劇場公開日 1965年10月23日

悪の階段のレビュー・感想・評価

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5.0モノクロの陰影に蠢く欲望をクールなタッチで魅せる鈴木英夫監督の手腕が光る!

2022年1月29日
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鑑賞方法:映画館

金庫から4千万円の強奪に成功した四人男と一人の女。
半年間寝かせるその金を巡って徐々に仲間割れが始まる。

犯罪強奪部分は、それなりに迫力があるが割とあっさり成功して、その後の女絡みの裏切り心理サスペンスが中々の良作。

モノクロ撮影の影と光のコントラストが強い撮影もノワール色を強めている。ドリーズームも多用

登場人物は、殆ど五人に絞られて、知能犯のリーダー山崎努がメフィストのような雰囲気で、裏切りを画策するあたりは、迫力があるが、ちと臭みも感じる。

西村晃の前科持ち男が、最初は敬語を使い誠実に対応してくるが、欲を出し始めてから少しずつ粗暴になっていく過程を巧みに演じている。今回同時上映だった「その場所に女ありて」にも会社の部長役で出演しており、威厳と貫禄がる演技を見せているのは流石。

東宝映画に付き物の所属俳優の加東大介が相変わらずのダメ男役で、最初に裏切って殺されるのには、納得。しかしこの人、「七人の侍」以外は、ダメ男か阿保なやらかし役が圧倒的に多い。あの独特の風貌が味があるが。

そういえば、ラストが凄く観念的だったな
砂丘を歩く団玲子のかなり後ろから2人の刑事がゆっくりと近づいてくる場面も寒流を連想して素晴らしい。

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