悪の階段

劇場公開日:

解説

南条範夫の原作“おれの夢は”を「危険な英雄」の鈴木英夫が脚色、監督したサスペンス・ドラマ。撮影は、「おれについてこい!」の完倉泰一。

1965年製作/103分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1965年10月23日

ストーリー

麻薬ビルから百数万円を奪った岩尾、下山、熊谷、小西らは、更に大きな仕事を目論んだ。亜東化学の金庫に二日間置かれる社員の給料四千数百万の現金を狙うのだ。亜東化学が七年前に建設された時、現場で働いた岩尾の綿密な計画で、給料日の前日、札束の詰まったジュラルミンのトランクが四人の手中に納まった。初めて大金を手にした男たち。前科三犯の下山、若い熔接工熊谷、社長のお抱え運転手小西は、それぞれ一千万の山分けに夢中であった。だが岩尾は足がつくのを恐れ、半年間は金に手をつけぬよう命令した。岩尾は、この一件のため、前もって新開地の町外れに不動産屋の看板を出すと、地下室の金庫に金を納め、四人で管理することに決めた。岩尾にはルミ子という素晴らしい女がいる。岩尾が街で拾った女で、岩尾に献身的な女だ。四人の男の仕事は、終った。だが夢のような大金を前に、男たちの欲望は膨らんでいった。一方警視庁は、内部事情に通じた複数犯で捜査を開始した。犯人の一人、小西は、一千万の金を目当に、社長の妾お京と通じ、六カ月の禁を早くも破ろうとしていた。話を聞いた岩尾は、下山と共謀、金を出すと見せかけて小西をかたづけた。金庫の金は三人で山分けだ。岩尾は、ルミ子を利用して、さらに男たちを消そうと考えた。若い熊谷をルミ子に誘惑させ、下山に殺させたのも岩尾のとぎすまされた頭で考えたものだ。だが残った下山とルミ子は、同じ轍を踏まなかった。一方下山は、事件当夜警備員に顔を見られたことから、モンタージュ写真を全国に手配され、危険を感じて岩尾に、二人で山分けを迫ったが、岩尾は、金庫の側で金を出そうとする下山を、殺した。残ったのはルミ子だ。岩尾は、二人で山分けをする前夜祭だとウィスキーをすすめた。岩尾の冷酷さに恐怖を感じたルミ子は、岩尾の立ったすきに、ウィスキーのカップを交換した。当然のように岩尾は、毒殺された。四人の男の夢はルミ子一人に実現されようとしていた。小西からと、事務所にお京を呼んだルミ子は、毒の入った紅茶をすすめ、殺すと、下山、岩尾、お京を並べて火をつけた。だがお京の前歯にあった金歯で、かつて、近所を巡回した巡査の証言により、狂言であることが判明、ルミ子は、秘かに手配された。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

5.0モノクロの陰影に蠢く欲望をクールなタッチで魅せる鈴木英夫監督の手腕が光る!

2022年1月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

金庫から4千万円の強奪に成功した四人男と一人の女。
半年間寝かせるその金を巡って徐々に仲間割れが始まる。

犯罪強奪部分は、それなりに迫力があるが割とあっさり成功して、その後の女絡みの裏切り心理サスペンスが中々の良作。

モノクロ撮影の影と光のコントラストが強い撮影もノワール色を強めている。ドリーズームも多用

登場人物は、殆ど五人に絞られて、知能犯のリーダー山崎努がメフィストのような雰囲気で、裏切りを画策するあたりは、迫力があるが、ちと臭みも感じる。

西村晃の前科持ち男が、最初は敬語を使い誠実に対応してくるが、欲を出し始めてから少しずつ粗暴になっていく過程を巧みに演じている。今回同時上映だった「その場所に女ありて」にも会社の部長役で出演しており、威厳と貫禄がる演技を見せているのは流石。

東宝映画に付き物の所属俳優の加東大介が相変わらずのダメ男役で、最初に裏切って殺されるのには、納得。しかしこの人、「七人の侍」以外は、ダメ男か阿保なやらかし役が圧倒的に多い。あの独特の風貌が味があるが。

そういえば、ラストが凄く観念的だったな
砂丘を歩く団玲子のかなり後ろから2人の刑事がゆっくりと近づいてくる場面も寒流を連想して素晴らしい。

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