舞妓物語(1954)
劇場公開日:1954年5月3日
解説
「祇園囃子」と同じく京都芸妓を扱った川口松太郎の小説(『平凡』連載中)を、「雪の夜の決闘」の若尾徳平と新人八尋桜児が共同脚色し、「怪盗まだら蜘蛛」の安由公義が監督している。撮影は「怪猫有馬御殿」の伊佐山三郎、音楽は「続砂絵呪縛 雪女郎」の大久保徳二郎。出演者は「金色夜叉(1954)」の根上淳、「心の日月」の若尾文子、「番町皿屋敷 お菊と播磨」の阿井三千子、「妻恋黒田節」の入江たか子、「山椒大夫」の浪花千栄子、新人峰幸子などである。
1954年製作/92分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1954年5月3日
ストーリー
祇園の芸妓菊代の娘登女子は、未来の舞妓を嘱望されていたが、それを振り切って、東京で声楽の勉強をしていた。ところが、その母が入院したという報せを受け、彼女は急いで帰郷することになった。帰りの車中で、彼女は胃痛に苦しみ、隣り合わせた見知らぬ医大生にやさしく介抱してもらった。家に着いてみると、母菊代の病気は思ったより重く、高辻病院長は致命的な癌であると診断した。登女子の悲しみは限りがなかった。しかしその病院の息子の英治こそ、汽車の中の医大生であることが分り、間もなく登女子は心ひそかに彼を恋する気持になっていた。だが、母の病気により、登女子も音楽学校を退いて、舞妓として立つ決心をした。一方、大学を卒業して再び京都に帰った英治は、舞妓姿にすっかり変った登女子に目を見張り、やがて熱き思いを打明け求婚した。登女子はうれしかったが、英治には蓉子という婚約者があると云って拒んだ。彼はそれを打消したが、蓉子の方では彼を愛しているのだった。母菊代も登女子に身を退くことを勧めたが、ある日、その言を取り消すと云いながら息を引き取ったのである。だが、重なる借財のため、登女子は福原という中年男の世話になることを免れ得ない破目に陥った。止むなくそれを承諾した登女子は、常に英治のことを思いつつ、心中死を決意し、福原との最初の夜に臨んで服毒したのだった。だが幸い、英治の手当ての甲斐あって、一命をとりとめた登女子は、今では英治と共に再生することを誓った。涙の中に二人を祝福するのは蓉子であった。