花実のない森

劇場公開日:

解説

松本清張の同名心説と「勝負は夜つけろ」の舟橋和郎が脚色「獣の戯れ」の富本壮吉が監督した推理もの。撮影は「無茶な奴」の小原譲治。

1965年製作/89分/日本
原題:The Forest of No Escape
配給:大映
劇場公開日:1965年1月23日

ストーリー

自動車セールスマン梅木は、東京郊外を疾走中、若い人妻風の女に呼び止められ、ホテルオーハラまで送り届けた。バックミラーに映った美しい、冷たい横顔が梅木には印象に残った。翌日、梅木の事務所に、女から手帖を車に置き忘れたと電話があった。早速手帖を届けた梅木に、女は艶然とほほえんで、身元を打ち明けようとしなかった。翌日、ホテルを訪れた梅木は、女のいないホテルで浜田と名乗るサラリーマン風の男に会った。浜田もまた女を捜していた。数日後梅木は、ふと見たファッション・ショウの写真の中に、例の女がいるのをみつけた。彼女の隣に並んで写っている楠尾産業社長楠尾英通を訪れて聞き出そうとしたが、楠尾は口を割ろうとしなかった。梅木はショウの主催者山辺女史に会い、女は江藤みゆきと言い、楠尾英通の妹であるという事実を知った。楠尾家にはりこんだ梅木は、みゆきを待伏せ、二人はホテルに入った。その夜みゆきは、兄英通の策謀で、中国地方の豪商で半身不随の男と結婚したが、死んだような日々に退屈したみゆきは、上京しては、刺激を求めていたと語った。みゆきの言動に不安を感じた梅木は、恋人の節子を楠尾邸に住みこませた結果、みゆきが英通に恨みをもっていることが判った。その頃、みゆきは、下町のアパートで同棲していたやくざの村岡殺害事件にひきこまれていた。直ちに英通を疑った梅木は、英通に迫ったが、英通は梅木の推理を否定した。数日後、意外にも第二の殺人事件がもちあがった。みゆきが実家からの電話に呼び出されている間に、英通が殺害されたのだ。その夜、みゆきは、梅木に自分の過去を打明けた。みゆきと英通は異母兄妹で、みゆきは、女学生時代英通に犯され、日頃から憎悪を持っていた英通に強い憎しみを抱いた。そして、兄の紹介で、江藤と政略結婚をしたが、この兄の弱味につけこんで、英通に復讐をすることを決意した。また村岡はかつて楠尾家の書生で、みゆきは好意を抱きつづけていたが、再会した時はやくざの生活を続けていた。そして二人の関係は最も平凡な男女の関係に入っていったという。全てを聞いた梅木は、山口に帰ると言ったみゆきの後を追った。酒造業の老舗江藤平右衛門商店を訪れた梅木は、主人の顔を見て愕然とした。その顔こそ、東京で見た浜田の顔ではないか。歩けないといった主人が、現に歩いている。二つの殺人も彼に違いない。梅木は恐ろしさに立すくんだ。そんな梅木に江藤は、みゆきを自由にする男は許せないと言い挑んで来た。みゆきに事の真相を告げ、駅で待つ梅木の耳に、江藤夫妻無理心中の報が入った。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0若尾文子主演、松本清張原作の佳作

2023年7月16日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

何回観ても、面白い‼️🤗
若尾文子主演、松本清張原作のミステリアスな映画😎✨

初見は『若尾文子映画祭』(2015年8月13日、角川シネマ新宿)で当時は未ソフト化作品だった。
その後、DVD発売されたので、購入してまた鑑賞😁

この映画、魅力的なのは「美人で謎めいた女」(若尾文子)であり、次々と男たちを虜にしていく😍
また、彼女の兄(田村高廣)が「妹の恋愛に嫉妬する恐さ」も怪しい…😱

箱根あたりの山道を赤い車が走っている。運転しているのは自動車セールスマンの梅木(園井啓介)だが、道端でエンコしている車の女性たちを乗せることになったが、その一人が「とても綺麗な女だな。おまけのオバさんが邪魔だな」と梅木が思うくらいに綺麗な女(若尾文子)であった。

この女に取りつかれた男達が次々と現れる中、セールスマン梅木は「不思議な女」(若尾文子)に魅せられて、過去や素性を明かさない女を探ることに没頭するようになっていく。

そうこうするうちに、この女の周辺の男が次々と刺殺されていき……という流れで物語が進むサスペンス😎

カラー映画なので「怪しい女」を演じた若尾文子も非常に綺麗😍w

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たいちぃ

3.0若尾文子の謎の美女ぶりが見事

2020年3月12日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

若尾文子映画祭にて観賞。

なんともオドロオドロしい音楽。まるで「怪奇大作戦」だ。(音楽:池野成)
演出は特に凝ったところはなく、謎の美女にのめり込んでいく男のモノローグでストーリーが進む。
若尾文子は、上品で高貴な感じが良い。

松本清張の原作は未読だが、犯人の人物像なり状況なりが深掘りされていないのが清張っぽくない感じがした。かなり脚色してるのだろうと思う。
みゆき(若尾文子)を取り巻くスキャンダラスな設定に重心がおかれているので、真相が明らかになる終盤は余りにも唐突。ただ唐突だからこそ映画的には衝撃的で面白い。(脚色:舟橋和郎)

田村髙廣の怪演は、正に「怪奇大作戦」的と言える。

昭和サスペンスにありがちな、金持ちの洋館住まい。当時のセレブはあんな暮らしがステータスだったのでしょう。
冒頭で登場するホテルニューオータニ(劇中はホテルオーハラ)の表に「Merry Christmas」の飾付けがあったが、見間違いかな?冬っぽくはなかったので。

富本壮吉監督のことはよく知らないが、大映の中堅監督だったようで、大映が映画から撤退した後はテレビを主戦場とし、2時間サスペンスの黎明期に松本清張作品を多く手掛けている。
あの「家政婦は見た」を産み出した監督だそうだ。

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kazz
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