を撃破するが、その間に劉邦は都を占領してしまう。項羽は怒り、軍師・范増(ラウ・シュン)の意見で鴻門で宴を開き、その席で劉邦を殺害しようとする。ところが狡猾な劉邦は、項羽をうまく取りなして難を逃れる。項羽は囚われの身の虞姫を救いに阿房宮へ。彼女が死んだと聞かされた彼は宮殿に火を放つが、実は地下牢で生きていると知ると単身業火の中へ。雄々しくも恋人を救い出す項羽の姿に感動し、恋心を抱く呂雉。秦は滅び、項羽は西楚覇王と名乗り、劉邦は漢王を命じられ、呂雉と老父母を人質にとられて僻地の蜀へ下った。さて、晴れて凱旋帰国した項羽は、国政をかえりみず、快楽にふける日々に入った。一方、劉邦は野望を捨てず、軍力を充実させ、希代の名参謀・張良(チン・シーチェ)や天才武人・韓信(トゥ・シャチオン)ら優れた人材の助けを得て、各地の諸侯と連携工作をとるなどして対外的にも活動し、反楚体制を固めた。やがて劉邦は項羽に宣戦。しかし圧倒的な兵力の差で項羽は劉邦を栄陽の戦いで撃破。劉邦は降伏、投降した。項羽は虞姫の懇願もあって、「鴻溝を境に戦いは行わず」という城下の盟を結んだ。しかし、劉邦は都・漢中に戻るや形成を立直し、韓信や、諸侯を味方につけ、大軍で反撃を開始。劉邦軍は楚へ帰郷する項羽軍を包囲。呂雉の機智で、楚国の捕虜たちは国の歌を歌わされた。楚軍の兵士たちは四方から聞こえる楚の歌を耳にして戦意喪失、項羽の命令も届かない。虞姫は大勢を知って、項羽の足手纏いになるよりはと、彼の剣をとって自害。項羽は28騎の最後の兵を率い、血路を開いて烏江へ。しかし楚国を望む川を渡ることなく、項羽は最後の決戦に挑む。満身に矢を浴びた項羽は虞姫野面影を抱きつつ、自決した。時に紀元前203年。享年31歳であった。