海女の岩礁
劇場公開日:1958年8月5日
解説
筑波久子が海女に扮してその肢体をお目にかけようという娯楽篇で、直居欽哉・佐治乾の共同脚本を、「あン時ゃどしゃ降り」の森永健次郎が監督、「大阪娘と野郎ども」の山崎安一郎が撮影した。出演は「裸身の聖女」の筑波久子・青山恭二、「チャンチキおけさ」の香月美奈子・二谷英明など。
1958年製作/82分/日本
原題または英題:The Diver
配給:日活
劇場公開日:1958年8月5日
ストーリー
浜一番の腕のいい海女アキは、野性的な女だった。彼女は港の実力者である伯父の源兵衛の下で働くたくましい若者、定男を一途に愛していた。ある日、アキが仕事を終って帰ると、東京に行って女優をやっていたという幼友達の雅枝がたずねてきて、ワケあって帰郷したが、暫く家においてくれという。見違えるように美しくなった彼女を羨望の目で見ながら、アキは承知した。アキから、定男を恋していることを聞いて、雅枝の心理は複雑だった。何故なら、四年前に雅枝は定男と恋し合っていたが、長男で家を継がねばならぬ彼に裏切られて、一人東京に出た身だったから。翌日、出漁していた定男達が帰ってきた。肌もあらわな服装の雅枝の、燃えあがるまなざしに、定男も心をひかれたようだった。雅枝は海女になった。何事かを忘れようとするように、彼女は一所懸命働いた。そんなある日、東京から雅枝を追ってヤクザの藤田がやってきた。彼は、実はヌード・ダンサーをやっていた雅枝のヒモだったのだ。いやがる雅枝を呼んで復縁を迫る藤田を、定男が一撃を与えて倒した。雅枝と定男は月光の下で抱き合った。祭の日。呼び物の海女対抗障碍競走で、優勝したアキは、喜んでもらおうと定男を探したが、雅枝と会っている彼を見つけて、雅枝と大乱闘を演じた。その日から、藤田や浜の人々の迫害のなかで、雅枝は定男の家に移った。その頃、藤田の仲間の橋本と松が強盗を犯して追われ、東京からやって来た。高飛びの資金をつくるために、彼らは源兵衛の金庫を狙った。定男が彼らに襲われ、腕を刺された。が、彼は警察に届けなかった。雅枝を係り合いにしたくなかったのだ。三人組は高飛びを急ぎ、その夜アキの家を襲って金を奪った。藤田は雅枝を脅し、彼女を連れて船で逃げた。定男は若者達を、アキは海女達を連れてあとを追った。雅枝はスキを見て三人組の船をてん覆させ、藤田と松を溺れさせた。が、橋本は定男を拳銃で狙い、かばったアキは、定男と雅枝に見とられて死んだ。--アキの言い残したとおり、二人は平和に暮して行った。