劇場公開日 1965年1月23日

「若尾文子の謎の美女ぶりが見事」花実のない森 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0若尾文子の謎の美女ぶりが見事

2020年3月12日
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鑑賞方法:映画館

若尾文子映画祭にて観賞。

なんともオドロオドロしい音楽。まるで「怪奇大作戦」だ。(音楽:池野成)
演出は特に凝ったところはなく、謎の美女にのめり込んでいく男のモノローグでストーリーが進む。
若尾文子は、上品で高貴な感じが良い。

松本清張の原作は未読だが、犯人の人物像なり状況なりが深掘りされていないのが清張っぽくない感じがした。かなり脚色してるのだろうと思う。
みゆき(若尾文子)を取り巻くスキャンダラスな設定に重心がおかれているので、真相が明らかになる終盤は余りにも唐突。ただ唐突だからこそ映画的には衝撃的で面白い。(脚色:舟橋和郎)

田村髙廣の怪演は、正に「怪奇大作戦」的と言える。

昭和サスペンスにありがちな、金持ちの洋館住まい。当時のセレブはあんな暮らしがステータスだったのでしょう。
冒頭で登場するホテルニューオータニ(劇中はホテルオーハラ)の表に「Merry Christmas」の飾付けがあったが、見間違いかな?冬っぽくはなかったので。

富本壮吉監督のことはよく知らないが、大映の中堅監督だったようで、大映が映画から撤退した後はテレビを主戦場とし、2時間サスペンスの黎明期に松本清張作品を多く手掛けている。
あの「家政婦は見た」を産み出した監督だそうだ。

kazz