三等重役
劇場公開日:1952年5月29日
解説
製作は「金の卵」の藤本真澄。サンデー毎日に連載された源氏鶏太のサラリーマン小説から「女ごころ誰か知る」の山本嘉次郎と「息子の花嫁」の井手俊郎とが共同でシナリオを書き、「醉いどれ歌手」の春原政久が監督、「霧笛」の玉井正夫が撮影している。出演者の主なものは、「息子の花嫁」の小林桂樹に、「お洒落狂女」の関千恵子、新人の島秋子のほか、河村黎吉、沢村貞子、井上大助、坪内美子、進藤英太郎、それに藤間紫、小野文春、越路吹雪などの特別出演がある。
1952年製作/98分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1952年5月29日
ストーリー
町の有力会社南海産業の桑原社長夫人は新調の裾模様を着て見たいばかりに仲人を引受ける結婚奨励の回覧板を社内にまわし、村尾とトキ子とがまずその第一陣をうけたまわって結婚式をあげたが、日頃仲の良い秘書の若原と久保とが第二候補にねらわれていた。追放を解除になり社長復帰を予期されていた前社長奈良剛造氏が脳溢血のため当分復帰困難となったことは、桑原社長を安堵させたが、奈良前社長の世話をしていた女お鶴の身の振り方の相談を受けなければならなかった。奈良氏の令嬢由紀子は、自分の経営する美容院が南海産業の社員の夫人連で繁昌しているお礼にお鶴への援助を引受けてくれた。美容院へ集る夫人連は、ボーナスを直接妻へ渡すことを決議して、社長夫人の応援でそれに成功するが、浦島人事課長の智恵で、特別賞与や役員賞与は無事に男たちの手に渡って社員たちをよろこばせた。東京出張の桑原社長はお鶴を同行しなければならなくなったが、人格者として有名な海山商事の藤山社長と一緒なので、誤解をおそれて浦島を同行した。ところが藤山社長は芸者おこまを同伴、東京駅へ着いて見ると飛行機で先まわりした藤山社長の京子夫人が出迎えていた。そこでおこまは急に桑原社長夫人に化け、築地の宿でも、桑原はびょうぶを立てまわしておこまと同室で泊まらなければならぬという目にあった。しかし、東京出張所の田口が妻に死なれて寂しそうなのを見ると、彼の愛している道子という女との結婚をまとめてやったり、銀行頭取の息子勝田亮助を南海へ就職させ、由紀子との結婚をとりもったり、桑原夫人の裾模様は仲々忙しく役に立つのであった。しかし、亮助がいずれ社長の椅子に着く日も近いので、その時は勇退を覚悟の桑原夫妻は若原と青子の結婚をそれまでにとりまとめたいと思っている。その若い二人は今日も仲よく社長宅へ遊びにやって来て、夫妻の希望を実現させそうなのであった。