不道徳教育講座
劇場公開日:1959年1月9日
解説
週刊明星に連載された三島由紀夫の原作を映画化した風俗喜劇。窪田篤人・西河克己が共同で脚色し、「明日を賭ける男」の西河克己が監督した。撮影は「完全な遊戯」の横山実、音楽は「悪女の季節」(松竹)の黛敏郎。「大阪の風」の大坂志郎・長門裕之、「続 夫婦百景」の月丘夢路らが出演する。
1959年製作/87分/日本
配給:日活
劇場公開日:1959年1月9日
ストーリー
殺人以外のあらゆる犯罪を犯した世にも不道徳な男、藤村良助は、結婚サギ罪で何度目かの獄舎生活から解放されたその日、監獄の門前で突如昔の強盗仲間、大野と小島に襲われた。二人は盗んだ大金を持逃げした藤村に仕返しを企てたわけだ。が、藤村は、うまく彼らをまいて一目散。折よくやって来た列車に飛乗った。彼は、大スター、大月麗子と同席していた自分と瓜二つの男を発見、男が寝込んだところを襲い服を取替える。追跡してきた大野と小島は、気絶している男を藤村と間違え列車から担ぎ出した。二人組をまいた藤村は早速、色事師ぶりを発揮、麗子の気を惹く始末。麗子は前日同席していた男の木石の如き態度と全く違うのにビックリ、それもその筈、藤村の身代りとなった男は文部省の役人で道徳教育界の権威、相良文平、折しも道徳教育のモデル都市問題で山城市に行く途中だった。一方その山城市ではモデル都市問題で大騒ぎ、指定されれば市に転り込む一千万円に目がくらんだ市長一派と、道徳教育反対派が駅前で正面衝突、列車が着くと大混乱、その隙に相良ならぬ藤村は姿を消した。が、視察官・相良の行方不明に大慌ての市長派に探し出され無理矢理、校長の朝吹邸に連れ込まれ大歓迎を受けた。初めは事情の分らなかった藤村も、やがてそれが分ると、そこは曲物、役人になりすまして度胸を決めた。ところが、この朝吹家--校長の桂馬は教科書汚職にふけり、妻の美也子は運転手西倉によろめき、長男の圭一はドンファン気取り、長女の和美は恋人の利夫をそっちのけで、自分の処女権を三角クジで売りつける超アプレ、次男の康二はミステリー狂で時限ピストルを作り完全犯罪を企てているという、とんだ家族ぞろい。そのころ相良をリンチしていた大野と小島は、ようやく藤村でないことを知り慌てて山城市へ行き学校で変テコな演説をぶっている藤村を発見、康二をつかまえて金を握らせ、その夜、朝吹邸に侵入した。ところが、康二もさるもの、これを機会に、時限ピストルを藤村の寝床に向けて発射、その犯人に大野たちを仕立て完全犯罪を遂行しようと企んだ。その夜、和美から買った三角クジを開けて見て当っているので喜んだ藤村は早速、和美の部屋に行ったが、そこへ飛込んできた利夫と大格闘。しかしその間に藤村の部屋では時限ピストルが爆発、忍びこんだ二人組は驚いて逃げ去った。市長一派はこの爆発事件を反対派の仕業と早合点、藤村を大月麗子の別荘にかくまう。ところが翌朝、公会堂の道徳教育講演会に相良が傷だらけとなって本物の視察官と名のって現れた。市長一派は目をパチクリ、大野と小島も呆然としている間に警官隊に逮捕されてしまった。そのころ藤村は、麗子と意気投合、恋のドライヴとしゃれこんでいた。