霧笛(1952)

劇場公開日:

解説

製作は「赤道祭」の田中友幸。昭和九年、大佛次郎が朝日新聞に連載して書いた原作小説から、「嵐の中の母」の八住利雄が脚本を書き、「死の断崖」の谷口千吉が監督に当たっている。撮影は「めし」の玉井正夫、美術は「決闘鍵屋の辻」の松山崇である。主役はハリウッドで「東は東」に出演して帰朝した山口淑子の第一回出演で、「馬喰一代(1951)」の三船敏郎が相手役につき合い、志村喬、左卜全、千石規子、上山草人などの他、海外日本文化紹介誌「プレヴィユ」の社長ポップ・ブースが出演している。

1952年製作/100分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1952年3月5日

ストーリー

明治七年の横浜には、まだ居留地という治外法権の地区があった。お花は、由緒ある旗本の娘であったが、幕末の戦乱にすべてを失って一人淋しく暮らしていた。そこへつけ込んだ悪官員が、彼女にむたいにもいい寄って来たので思わず彼を殺し、夢中になって逃げ出した。そして、気を失って倒れている彼女を通りかかったドイツ人ギムが助けて連れて帰った。そして居留地の貿易商の二階に匿われ手厚い保護を受けているうち、お花の美しさにひきつけられたギムの情けにほだされ、彼女は心ならずも洋妾の生活におちて行った。しかし、ギムの馬丁の千代吉とふと知り合ってから、彼の純真な熱情にうたれ、お花も強くなろうと決心した。本国へ帰るギムがお花を連れて帰ろうといったとき、お花は愛する人があるからとことわった。それが千代吉であると知ったギムは船のお別れパーティへ、お花と共に千代吉も連れ込み、密航者と一緒に射殺しようとしたが、お花が千代吉が殺されれば自分も舌をかみきって死ぬと強い決意を見せたので、ギムはついに千代吉を殺すことは出来なかった。朝霧の海を波止場へ漕いで行くボートに千代吉とお花の姿が見られた。

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