忍術水滸伝 稲妻小天狗
劇場公開日:1958年1月29日
解説
村上元三の「稲妻草紙」を原作に「竜虎捕物陣二番手柄 疾風白狐党」の結束信二と杉村章栄が共同で脚本を書き、「朝晴れ鷹」の松村昌治が監督した忍術時代劇。撮影は「佐々木小次郎 (前篇)(1957)」「佐々木小次郎 (後篇)(1957)」の吉田貞次。主演は「佐々木小次郎 (前篇)(1957)」「佐々木小次郎 (後篇)(1957)」の東千代之介、浦里はるみ、三条雅也、「朝晴れ鷹」の長谷川裕見子、ほかに大河内傳次郎など。
1958年製作/69分/日本
原題または英題:The Scroll's Secret
配給:東映
劇場公開日:1958年1月29日
ストーリー
稲妻道人に首をしめつけられるという悪夢に夜毎悩まされる将軍義種は、自分が持っている百蛇の宝剣と、安芸の国、衛守の城主、左衛門の持っている百蟹の絵巻さえあれば、どんな妖術も破れるということを聞き、安芸の国に使者を立てた。使者頼豪院を迎えた左衛門は、子の右馬之介に百蟹の絵巻をたくしながら、その由来を話した。二十年前、隣国の白井縫殿助に、将軍家の敵という名目でだまし討ちにあい滅ぼされた三好元長から左衛門が預ったというのだ。そして右馬之介に三好家の遺児を探し出し、三好家再興を将軍に願うことを云いつけた。南無兵衛と鹿蔵をつれた右馬之介が、頼豪院と共に、とある山道にさしかかった時、刺客達が斬りこんで来た。頼豪院は縫殿助と通じ右馬之介を亡き者にしようと図ったのだ。右馬之介が刺客達を追い散らした時、黒雲に乗った稲妻道人が現われ、頼豪院を拐って消えた。やがて、盛り場に来た一行は、掛小屋に入り、そこで右馬之介は水干姿で乱曲を舞う桂の美しさに魅せられた。宿で寝床に入っても桂の姿がこびりついて離れない。と、どこからともなく一匹の蛾が入って来、飛び廻るうちに桂の顔に変るのだ。庭で掛小屋にいた虎市が呪文を唱えていたのである。そして、大蛇が現われ百蟹の絵巻をうばい取った。右馬之介は間髪を入れず九字をきる。大蛇は巻物を落として消え去った。戦い不利と見た虎市が飛び上ると稲妻道人の正体を現わした。右馬之介が斬ろうとした時、桂が足許にとびこんで来た。その躊躇した一瞬、道人の術に打たれ右馬之介は気を失った。気を取り戻した時には、絵巻はすでに白紙の画幅。右馬之介が金閣寺で義種に目通りしている時、道人が現われ、義種に斬りつけた。彼は三好元長の子嘉門、桂は彼の妹だったのだ。これを悟った右馬之介は、仇は将軍家ではなく、縫殿助であることを伝えて、道人を逃がした。一行は、雲に乗り、縫殿助に攻められている左衛門を救うべく急行した。衛守の城は滅ぼされ、左衛門らの処刑の寸前に一行が到着し、縫殿助は嘉門、桂の兄妹に倒され、妖雲は去り、白井の城壁には、衛守、三好の旗が上った。