さよならモロッコ
劇場公開日:1974年11月2日
解説
D・Jの愛川欽也が監督から主演まで一人五役で自主製作した作品で、灼熱のモロッコを舞台にしたラブ・ストーリー。
1974年製作/85分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1974年11月2日
ストーリー
モロッコのマラケシュ空港。着陸した飛行機から五、六人の日本人の一行が降りた。その中の一人、CMディレクターの岡田正夫は、ボガートの「カサブランカ」、ディートリッヒの「外人部隊」に憧れてフィルムの世界に飛びこんだだけあって、モロッコは彼の心のふるさと。一人ではしゃぎまわっている。一行はホテルに着き、岡田は、ひと休みする仲間をホテルに残し、砂漠へとジープを走らせた。ここで彼は、愛の破局と、自分の才能に限界を感じたために、死を求めてモロッコへやって来たパリの女優のタマゴ、マリー・テレーゼとめぐり逢った。二人は言葉の通じぬ中にも、どこか惹かれあうものを感じ、珍妙なやりとりの中から愛が生まれていった。ことに岡田は、全てを投げ出して、この地で住もうとまで決心した。しかし、モロッコの熱い太陽にも増した岡田の愛でも、マリーの心の傷をいやすことはできなかった。「パリへ帰りなさい!」岡田は溢れるばかりのマリーに対する感情をおさえて叫んだ。彼女の心の傷をいやすのは、やはりパリしかないのだ、と自分自身を納得させながら……。マラケシュ空港で彼女を見送る岡田の姿は、あの「カサブランカ」のラスト・シーンを想い起こさせる男の哀愁があった。機内へ消えるマリー。飛び去るジェット機に、おもわず岡田は呟いた。「絵になるなあ」。