地獄の野良犬
劇場公開日:1966年6月4日
解説
「地獄の波止場(1965)」の瀬川昌治がシナリオを執筆、「可愛いあの娘」の鷹森立一が監督したアクションもの。撮影は「愛欲」の西川庄衛。
1966年製作/87分/日本
配給:東映
劇場公開日:1966年6月4日
ストーリー
とても人間の住めるところではない。海っぺりの埋めたて地は、満潮になるとあたりは一面に水びたしとなり、ドブくさい臭気が漂った。このスラム街の診療所に、大学病院をやめた古沢清が赴任してきた。街の住人達は、やくざの塚田組に牛耳られて、きわめて安い労賃で働かされ、保育所の矢島昌子の努力も焼け石に水で、彼等は全く無気力な状態だった。子供達は学校にもいかず、なかでもガキ大将岡村滋は古沢に反抗してナイフを投げつけたりするのだった。こんな有様に、病気以前の問題だと考えた古沢は、塚田組に脅かされながらも大人には定職を与えることを、子供には野球を通して子供らしい夢を持たせようと奔走した。古沢の計画がしだいに軌道に乗りかけてきたある日、滋の兄貴でやくざの岡村健が刑務所から帰ってきた。粗暴な健の帰還に古沢の努力も、もとのもくあみかと思われたが昌子の真剣な愛情に、健はやくざから足を洗うことを誓った。一方、古沢の尽力で街の住人たちは、荷役作業員として朝日海運が雇うことになった。健も昌子の手づくりの弁当を持って、苦笑しながらも毎朝きちんと会社に通うのだった。しかし人足を朝日海運にとられた塚田組は、それを黙って見てはいなかった。温和しくなった健に、なにかと因縁をつけ喧嘩をふっかけようとするが、健は皆んなのためと懸命にこらえた。しかしあまりに執っこいいやがらせに耐えかねた健は、塚田組のチンピラを殴りとばしてしまった。それがきっかけで街の人たちは、会社をクビになってしまった。いまや、これが街の住人を自分の配下におこうとする塚田組の狡猾な罠だとわかった健の怒りは、一時に爆発した。単身で塚田組に乗りこんだ健は、社長と幹部を刺殺した。健の犠牲によって明るさをとり戻した街、戯れる子供を見て涙ぐむ昌子を、古沢は優しくなぐさめるのだった。