唄祭母恋しぐれ
劇場公開日:1956年6月8日
解説
一四七号掲載「唄祭けんか道中」に続いて歌手三浦洸一と沖諒太郎が主演した人情捕物時代劇。滝富雄のオリジナルから「唄祭けんか道中」のコンビ倉谷勇が監督、近藤憲昭が撮影を担当した。主な出演者は三浦洸一と沖諒太郎の他、新人夏亜矢子、松浦築枝など。
1956年製作/45分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1956年6月8日
ストーリー
淡路島のとある港に船を降りた大阪の海産物問屋津の国屋の番頭弥之助は、港の休み茶屋に旅装をといた。茶屋の娘お千代は度々島を訪れる弥之助にいつしか恋心を持ち、二人の仲はお千代の祖父作兵衛も認めていた。そのころ大阪では幻の銀次という怪盗が町家を荒し回っていたが、その姿を見た者は一人もなかった。弥之助がお千代と話合っている時やくざ風の男が茶屋に入って来た。この男は幸吉と名乗り、明日から始る村祭りに何かボロい儲けはないかとやって来たというのだが、その態度には何か曰くがありそうだった。翌日、海沿いの街道を、なぜか人目を忍ぶように行く弥之助の姿があった。山腹の一軒家に着いた弥之助は、あたりを窺い「お母さん、銀次郎です」と戸を叩いた。弥之助とは世を忍ぶ偽りの名、彼こそ幻の銀次その人であった。銀次の母おたみは嘗て自分を欺き大金を奪った男を怒りの余り殺したが、その秘密を知る土地のやくざ舟虫の安は、おたみを強請り多額の金を要求していた。折から現われた安は、銀次の携えて来た金を、おたみから受取ったが、強慾な安は満足せず、更に多額の金を要求した。遂に肚に据えかねた銀次は、その夜、安を待伏せて斬った。これで母も安心が出来ると、ほっとした銀次の前に、幸吉が現れた。しかも彼の手には十手が握られていた。翌日、祭りの幟がはためく下を、銀次は何も知らぬお千代に切ない別れを告げ、幸吉に伴われ再び船の人となった。