麗春花
劇場公開日:1951年4月28日
解説
銀座プロの八田尚之の製作で、同じく原作と脚色を担当。監督は、「孔雀の園」の島耕二で彼が久しぶりに主役を買って出演。「夜の緋牡丹」の島崎雪子が、再び主要な役をつとめ、「鬼姫しぐれ」の花井蘭子、「父恋し」の三宅邦子、「深夜の非常線」の伊豆肇などが助演している。
1951年製作/82分/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1951年4月28日
ストーリー
早春の一日、芳田弦三は娘英子と一緒に、亡妻さだえの墓へまいるのだった。さだえは、英子が女学校の修学旅行に行っている留守に、急に死んでしまったのだったが、英子は父と二人きりの生活にも限りない幸福を感じているようだった。そのため、英子と同じ出版社に勤める好青年大内龍介が彼女に好意を寄せていたが、彼女は一向に反応を示さなかった。英子には父一人があればそれで充分に思われた。しかし、その父には、ヴァイオリニストの柳路子という愛人があり、弦太郎という子供さえもうけていた。英子は父のそうした生活に理解を持っていたが、父が伊豆の漁村へ出かけた留守に母の遺書を見つけて衝撃を受けた。それには、英子が弦三の実子ではないこと、路子の存在はさだえを苦しめ、英子は、どんなことをしても、弦三を路子に独占させないようにして欲しいことなどがしるされてあった。英子は漁村に父をたずねた。弦三は英子の様子から彼女が真実を知ったことを悟った。父娘は一夜さだえのことを語り明かしたが、英子は父との愛情をいつまでも美しくしておきたいと思う心から、路子を訪ねて、父との同居をすすめた。路子は、また弦太郎が弦三の真実の子でないことを明かし、自分の罪深さと、弦三の寛大な愛情とに泣き伏すのだった。弦三は、英子を幸福にしてやりたく、漁村へ龍介を呼び、英子のことを托した。龍介は留守宅を守る英子の許ほ土産の黒鯛をさげてやって来た。