トランペット少年
劇場公開日:1955年7月26日
解説
田中研の原案から「少年死刑囚」の片岡薫が脚本を書き、「狂宴」の関川秀雄が監督。撮影は仲沢半次郎である。出演者は「姉妹(1955)」の内藤武敏、「美しい人」の日野道夫などで、十六ミリ原版から三十五ミリ版がプリントされた。
1955年製作/44分/日本
原題または英題:Trumpet Boy
劇場公開日:1955年7月26日
ストーリー
東北の片田舎の学校に、音楽の上田先生が新しく赴任して来た。生徒の宗太は浪花節をうなって怒鳴りつけられたので、早速「雷先生」と綽名した。生徒たちが卑俗な流行歌しか歌わないのを聞いた先生は、PTAの席上で音楽の大切な事を説いたが、村の父兄には馬の耳に念仏だった。そのころ村にサーカスが訪れた。すると子供たちは楽隊の「天然の美」を聞いて、その真似に大騒ぎだった。これを見た先生は、押入にほおりこんでいたトランペットを取りだして子供たちに聞かせた。子供たちはその音色に心を奪われ、自分たちで手製の楽器を作るほど熱心になった。宗太だけはこれに反抗して仲間に加わらず、黒板に「雷先生の歌」を落書した。ところが先生はこの歌詞に符をつけて皆に歌わしたので、宗太もそれから熱心にトランペットを習った。ある日、先生から借りたトランペットを、宗太の父親がうるさがってはねのけたはずみに、トランペットは曲ってしまった。怒って家を飛びだした宗太は、曲ったトランペットを持って雨中をさまよううち、雨のため崖くずれの大きな石が鉄道線路に落ちているのを発見し、トンネルまでかけて入口でトランペットを吹きならした。異様な音の反響で汽車は止り、惨事を免れた。数日後、鉄道員もまじって、小学校では豆楽団によるPTA慰安会が開かれ、夢中でトランペットを吹く宗太を、父親も笑顔で見守っていた。