伝七捕物帖 美女蝙蝠

劇場公開日:

解説

捕物作家クラブの野村胡堂、城昌幸、谷屋充、陣出達朗、土師清二の協同執筆になる捕物小説より、「りんどう鴉」の福田晴一が監督する、伝七シリーズ第七篇、初の天然色作品。脚本は「のんき侍大暴れ」の永江勇、撮影は「りんどう鴉」の片岡清。主な出演者は「りんどう鴉」の高田浩吉、瑳峨三智子、「忘却の花びら」の草笛光子、「白磁の人」の水戸光子、「相馬の唄祭」の伴淳三郎、「醉いどれ牡丹 前後篇」の大谷友右衞門、ほかに石黒達也、山路義人、北龍二、戸上城太郎など。

1957年製作/105分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1957年1月29日

ストーリー

奥州一の分限者、本間治左衞門は、舟奉行久世但馬の示唆で江戸の将軍家へ献上金として純金ののべ棒五本を差出すことになり、竜神丸にこれを積込む。だが献上金と称し、のべ棒を横領する下心の但馬は、一味の舟主鉄五郎や乗組頭市兵衛、その組下の政吉らと計り、途中、嵐の夜に毒を盛って乗組全部を殺害、仲間の筈の市兵衞と毒死を免れた政吉を海中に投じ、舟を沈めて証拠をなくした。奪った金塊は、道観山と呼ぶ深山の奥、蝙蝠谷の洞窟に隠して山伏姿の但馬の腹心矢源太と妖術使いの老婆に護らせ、異国に売って巨利を得ようと考えた。万一を予測の上、娘お咲の背に金塊埋蔵図を刺青して置いた市兵衞は政吉共々、辛うじて一命を全うし、江戸に戻ってお咲を探しあて金塊を我が手にと考えたが、果せぬ仲、一味の手にかかって果てた。一見、自殺と覚しき彼の死骸に目を光らせた、御存じ黒門町の伝七。愛妻お俊の父、池の端の万五郎が秘密の一端を掴みかけて同じく殺害されるに至り、敢然、事件解決に乗出す。品川の港で但馬の裁いた竜神丸事件の再調査に迄こぎつけた伝七は、生き残りの政吉が金塊を探していることを知った。久世邸に事件の鍵ありと睨む伝七。女房お俊が腰元に化けて入り込み地下牢にお咲を発見、だがお咲は折柄現われた政吉と、ズべ公お駒の舟で去る。敵地に残されたお俊に怒った伝七はお駒に迫り真相を告げる。お駒こそ実はお咲と双子の妹、過ちを悟ったお駒。彼女は政吉に惚れて金塊奪回に協力していたのだった。だがお咲は矢源太の襲撃で瀕死の重傷。背の刺青を写した伝七は蝙蝠谷の祕密を探り当て、姉になり代ったお駒が但馬の機嫌を取結ぶ宴会へ現われ、真相をぶちまける。但馬の屋敷、鉄五郎の家、さらに蝙蝠谷と手を分けた捕手の急襲で一味は壊滅。但馬と矢源太は自害して果てた。

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