風の名はアムネジア

劇場公開日:

解説

突如世界に吹き荒れた謎の風によって、記憶喪失症になってしまった人類の軌跡を求めて旅立つ少年の姿を描く近未来SFアニメ。菊地秀行原作の同名小説の映画化で、脚本・監督は「ファイブスター物語」のやまざきかずお。共同脚本は「迷宮物語」(第二話)の川尻善昭と倉田研次。作画監督は中村悟と「ヴイナス戦記」の仲盛文がそれぞれ担当。

1990年製作/80分/日本
劇場公開日:1990年12月22日

ストーリー

199X年。謎の風によって地球上の全人類は記憶喪失症になり、原始的な生活を強いられることになった。そんな中、唯一記憶を持つ少年がいた。その少年・ワタルも最初は皆と同じく記憶喪失症になったものの、軍による脳外科手術によって記憶喪失にかからなかった頭脳サイボーグの少年・ジョニーによって新たなる記憶を授けられたのだった。だが、ジョニーはそれから間もなくワタルに全てを託して病死してしまう。ワタルはそんなジョニーの遺志を継いで、文明も文化も失った人類のその後を心に刻み付けるために一人、広大なアメリカ大陸を旅していたのだ。サンフランシスコに着いたワタルは、そこで有人式二歩行ロボット・ガーディアンによる殺戮行為を見る。そんなガーディアンにマグナムを握り締め、単身立ち向かうワタルの前に謎の少女が現れる。彼女の助言を得てガーディアンを倒したワタルは、その少女・ソフィアと共に旅を続けることになる。ソフィアもまたジョニーと同じく記憶喪失症にかかっていなかったのだ。そして半壊したロサンゼルスに着いた二人は、人々に追われる少女・スーと彼女を守る為に闘うリトル・ジョンと出会う。ワタルに助けられたスーは、与えられた一瞬の時をむさぼるようにはしゃぎまわる。だがスーは日暮れ時、誰にも別れを告げずに立ち去ってしまう。スーは神に捧げられた生け贄だったのだ。そして無慈悲な神の行為によるスーの死を目撃したワタルは、怒りに燃えてその神を倒す。神の正体は巨大な都市開発用土木ユニットだった。そしてリトル・ジョンは一人ロスに残るのだった。ラスベガスを目指す途中、ワタルたちは突如ガーディアンの襲撃を受ける。それによって負傷したワタルは気が付くと病院のベットに横たわっていた。町の名はエターナル・タウンというかつて合衆国によって開発された理想のモデル都市だった。しかしこの街に住む人間は二人しかおらず、驚いたことに二人とも記憶を失ってなかった。リサとシンプソンと名乗るこの二人はこの街のコンピューターに操られていたのだ。ワタルは二人を救い出そうとするが、結局街に残る二人。そしてワタルの旅は続いていくのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0魔界都市とバンパイア以外の菊地秀行SF

2023年11月30日
iPhoneアプリから投稿

菊地秀行原作の同名小説をアニメ映画化。
監督は『スレイヤーズ』総監督のやまざきかずお。

【ストーリー】
舞台は北米大陸。
「アムネジアの風」が吹いて人類すべてから「記憶」が消えた近未来、主人公ワタルは文明の滅んだ世界をたった一人で旅する。
ジープでサンフランシスコにたどり着いたとき、治安維持用兵器・ガーディアンが人々を虐殺している場面に出くわす。
操縦者の亡骸を載せたまま自動操縦で動きつづけ、滅んだ文明の守護者として無為に暴徒鎮圧任務を遂行しつづけるガーディアン。
騒動に巻きこまれるワタルだが、危ういところで謎の美女ソフィアに救われる。
「きみ、しゃべれるんだね」
「あなたはとても面白いわ。私と賭けをしない? 旅の終点までに、一人でも旅の仲間を作れたらあなたの勝ち」
二人は共に旅をしながら、アムネジア後の世界を見て回る。
ロサンゼルス、ラスベガスと北米を横断しながら、多くのトラブルに遭い、さまざまな社会や人々、文明のなごりに出会う。
傷つき、成長するワタルとそれを見守るソフィア。
だがニューヨークに向かう彼らを、あのガーディンが自らを凶悪に改造しながら執拗に足取りを追跡してきた。

『風の名はアムネジア』
印象的なタイトルです。
「アムネジア」は記憶喪失の意味。
多くの場合は脳からエピソード記憶が引き出せない症状を指しますが、この物語の人類は運動記憶以外すべて、つまり言語も含めた「知性」を奪われてしまいます。
親も子も兄弟も友達も、自分自身すら何者かわからない状態。
そこからワタルはいかに言葉を手に入れたのか、ソフィアとは何者なのか……。
大作とは程遠いアニメ映画ですが、SFやアクションに定評のある老舗マッドハウスらしい冴えたアニメーションが随所に見られます。
特にラストのラブシーンはなぜかやたら力が入っていて、一瞬のカットですが20世紀アニメのいい乳ベスト3(かせ主観)の一つ。

ストーリーはほぼ原作どおりですが、尺が80分と短く、若干のエピソードが割愛されてます。
菊地秀行作品の中でもさわやかでポジティブな雰囲気、ポストアポカリプスな舞台で、今ならゾンビ物の亜種と分類されそうな自由で原始的な世界観。
セルアニメ時代の映像も味わえますし、もしも機会がありましたら少年の心をもつ純真な青年ワタルの冒険を楽しんでもらえれば幸いです。

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かせさん

4.5とても良い作品だったのだけれど、投げっぱなしみたいな終わり方。風を...

2018年10月24日
iPhoneアプリから投稿

とても良い作品だったのだけれど、投げっぱなしみたいな終わり方。風を吹かせた理由について語った以降バトルものみたいにして有耶無耶な感じ。祝福されてもなぁ。
前半部分はかなり面白い。謎の美女と旅をするのは999に通ずるものがある。2人で何役もするコンピュータ制御のエターナルタウンの話が一番印象に残った。

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