眠狂四郎無頼控

劇場公開日:

解説

ニヒルでしかもダンディな剣豪眠狂四郎--“週刊新潮”連載中の柴田錬三郎原作「眠狂四郎無頼控」の映画化。脚色は「午後8時13分」の小国英雄、監督は「哀愁の街に霧が降る」の日高繁明、撮影は「日蝕の夏」の山崎一雄が担当する。主な出演者は「殉愛」の鶴田浩二、「浮気旅行」の河津清三郎、津島恵子、「婚約指輪」の青山京子、「天上大風」の北川町子、その他、森川信、徳大寺伸、伊豆肇、藤原釜足など。

1956年製作/85分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1956年12月26日

ストーリー

円月殺法の達人、浪人眠狂四郎は老中水野忠邦のお側頭、武部仙十郎と組み、邸内から将軍家拝領のお小直衣雛を盗み取り忠邦に御意見申そうと、ある夜、腰巾着のスリ燕の金八を従え目指す一室に忍び込む。だが廻船問屋伊予甚の娘で林肥後守の間者、美保代が二人を障ぎる。狂四郎は美保代を犯し、騒ぎに乗じ金八は内裏雛を盗み出す。美保代と並べて成敗しようとする忠邦に、狂四郎は乱世建て直しを説く。美保代を殺害しようとした肥後守の間者修理之介は、狂四郎の必殺の刃に倒れる。仙十郎邸に預けられた美保代。捨児の彼女は自分を犯した狂四郎の真意を知りたいと願うが、彼も異人を父に持ち母は飢死した身の上。好んで女を犯すのも、母に満されなかった愛情の故だ。修理之介の遺髪をその妹静香の許へ届けた狂四郎は彼女の唇を奪い、下者むささび喜平太の槍も物ともせず去って行く。廻船問屋美濃屋では、肥後守の一味、主人嘉兵衛や玄蕃、多門らが、雛の首を入手の上、将軍家へ差出そうと密議をこらす。静香の急報で待伏せた一味も、円月殺法には手が出ない。一方、金八に踊りの師匠寿女若の家へかくまわれた美保代は何者かに魔薬を嗅がされ、雛の首を奪われる。その夜、狂四郎は彼と間違って襲われた武士の腕前に感心するが、その武士が静香の後見人で彼の叔父平山子竜とは露知らない。家に戻ると、身の周りをお世話したいと静香が待っている。要らぬと拒わる狂四郎。彼を毒槍で狙う武士を刺した喜平太は「静香様を奪ったお主は、俺が殺す!」と叫ぶ。程なく、仙十郎の依頼で狂四郎は将軍家御世嗣時千代君が中臈志摩と医師淳堂に嬲り殺しされようとする現場を押え、志摩を追い詰めて阿片の薬袋を取り上げる。狂四郎を訪れた子竜は、静香を引取ると共に、喜平太と手合せしろという。試合を止めさせようと静香は狂四郎に痺れ薬を盛る。喜平太の片腕を斬って落した狂四郎も混迷の極、地に倒れる。正気に戻った彼を襲う美濃屋、玄蕃らの一統。狂四郎は子竜に救われたが、水野家お召抱えの話も断わり「思うがままに命を使い果したい」と何処ともなく去って行く。

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