続青い山脈

劇場公開日:

解説

石坂洋次郎の原作を今井正監督が映画化した「青い山脈」の後篇。出演は引き続き、池部良、原節子、龍崎一郎、杉葉子ほか。

1949年製作/91分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1949年7月26日

ストーリー

ついに学園の民主化を叫ぶ名目で新聞にまで拡がる。沼田の患者の一人梅太郎(芸者)はうらみのある理事長の井口を相手にまわし大いに気えんを吐く、彼女の妹の和子も小さな味方として協力した。ついに理事会の日がきた。沼田医院を根城にして案を練る沼田、和子の父兄代理の梅太郎、ガンちゃん、雪子も力がついてくる。理事会は教頭の経過報告からはじまった。井口が正面の会長席に座っている。雪子は退席を命じられたがどんな批判でも、はっきり伺いたいとがんばった。いじわるい田中教師や、立場に困っている校長、教頭、熱心に説明している沼田、雪子の理整然した答え、梅太郎、ガンちゃん達の議論とユーモアのうちに理事会は展開されてゆく。父兄達の異様な顔もほぐれて五分五分の態勢が七分三分となる。形勢不利とみた井口は「これから最も民主的な方法で無記名投票で……」と提議した結果は島崎先生を可とするもの十二票、生徒を可とするもの六票。勝利であった。しかし、その夜沼田はケガをした。最早や争う必要もない、彼を看護する梅太郎、雪子--。やはり生徒達の青春の躍動はおさえきれない。次第に雪子や新子達に理解の目がむけられてくる。ラヴレター問題も同級生松水浅子の策略だったことが彼女自身の口から解かれてゆく。晴れた日、和気藹々とサイクリングに興じるの雪子たち姿があった…。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

映画レビュー

4.0女が殴るのは暴力ではない。

2023年8月15日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1949年。今井正監督。生徒の男女交際を巡って、いよいよ理事長や体育教師との対決を迎える理事会が開催される。成りすまし工作までして挑んだ主人公側だが、話は脱線し続ける。男女交際について同意が得られ、多数決で勝利するが、体育教師によって工作が暴露されて形勢不利に。しかし、芸者の機転で体育教師の弱みをつくことで、一見落着する。このあたり、物語の展開は面白いが、画面の展開は平凡で面白みに欠けるのが残念。 その後、発端となった女学生と高校生の海辺デートと暴力沙汰、偽装手紙をめぐる生徒同士の和解などがあるが、ここで契機となっているのは「殴ること」。冷やかしから暴力に発展する男同士の喧嘩はしてはならぬこととして描かれるが、和解の条件として偽の手紙を書いた女学生が主人公を平手打ちするのは暴力としては描かれない。そういえば、理事会でも女性教師が医師を殴ったことをめぐってひと騒動あったが、その際の言説(芸者が男を殴る)も含めて、女が殴ることは男が殴ることとは意味が異なっており、暴力ではないことが前提となっている。殴ることをめぐるジェンダー。 さらに、主人公の女学生の平等感覚のするどさも際立っている。デート相手の高校生が殴り合う姿をはらはらしてみた後、「あなたのことが好きだわ」と連呼するのだが、その連呼は男からの恋の意志表示を受けるまでは宙ぶらりんのままだと認識されているし、前述したように、発端の偽手紙の女学生から殴られないことには、一度頭にきた彼女を殴っている以上、和解にはならないと認識されている。女の間では殴る、殴られるはつりあうべきものなのだが、男の間では、殴られてても殴り返してはいけないのだ。 原節子が殴ったり、自転車に乗ったり、明るい笑顔で笑ったりするのは、同時代の小津監督や成瀬監督作品ではなかなかお目にかかれない。その意味でも貴重。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
文字読み

他のユーザーは「続青い山脈」以外にこんな作品をCheck-inしています。