女性に関する十二章
劇場公開日:1954年11月23日
解説
伊藤整のエッセエ「女性に関する十二章」をもとに、和田夏十がシナリオを書き、「億万長者(1954)」の市川崑が監督する。撮影は「母の初恋」の三浦光雄、音楽は「潮騒(1954)」の黛敏郎が担当。「愛と死の谷間」の津島恵子、「母の初恋」の小泉博と上原謙、「結婚期」の有馬稲子はじめ、久慈あさみ、徳川夢声、太刀川洋一、伊豆肇のほか小牧正英が特別出演する。
1954年製作/87分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1954年11月23日
ストーリー
高村バレー研究所のバレリーナ飛鳥ミナ子と銀行員呉小平太は、大学時代に知り合い婚約中である。併し、学生で結婚は早過ぎるというミナ子説、次には今少し高給になる迄という小平太説、そして小平太に結婚の自信が出来た時、ミナ子は稽古場が出来る迄待ってくれと頼んだ。ともに二十九才、恋愛倦怠期に突入した恋人同志である。堕性で続いている日曜日のランデヴー、小平太は、この辺でふんぎりをつけて結婚すべきだというが、バレー研究所の脱退問題で頭を悩ましているミナ子はそれ所じゃない。音楽舞踊評論家、車田竜夫は、高村隆の意を体してミナ子に、プリマ・バレリーナとしての復帰を勧誘する。二人が話している喫茶店では偶々小平太が十五回目の見合中である。今日の相手は大鳥初子。ミナ子は車田に小平太をハトコと紹介する。話が弾み、車田が初子に結婚観を尋ねると、結婚は女性にとって一番賢明で安全な職業である、という。急にフィリッピンへ転任となった小平太はミナ子に結婚を迫るが、ミナ子はその気になれない。落胆の小平太は母親のいうなりに初子と結婚しようとするが、ミナ子はせめて自分の知っている人をと後輩の千栄里を推薦する。千栄里はロマンに陶酔する感激型、そのくせ小平太の身上調査までする。結婚式の当日、フィリッピン行の中止を聞かされた小平太は千栄里との結婚にもう嫌気がさす。廊下でミナ子と出会った時、九年間の慢性恋愛症状がとけて、二人の心は激しく結びついた。式場を飛び出した二人は、死ぬ覚悟で夜の海に入って行く。だが二人は水泳の選手である。綺麗な藻、白い雲、死んでしまうには地球は美くし過ぎる……二人は初めて接吻した。